60年代後半~70年代前半はは多作家ズートにしてはリーダー作が少ない時期です。特に69年~72年はリーダー作がありません。なにか事情があったのか?ご存知の方は教えていただきたいです。
・新宿ジャズ談義の会 :ズート・シムズ CDレビュー 目次
・Zoot Sims CDリーダー作 ④・・・このページ
Jimmy Raney(g),Zoot Sims(ts),Jim Hall(g),Steve Swallow(b), Osie Johnson(ds)
あまり器用とは思われないジミー・レイニー(右)がジョー・パスほどではないにしても器用なジム・ホール(左)と2ギターで、ズートを迎えた盤。コンセプトが理解しにくい。ボサノバ系の選曲が多い。⑦ムーブ・イットはソフトリーに似たカッコいい曲。最新リマスターで音がいいものもあるようだが、私の古いCDは特にそう思えず、曲によって楽器の左右バランスが悪いのが気になる(特に①)。(hand)
ジミー・レイニーがリーダーのギターが主役の盤で、ズートはサイド参加という位置づけ。2ギターだがバトル的な激しさではなく、どちらかと言うと優しくバランスのとれた味わい盤。切れ味のあるメカニカルなレイニーとまろやかなジム・ホールの対比はわかりやすい。(しげどん)
Sonny Stitt(as,ts),Zoot Sims(ts),John Young(p),Sam Kidd(b),Phil Thomas(ds)
カデットからのスティット盤にズートが客演したもの。スティットは一部アルトも吹いているが、基本的は2テナー盤。スティットはアルトではパーカー的なバッパーになるが、テナーのとき、特に2テナーのときは、ゆったり系となる場合が多い。ジーン・アモンズ盤などがその典型だ。この盤でもズートとともに終始くつろいだ音を聞かせている。(hand)
ZootとSony Stittという大物二人の共演。冒頭の「私の青空」でなんだかジーンとくるホンワカした味わいを感じたのは、もうすでにこの世にいない二人を偲んでの郷愁かも・・・。ソロにはそれぞれの個性も出ていて、左からの饒舌なStittと右からのゆったりしたZootそれぞれに良く、Lonesome Roadでの二人の小節交換などは面白く聴けた。でも作品としては、ほとんどぶれない安定感抜群の二人を生かす企画になっていないと思える。理由としては選曲がイマイチなのと、ジョン・ヤング(それなりに経歴のあるピアニストだが)が、この二人の歌心をサポートするセンスを発揮していないように思う。(しげどん)
1965年
Ⓐ10月29日
Ⓑ11月26日
Pumpkin
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★☆
ⒶZoot Sims, Richie Kamuca, Al Cohn(ts),Dave Frishberg(p),Bill Crow(b),Dave Bailey(ds)
ⒷZoot Sims(ts),Brookmeyer(vtb),Roger Kellaway(p),Tommy Potter(b),Mel Lewis(ds)
未CD化。二つセッション各二曲が収録されている。リッチー・カミューカのセットはハーフノートのライブで、「Live At Half Note Again!」として追加音源としてCD化されたが、音質はこのアナログ盤のほうがはるかにいいので、ぜひアナログ盤にこだわるべきだ。いずれのセットもすばらしくエキサイティングな、体が自然にタテにゆれてしまうスィング感満載の熱い演奏だ。(しげどん)
アル&リッチー・カミューカにズートが加わった3テナーのライブ2曲とボブ・ブルックマイヤー5の2曲を組み合わせてズート盤で出した盤。それぞれにCD化はされているが、この形ではCD化されていない。パンプキンという聞いたこともないマイナーレーベルであり、多分、CD化はされないであろう。とはいえ、聞いてみると、勢いのあるいい演奏集なのだ。ただし、3人の聞き分けは難しい。ブルックマイヤー曲でのロジャー・ケラウェイのピアノもいい。(hand)
Al Cohn,Zoot Sims(ts),Peter King(as,ts),Jack Sharpe(ts,bs),Stan Tracy(p),Rick Laird(b),Jackie Dougan(ds)
アル&ズートのイギリス公演の記録。1967年の英国盤(モノラル)がレア物となっていたところに、2003年に日本のノーマがCD化(ステレオ)して聞けるようになった。アル&ズートに現地の2管が加わりフォア・ブラザーズ状態となっているのだが、残念ながら同曲はやっていない。というか、慣れぬメンバーなのに、スタンダードは1曲もやっていないだけでなく、4管も活かしきれていないと思う。(hand)
現地ミュージシャンと録音したアル&ズートによる海外初録音。ズートはいつもどおり快調で、現地ミュージシャンのアルト、バリトンも単なるアンサンブル要員ではなく、きちんとソロをとっており、中々の腕前。ズートはいつもよりやや硬質な音色で、ほとんどのソロでアル→ズートの順でソロをとるが、現地の2名もアルト、バリトンだけでなくテナーにも持ち変えるので、誰がどうなってるのか交錯してしまう。ズートのファンにとってはせめてアル&ズートにしてほしく、別なホーンは加えて欲しくなかった。(しげどん)
Zoot Sims,Al Cohn(ts), Roger Kallaway(p),Bill Crow(b),Mel Lewis(ds)
「Live at Half Note」と「Live at Half Note Again」は、正編、続編みたいなイメージで間違いやすいが、Again!のほうは、Live at Half Noteの全曲に別の日のライブ3曲を加えた増補盤なので、Againを買えば、「Live at Half Note」は買う必要がない。タイトルは、Live at Half Note+3とかにして欲しかった。Live at Half Noteもわざわざ買ってしまった筆者の苦情である。こういうタイトルは誤解を招くのでやめてほしいものだ。 で、内容はアル&ズートのライブというべき発掘盤で中々の素晴らしいライブだ。ハーフノートのライブは1959年のユナイテッドアーチスト盤が名盤化しているが、この音源も熱い演奏で、とても若々しいズート&アルの演奏が楽しめるし、ドラムのメル・ルイスも力演している。1973年のミューズ盤Body and Soulで冒頭曲のドゥードル・オードルを演じていてメル・ルイスも参加しているが、それよりもここでの演奏のほうが元気がある。ただ発掘音源だけに一部に録音状態に不備があるが、鑑賞には大きな障害にはならないと思う。前述のとおり追加収録された3曲は、別の日のライブで、そのうち二曲はSuitably Zootにも収録されている。(残念ながら音質はアナログ盤Suitably Zootのほうが格段に良くて、このCD再録は海賊盤音質だ。)でも演奏は素晴らしい。Suitably Zootに入っていないのはジミー・ラッシングのボーカル曲だ。(しげどん)
ズートの名前のみだがアル&ズートの海賊ライブ。ハードバップ的な緊張感がありカッコいい。デイブ・マッケナ、ビル・クロウ、メル・ルイスのトリオが強烈にフロントを煽るので、アルもズートもノリノリでハードにドライブしている。ただし、「アゲイン」のタイトルは、看板に偽りがあり、元の「ハーフノート」と同じ音源に別の日の、リッチー・カミューカのテナー入りの3管2曲、ジミー・ラッシングのボーカル入り1曲の3曲を追加しただけの内容だ。(hand)
Zoot Sims(ts) With Orcehstra
私の最も苦手なストリングス入りオーケストラとの共演盤だ。こういう音楽はこういう音楽が得意な人に任せていて欲しい。甘さ150%の音楽だ。(hand)
ズート・ウィズ ストリングスという内容。ズートのテナーは良く歌うが、ジャズ的には物足りない。せっかくズートのソロはいつも通りの味わいなので、もったいない。(しげどん)
Zoot Sims(ts),Louis Knipp(p),Jack Brengle(b),John Ray(ds)
発掘盤だが、企画されたような整った内容の一枚。冒頭のオリジナル・ブルースは歯切れが良いが、全体的には落ち着いた曲調のスタンダード中心の選曲である。リズム・セクションは現地ミュージシャンで、ほぼ無名に近いが、なかなかのサポートぶり。ズートは自分のリズムセクションと同行せず、単身でこのようにライブを良くおこなっていたのだろうか?ライブを行った経緯は不明だが、ズートらしいと思う。この前後の時期は録音が少ないので貴重だ。(しげどん)
2011年発掘のケンタッキー州ルイスビルでの海賊録音。リズム隊は地元メンバーのようだが、悪くない。音もまずまず。慣れないメンバーと演奏する緊張感がいい結果をもたらすことがズートには多々あると思う。(hand)
Zoot Sims,Al Cohn(ts),Dave Frishberg(p),Victor Sproles(b),Donald McDnald(ds)
2000年の発掘盤。脂が乗った感じのアル&ズートだ。中年期となり肉体的にもそんな時期なのだろう。2人の太い音色で演奏は若い時よりも楽しいとも言える。(hand)
一曲目のTickle Toeがいきなり途中から、というより終わりのほうから収録されていて、最後の八曲目Recado Bossa Novaは、途中でフェイドアウト。いかにも発掘音源らしいが、二曲目~七曲目は完全に収録されている。音質は悪くなくて、ズートもアルもスタジオ盤などよりも太くたくましくゴリゴリと吹いている。69年~72年までは多作家ズートも録音がないので、このような発掘盤は貴重だが、なぜこの時期録音がないのか不思議だ。(しげどん)
1973年3月23日
Muse
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん ★★★★
Zoot Sims(ts&ss),Al Cohn(ts),Jaki Byard(p),George Duvivier(b),Mel Lewis(ds)
珍しいのはピアノがジャッキー・バイアートということだろう。モンク以上に個性派ということもできるが、器用貧乏なところもあり、実はどんなスタイルでも対応できてしまうところが、ある意味、この人の弱点でもある。この盤では器用な面が中心だが、ソロやバッキングに個性を見せる瞬間もある。ブラジリアン・メドレーは楽しい。(hand)
アル&ズートの作品の中でも、上位にランクできる一枚と言える。ボサノバのメドレーなど、耳になじみやすい曲が並んでいる。ズートのソプラノも聴ける。ジャッキー・バイヤードのピアノとの相性は好みが分かれる点かもしれない。(しげどん)
Zoot Sims(ts,ss),Hank Jones(p),Milt Hinton(b),Louis Bellson(ds)
一曲目の「朝日のごとく・・・」のかっこよさ。ソプラノ、テナーそれぞれの持ち味を生かして変化に富んだ内容の素晴らしいアルバム。リズムセクションもズートにピッタリの職人的な名人級を揃えていて、ルイ・ベルソンの名人芸など、まさにオールスターリズムセクションで申し分がない。70年代からの後期ズートの素晴らしい作品群の方向性を決めた出発点とも言える。その良さが凝縮されている記念的な素晴らしいズート全作のなかでも屈指の名作だ。(しげどん)
テナーとソプラノを使うズートは明るく、力を感じる。ピアノの主張もそれなりに強いため、全体には、ガッチリとした筋肉質なアルバム。聴いていて、もう少し遊び感覚が欲しい。録音状態が良く、音質はとても良い。(ショーン)
レスター系のテナーによるスインガー、ズートがソプラノに目覚めてしまった。ソプラノといえばニューオルリンズスタイルのシドニー・ベシェとモダン〜フリースタイルのスティーブ・レイシーがもっぱらソプラノのを吹く人で、あとは持ち替えでコルトレーンとショーターが有名だが、3人目の持ち替え奏者としてズートが名乗りを上げた盤。この盤ではソプラノ率4割以下だが、3年後には10割の「ソプラノサックス」を吹き込むところまで入れ込むことになる。ズートのソプラノはどうなのか?コルトレーンのソプラノ以外あまり聞いたことのない耳にはあまり刺激が感じられないが、①ソフトリーなどは曲に合っていると思う。また、テナーの音色がよりテナーらしい低めの音使いをするようになり、深みが出たように感じる。(hand)
Joe Venuti(vln),Zoot Sims(ts,ss),Dick Wellstood(p),George Duvivier(b),Cliff Leeman(ds)
バイオリンのジョー・ヴェヌーティとのキアロスキューロからの盤。ヴェヌーティはジャンゴ・ラインハルトと共演していた頃の初期のステファン・グラッペリを思い出させる。古いスタイルで2人とも楽しそうだが、私好みではない。最近のCD「ジョー&ズート&モア」(写真)のモア分にはズートは入っていない。(hand)
1920年代からエディ・ラングとの歴史的な名演を多く残してきたベヌーティだが、ズートとの晩年の共演の記録が現時点では一番の有名作になっているかもしれない。共演は誰のアイデアか知らないが、ズートは最適の共演者だ。彼のバイオリンのスタイルがほとんど変わっていないのは驚異的だし、年齢を感じさせない元気いっぱいのバイオリンは粗削りな若々しさまで感じてしまう。ズートはいつもどおりの快演だが、どうしてもバイオリンに注意が行ってしまう。(しげどん)
Zoot Sims(ts,ss),Jimmy Rowles(p),George Mraz(b),Mousey Alexander(ds)
これも発掘音源のライブ作品。気心知れたメンバーとの演奏で、この時期のベストメンバーでのライブだ。演奏は元気に満ちあふれているが、正規録音ではないので、録音状態はあまりよくない。特にドラムスがやけに大きく捉えられていて、バタバタした印象が強く残念だ。(しげどん)
2007年の発掘盤。1973年のライブだが、素晴らしい内容なので、ズートの奥さんルイーズが発表したようだ。場所はカリブ海ツアー。メンバーもジミー・ロウルズ、ジョージ・ムラツなど豪華だ。金太郎飴的な選曲が多いズートには珍しい①ジターバグ・ワルツから始まる。モダンで演奏されることが多いが、ファッツ・ウォーラーの古い曲なので、ズートは得意なのかもしれない。楽しそうに演奏している。音はまずまずだが気にならない。
Zoot Sims(ts),Bucky Pizzarelli(g),Milt Hinton(b),Buddy Rich(ds)
ベスト5には選ばれなかったが、個人的には数少ないズートの愛聴盤の第一はこの盤だ。ピアノレスのバッキー・ピザレリのギター入りカルテットで、くつろぎ感たっぷりに、しかもダレることなく一枚を聞かせてくれる。ミルト・ヒントンのベースとバディ・リッチのドラムがきっかりと支えているからだと思う。⑦インディアナのソプラノと⑤ジー・ベイビーのボーカルは特段好みではないが、盤全体としていい雰囲気なので減点材料とはしなかった。(hand)
ピアノレスのワンホーンカルテット。ギターのバッキー・ピザレリはソロもとっているが、基本はリズムセクションの担い手である。注目すべきはバディ・リッチの登場で、いつもの叩きすぎ感はなく、意外とおとなしくズートをサポートしている。でも「Somebody Loves Me」でのソロは、待ってました!的なビッグバンドドラマーとしての面目躍如の楽しさ。二人の唄はダンナ芸みたいだが、何度も歌っているので両者とも自信があるのかもしれない。(しげどん)
Zoot Sims(ts,ss),Jimmy Rowles(p),Bob Cranshaw(el-b),Mickey Roker(ds)
ズートのパーティは、どんちゃん騒ぎではなく、大人のくつろいだパーティ。ジミー・ロウルズのピアノが時にエレガントに、時にバピッシュに迫る。ズートもそこにうまく乗っている。③キャラバンはソプラノで、とてもカッコいい。テナー曲のズートの潤いのある音色も素晴らしい。ベースがエレベなのがちょい残念な点だ。(hand)
ジャケットがひどすぎる。あまりにも手抜きの三流作品みたいなデザインなのでであまり注目されていないが、70年代後半の快進撃にさしかかりつつある状態の隠れた名盤だ。円熟味よりも激しく濃い味わいがある。キャラバンでのソプラノサックスもいい味だし、同じくスイング名曲の「センチメンタル・オーバーユー」の解釈もズートらしい良さだ。(しげどん)
軽快なミッキーローカーのドラムに乗せられて、小気味良くパーティーはスタート。2曲目のrestlessでは、しっかりと渋いテナーを腹に響かせるズートの表現力が光る。ピアノはジミー・ロールズ、煌めくメロディを提供している。またアルバム全体でリズム隊が活躍しており、ボブクランショウのベースランニングと少しうるさいくらいのミッキーのドラムのおかずが良く、素晴らしいアルバムに仕上がっている。ポップス的要素もあり、親しみやすい盤だろう。(ショーン)
Bobby Hackett(tp),Zoot Sims(ts,ss),Hank Jones(p),Bucky Pizzarelli(g),Richard Davis(b),Mel Lewis(ds)
完全なるスイングジャズ、いや、ニューオルリンズスタイルの雰囲気まで持つ、かなり古い時代のジャズを感じる。録音時の40年くらい前の感じだと思う。多分、ズートはこの感じが好きなのだろう。楽しそうに演奏している。(hand)
ボビー・ハケットは歌心あふれる素晴らしいセンスの持ち主で、私は最高に評価しているトランペッターである。そしてズートとの素晴らしい邂逅。ハンク・ジョーンズもこのような保守的なサウンドにマッチしたベストの人選だ。内容はモダンジャズではなく、まったくの中間派であるけれども、モダン一辺倒のファンが、このあたりからトラディショナルなジャズに突入して欲しいなどと願う。目を細めて聞き入りたくなる一枚だ。現在入手可能なCDには、Verve盤Creole Cookinも併せて収録されていて、こちらもハケットのリーダー盤だが、ズートも参加している。どちらもCD化されてなかったと思われるので、このような形で入手可能なのはありがたい。(しげどん)
・新宿ジャズ談義の会 :ズート・シムズ CDレビュー 目次
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