引き続きズートのリーダー作をご紹介します。
1958年~1960年初頭まで、全盛期といえる作品群が続きます。
多作家ズートは、かなりのライブ活動も行っていたようで、発掘音源も多く、また再発時に別テイクやタイトル違いなどコレクター泣かせのちゃらんぽらんな部分もありますが、できるだけ解明していこうと思います。何かお気づきの発見がございましたら、ぜひ掲示板にてご指摘願えればありがたいです。⇒掲示板
・新宿ジャズ談義の会 :ズート・シムズ CDレビュー 目次
・Zoot Sims CDリーダー作 ③・・・このページ
Zoot Sims(ts),Bob Brookmeyer(vtb),Harry Edison(tp),Al Cohn(ts,bs),Hank Jones(p),Freddie Green(g),Eddie Jones(b),Charlie Pership(ds)
私の苦手な中間派からさらにスイング寄りの盤だ。トランペット、ギター、ピアノ、ベース、ドラムは完全にスイングスタイルなので、ズートはレスターになってしまっている。レスターを聞くなら、ベイシーやレスター自身の盤で聞いたほうがいいと思う。(hand)
ハリー・エディソン参加の4管オクテットで、リズム陣にはフレディー・グリーンという重鎮揃いのメンバーでのバリバリに中間派的な作品。ジャケットも昭和的なお色気路線で、この微妙なダサさが最高にイカす!と思う。グッドマンやファッツ・ワーラーの名曲も、凝ったアレンジで、おそらくブルックマイヤーまたはアル・コーンのアレンジが相当効いているのではと思う。ズートのソロはいつも通りでこのようなシチュエーションにはバッチリはまっている。(しげどん)
Zoot Sims(as,ts,cl),Hans Koller(as,ts,cl),Willie Dennis(tb),Adi Feuerstein,Gerd Husemann(fl),Helmut Brandt(fl,bs),Hans Hammerschmaid(p),Peter Trunk(b).Kenny Clarke(ds)
ドイツ録音の放送用音源。①ハンス・コラーとの2管で、ずっとふくよかではあるが、コニッツ=マーシュ的な雰囲気はある。②クラ2管の味わい深い演奏。パリ、ボーン、スモールビッグバンド。ズートのリーダー録音ではないのかもしれないが、メインアーチストであることは間違いない。内容もよく、音もいい、楽しめる盤だ。(hand)
放送録音用の発掘音源で、好調なズートのソロが聴ける。同じ楽器のテナーを吹くハンス・コラーが参加しており、ほかはドラムのケニー・クラーク以外は現地ミュージシャンと思われる。ズートはテナー、アルト、クラリネットと持ち替え、またハンス・コラーのフィチャーリングナンバーもあるが、ズートのソロは比較的良くとらえられていて、演奏も好調だ。(しげどん)
1958年8月10日
Brunswick
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★☆
Zoot Sims,Hans Koller(ts),Hans Harnmerschmid(p),Peter Trunk(b),Rudi Sehring(ds)
私好みのドイツ人テナー、ハンス・コラーとズートの双頭EP。なので全3曲。しかもA面2曲はコラーの「マイナー・ミーティング1958」に収録されCD化されている。しかし、残されたB面の未CD化の1曲コーンズ・リミットが素晴らしいのだ。コラー作でオスカー・ペティフォードの「Vienna Blues」(1959)にも収録され、コラーの熱演が聞かれる。(hand)
ドイツジャズの重鎮だったハンス・コラーとの顔合わせで、3曲のセッションが33回転EP盤でのみ発売されていた。ハンス・コラーとはバーデン・バーデンの放送録音でも顔合わせをしているが、その時はトロンボーンやフルートも参加した多様な編成のライブだったが、この3曲はすべて二人のクインテットで、クラリネットでの共演が一曲で、あとの二曲は純粋にテナーでのそれぞれのソロが楽しめる共演になっている。(しげどん)
Zoot Sims,Al Cohn(ts),Phill Woods(as),Mose Allison(p),Knobby Totah(b),Paul Motian(ds)
アル・コーンのバンドのベースとドラムがテディ・コティックとニック・スタビュラスという縁でフィル・ウッズが参加したのかと思うと、ピアノはモーズ・アリソンのままだが、ベースは知らないノビル・トターでドラムはこの後エバンス・トリオに入るポール・モチアンだ。エバンスの初リーダー盤がコティック&モチアンなのはこの辺の人脈なのだろうか。ライブのせいか、モチアンが意外とハードなドラムを叩き、全体に勢いのある演奏となっていて好ましい。ウッズの参加は後半2曲だけだが、雰囲気がさらにバピッシュになり私好みになる。(hand)
アル&ズートのコンビでもっとも熱い一枚で、ライブならではの盛り上がり方が素晴らしく聴きごたえがある。Lover Come Back To Meの盛り上がり方は素晴らしい。アル&ズートの作品で、まずは最初に聞いてほしい作品だ。B面にはフィル・ウッズも参加している。(しげどん)
ハーフノートでのライブ盤。アルコーンとズートのツインテナーにフィルウッズのアルトを加えた3管の演奏は期待通りの音幅と深みで、聴く者を魅了する。ノビルトターのベースがしっかりリズムをキープしており、とても安定感のある演奏に仕上がっている。欲を言えばな生演奏らしい荒っぽいスピード感がもう少し欲しい。綺麗に完成してしまっている様に思える。(ショーン)
1960:Zoot Sims, Al Cohn(ts),Mose Allison(p),Bill Crow(b),Nick Stabulas(ds)
1952:Zoot Sims, Kai Winding, Bill Harris(tb),Don Abney(p),Sam Herman(g),Gene Ramey(b),Art Taylor(ds)
アル&ズートの日本のマシュマロからの発掘盤。正直なところ、これまでこの2テナーにあまり魅力を感じたことがなかった。しかし、この盤の1曲目の①ハレー彗星からカッコよさが溢れていて、60年録音の前半を通じていい感じで覆われていた。音はイマイチで仕方ないが、全く気にならない。後半はかなり古い52年録音。アルが抜けて、トロンボーンが2人(ビル・ハリスとカイ・ウィンディング)入る。音はヒスノイズがかなり入るが内容がいいので許せる。(hand)
前半はアル&ズートによる快調なライブ。音質はよくないが演奏は悪くない。曲もアル・コーンのオリジナルとスタンダードで楽しめる。後半は52年のライブで、こちらは音質というより音源のノイズがかなりひどい状況でピアノなどはかき消されそうだ。記録としては重要かも知れないが、よっぽどのディープなファン以外にはおすすめできない。(しげどん)
Zoot Sims, Al Cohn(ts),Mose Allison(p),Major Holley Jr.(b),Osie Johnson(ds)
アル&ズートの多分第二作。私には正直あまりピンとこないこのテナーチームなのだが、いい曲に当たったときは、なかなかいいと思う。例えば②ユビソ、こういう名曲を名人芸的に2人で調理してくれたときだ。オリジナルやスイング風ブルースは、どうもあまりピンとこない。(hand)
ユードビーソーの熱演などからアル&ズートの代表作としてよい作品だが、B面2曲目の「Angel Eyes」でベーシストがアルコとピチカートをオーバーダビングさせて鼻歌のような唄を歌うゲテモノ作がいらなかった。なぜレナード・フェザーはこんな曲を入れたのか?それがなければA評価にしてもよい作品だった。(しげどん)
Zoot Sims(ts),Dave McKenna(p),George Tucker(b),Danny Richmond(ds)
経験的にベースから始まる盤は良盤であることが多く、この盤にも当てはまる。中間派が得意でない私にも好感の持てる盤だ。理由を考えてみると、ズートとピアノのマッケンナが中間派的なのだが、ベースのジョージ・タッカーとドラムのダニー・リッチモンドがモダン派で、タイトにリズムを送り出し、ズートもマッケンナそれにノッていること。選曲は古い曲が多いのだが、スローな曲がなく、モダンに演奏され、かえって新しい感じがすること。などかと思う。余談だが、マッケンナのエピック盤「ピアノ・シーン」の②シルクストッキングは私のお気に入りだ。コール・ポーター作の知られざる名曲だと思う。(hand)
ワンホーンでスイングするズートの傑作。若いファンにはリズムが古臭く感じるかも知れないので、意外と好き嫌いがある作品かもしれないが、ズートはもともとモダンというより中間派に近いテイストを持っている。このリズムでスイングするところが何度聴いても飽きないポイントだ。(しげどん)
ズートの軽快な演奏を堪能できるアルバム。どの曲も完成度が高く、素晴らしい。特にデイヴマッケンナのピアノとズートのソロはそれぞれ変化と創造性に富んで、引き込まれること請け合い!このアルバムで演奏している曲は比較的古いトラディショナルな曲が多いが、いずれも新鮮なアレンジとノリで気持ちよく聴ける。ストレスゼロの名アルバムだ。(ショーン)
Zoot Sims, Al Cohn(ts),Mose Allison(p),Bill Crow(b),Gus Johnson(ds),Cecil Collier(vo)
普通はアル&ズートなのに、たまにこのようなズート&アル盤があるからややこしい。全8曲中3曲に男性ボーカルが入り、その印象が強い盤だ。ジャケは迫力があり、緊張感のある盤かと思うと、どちらかというと、協調、くつろぎ系の盤だ。(hand)
Fred Milesという超マイナーレーベルからの一枚で、テイチク盤が発売されるまでは幻の名盤だったそうだ。アナログ盤のジャケットは表がズートだが裏はアル・コーンの同じ構図の写真で裏面はタイトルもAl Cohn and Zoot Simsになっている。セシル・コリアーという男性ボーカルは特に素晴らしいボーカルではないが、なぜか雰囲気にマッチしていて、ズートの歌伴ぶりを演出する材料になっている不思議なアルバムだ。(しげどん)
Zoot Sims,Ronnie Scott(ts),Jimmy Deuchar(tp),Stan Tracey(p),Kenny Napper(b),Jackie Dougan(ds)
素敵なジャケが人気のロンドン、ロニー・スコッツでのライブ。ステイシー・ケントなどイギリス人リズム隊だ。他流試合のズートは、くつろぎ的な演奏ではなくなるが、それがモダンジャズ的な緊張感を生み出すので好結果を招くことが多いと思う。(hand)
ロンドンの有名なロニー・スコット・クラブでのライブ。フォンタナ盤はなかなか入手困難で私の所有は再発のポルトガル盤でジャケ写真の再現がイマイチなので、いつかはオリジナルが欲しいと思っている。フランスでも名演が多いズートだが、やや保守的なサウンドとヨーロッパの雰囲気はマッチするのではないかと思う。これもリラックスした良いセッションだが、リズムセクション特にピアノのスタン・トレーシーがもう少し激しくあって欲しかった。ご本人ロニー・スコットの一曲は面白いけど、ズートのアルバムとして聴きたい向きにはマイナスかもしれない。(しげどん)
1961年11月13日~15日
Fontana
おすすめ度
しげどん ★★★★
Zoot Sims(ts),Stan Tracey(p),Kenny Napper(b),Jackie Dougan(ds)
未CD化。収録曲がほとんどCookinとダブっており、Blues in E FlatだけがCookin’未収録曲ということで、そこだけが重視されてきた。でもあまり注目されていないが、実はほかの曲も、クッキンではカット編集されていた部分が完全に収録されているロング・バージョンでの貴重な作品なのだ。Love For Saleでは、Cookin’ではカットされていたズートのソロも聴ける。(しげどん)
※Cookin’に収録されている音源は編集されて短くカットされているのに対し、この"Solo For Zoot"収録の音源は完全な音源だと思われる。収録時間がかなり違う。Savoy,Autumn Leavesでは、ベースのソロがカットされている。またLove For Saleではドラムスとの小節交換に戻る前のズートの2回目のソロ(実はこれが長くてなかなか良いソロなのだが・・)がカットされている。たぶんピアノのソロも一部短くカットされているように思う。ほとんどの再発のCDでは編集前のオリジナルは使われていないようで、短いCookinに収録された音源を流用していると思う。
参考までに、それぞれの曲の長さは・・・
Stompin’ at Savoy Cookin'‥6:45 Solo For Zoot‥9:18
Autumn Leaves Cookin’‥7:32 Solo For Zoot‥9:27
Somebody Loves Me Cookin'‥7:00 Solo For Zoot‥10:45
1961年11月13日~15日
Acrobat Music
Zoot Sims(ts),Stan Tracey(p),Kenny Napper(b),Jackie Dougan(ds),
Jimmy Deuchar(tp),Ronnie Scott(ts),Harold McNair(as,fl),Terry Shannon(p),Jeff Clyne(b),Phil Seamen(ds)
このCDは、上記Cookin’とSolo For Zootに収録された曲に加えて、未収録曲も追加したので完全盤をうたっている。特にLove For Saleは12:36のロング・バージョンで、Cookin’には6:02しか収録されていなかったものだ。しかし、Solo For Zoot収録の曲は、Cookin’同様にカットされた編集後の短いバージョンで収録されている。また、追加の4曲も実はズートが不参加のロニー・スコット中心の演奏だった。でも、音は良いので、現時点でCDでの購入は、この盤がベストかと思う。(しげどん)
「クッキン!」の完全盤。①ラブ・フォー・セールが従来の倍の12分超の圧巻だ。ズートも凄いし、スタン・トレイシーが独創性のあるソロを弾く。中間派的なズートよりもロンドンのモダンなメンバーがズートのモダンな側面を引き出している。元盤は11月14日と15日分で、13日分が追加されているようだ。ズート不参加の追加4曲も良く、②⑥ではトランペットのジミー・デューカーが活躍。④はアルト⑥はフルートでハロルド・マクネアが燃えている。盤としての魅力は「クッキン」よりこちらのほうが高い。(hand)
Zoot Sims(ts),Henri Renaud(p),Bob Whitelock(b),Jean-Louis Viale(ds)
ズートの50年&53年ヴォーグ、56年デュクレテトムソンの5年後、3枚目のイン・パリ。53年から毎回ピアノはアンリ・ルノー。今回のユナイテッド・アーチスト盤はスタジオライブだ。モダン派のアンリ・ルノーのトリオとの共演で、私には親しみやすい内容になっている。(hand)
再びアンリ・ルノーとのコンビで、しかも今度はワンホーンである。デュクレテトムソンに比べて落ち着きのある選曲がいい雰囲気で、こちらのほうがいいと言う人もかなりいるのではないだろうか?ライブのくつろぎ感の中で実にかっこよく密度の濃いソロを展開するズート・シムスにうっとりする。いつまでも聴いていたいと思える素晴らしい作品だ。(しげどん)
ズートのプレイは終始リラックスしており、余裕のある演奏だ。しっかりと芯のあるテナーは、あまりに正確にリズム乗って演奏しているため、ライブなのにスタジオセッションかと思うくらいで、悪く言えば単調で面白味のない曲展開だ。(ショーン)
Vol;1、Zoot Sims(ts),Spencer Sinatra(fl),Ronnie Odrich(fl,cl),Phil Woods,Gene Quill(as),Jim Hall,Kenny Burrell(g),Art Davis(b),Sol Gubin(ds),Ted Sommer, Willie Rodriguez(per)
Vol;2、Zoot Sims(ts),Spencer Sinatra,Ronnie Odrich,Jerry Sanfino,Phil Bodner(fl),Sol Schlinger(cl),Jim Hall,Barry Galbraith(g),Milt Hinton(b),Willie Rodriguez, Sol Gubin, Tommy Lopez(perc)
スタン・ゲッツにより大ブームとなるボサノバだが、それよりも早い時期の吹き込みだ。大人数でイージーリスニングな編成とアレンジがジャズファンにはあまり受けないと思う。鑑賞というより聞き流してしまう。2枚を合わせた「ボサノバ・セッション」という2in1盤も出ている。Vol.2のほうがギターが活躍する。(hand)
このころボサノバがはやりだったんだと思う。リカードボサノバから始まるこのアルバムも楽しい一枚。聴き返すとズートのソロはいい感じだがアレンジが過剰だと思う。ゲッツのように少ないメンバーでジャズらしいつくりにしたらジャズ的にはよかったのだろが、逆にそこが売れた理由かもしれない。Vol.2まで出たので現在は二枚=1CDで入手可能。第二弾のほうがコテコテボサノバではなく、ジャズらしい選曲にはなっている。第二弾まででるという事は売れたんだと思う。わかりやすい作品だということは間違いない。(しげどん)
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