引き続きズート・シムズのサイド参加盤をご紹介します。
スター・プレイヤーでありながら、サイド参加でチョイ役で加わっていたりと、仕事を選ばないスタンスがすごいですが、この時期はズートにとっても全盛期なので、サイド参加盤にも味わい深い名作が多々あります。
・新宿ジャズ談義の会 :ズート・シムズ CDレビュー 目次
・Zoot Sims CDサイド参加 ②・・・このページ
Conte Candoli(tp),Zoot Sims(ts),Bob Brookmeyer(vtb),Claude Williamson(p),Red Mitchell(b),Stan Levey(ds)
ベツレヘムの10インチのジャケットはかっこいいものが多い。この盤は内容もかっこいいので人気希少盤になったのもわかる。一曲目のハッピー・マイナーのソロだけでも聴く価値がある。実験性やアレンジの工夫などよりも、ジャズファンはこういうシンプルに勢いのあるノリのいい演奏を好むのだと思う。(しげどん)
Gerry Mulligan(bs),Zoot Sims(ts),Bob Brookmeyer(tb), Jon Eardley(tp),Peck Morrison(b),Dave Bailey(ds)
ジェリー・マリガンはエマーシーに55年、56年にかけて5回の録音を行い、それが3枚のアルバムとなって発売された。(本作,A Profile of Gerry Mulligan,Mainstream of Jazz)クロノロジカルな編集はなされていなく、わりとデタラメに振り分けられているので、選曲の好き嫌いは別として、この3枚は同じようなイメージのアルバムになっている。マリガンらしいピアノレスのセクステットなので4管で、メンバーのソロはそれなりに生かされている。ピアノレスやディキー的な絡み合いのもマリガンらしい音だ。ズートはあくまでも自分らしい個性を貫いているが、このセクステット編成がズートの魅力を充分引き出せているかは疑問。(しげどん)
Gerry Mulligan(bs),Zoot Sims(ts),Bob Brookmeyer(tb), Jon Eardley,Don Ferrara(tp),Peck Morrison(b),Dave Bailey(ds)
引き続きマリガンセクステットの作品。もちろん同じ時期の演奏を振り分けただけなので、同じ雰囲気の演奏だ。前半はエリントン・メドレーなどスタンダードを素材にした演奏が中心なので、ややソロに焦点があたっている感じはする。(しげどん)
Gerry Mulligan(bs),Zoot Sims(ts),Bob Brookmeyer(tb), Jon Eardley,Don Ferrara(tp),Peck Morrison(b),Dave Bailey(ds)
この一連の5回のセッションのうち、このアルバムは56年の録音で集められている。メインストリームというタイトルだが、彼のピアノをフィーチャーした曲もあり、この一枚が一番マリガンらしさを感じ、Profile of...というタイトルはこちらのほうがふさわしいように思う。でもCDではPresenting...の別テイクが入ったりして、そのようなイメージも希薄になってはいるが…。マリガンファンには発掘男の児玉さんが見つけた音源も加えたコンプリートなものがあるらしい。でも、やはりマリガンは編曲者でありバンドリーダーで、彼のバリトンのファンはあまりいないような気がする。ズートはあくまでもマイペースで彼らしいソロは賞賛に値する。(しげどん)
Joe Eardley(tp),Zoot Sims(ts),Phill Woods(as),Milt Gold(tb),George Syran(p),Teddy Kotick(b),Nick Stabulas(ds)
ジョン・アードレイはジェリー・マリガンのサイドマンとしてのキャリアもあるが、ズートファンにとっては、デュクレテトムソン盤とこの作品で記憶されている人だ。7人編成の4管で、それぞれのソロが楽しめる佳作。ズートの出番はそれなりだが、フィル・ウッズが特に快調で艶やかに聴こえる。CDではおまけに55年録音の10インチ盤4曲(PRLP207)が収録されているが、これはJRモンテローズとのクインテットでズートは参加していない。このアルバムは後年Down East/Sims Woods Eardley(Esquire32040)、Koo-Koo/Zoot Sims(ST8309)として再発されたことがあるが内容はまったく同じ。(しげどん)
Tony Scott and His Orchestra,Tony Scott Tentet,Tony Scott Quartet
色彩感豊かなトニー・スコット率いるオーケストラは、スピーカーと対峙して聴くとなかなか味わい深く演奏としてはいいのだ。でも御大スコットだけがスターで、せっかくの豪華な共演陣は取り巻き扱い。ビル・エバンスもカルテットで参加しているがあまり出番はない。ホーンセクションもズートを始めアンサンブル要員になっていて、ソロの出番はない。なんともったいない。(しげどん)
1956年8月10日
Dawn
おすすめ度
しげどん ★★★☆
Zoot Sims(ts),Jerome Lloyd(tp),John Williams(p),Nabil Totah(b),Gus Johnson(ds)
ドーン・レーベルに於いて正規盤に収録されなかった録音をかき集めて一枚のレコードにまとめたもので、メインはB面のスタン・ゲッツになろうかと思う。A面の2&3のBlues of Month of May, I Should Careの2曲がズートのリーダーセッションで「Zoot Sims Goes To Jazzville」の録音時の残り物。現在のGoes To JazzvilleのCDでは、ボーナストラックとして、この2曲以外に4曲が追加されている。昭和レトロ的なダサイ美女ジャケは、アナログで持っていたい。(しげどん)
Zoot Sims,Al Cohn,Tony Scott(ts),Joe Wilder(tp),Urbie Green(tb),Trigger Alpert(b),Ed Shaughnessy(ds)
ベテランベーシストであるトリガー・アルパート唯一のリーダー盤。グレン・ミラー楽団など戦前のスィングバンドで活躍した人。East Coast Soundsというタイトルで、ZootとAlのアルバムとして再発されてしまったが、実際はトニー・スコットやマーティ・ペイチが指揮したセプテットで、タイトルとは逆にウエスト・コースト的だ。ズートのソロは悪くないが、メンバー全員に役割が分担されていて、ズートが準主役というわけではない。リーダーのトリガー・アルパートの重厚なベースにもスポットがあたっている。全体的に楽しい雰囲気の作品。(しげどん)
この作品は、East Coast SoundsというタイトルでAl&Zoot作品として再発された。中身は同じ。
Art Farmer, Nick Travis(tp), Bob Brookmeyer(vtb),Phil Woods(as), Zoot Sims
(ts),Al Cohn(ts,bs),Gerry Mulligan(bs),Hank Jones(p),Milt Hinton(b), Osie Johnson(ds)
すばらしいメンバーを集めてのマニー・アルバムの作品。リーダーのマニー・アルバムはアレンジャーに徹し演奏はしていない。彼のアレンジは嫌味がなく、凝りすぎず、という感じで、豪華メンバーのソロを良く引き立てている。アレンジ偏重の重たい作品ではなく、各人のソロを楽しめるジャズ的に魅力がある一枚だ。(しげどん)
Gerry Mulligan(bs),Lee Konitz(as),Allen Eager,Zoot Sims,Al Cohn(ts),Freddie Green(g),Henry Grimes(b),Dave Bailey(ds),Bill Holman(arr)
アレンジはビル・ホルマン。ズートのほかは、リー・コニッツ、アレン・イーガー、アル・コーン、そしてマリガン本人に加えて、ギターにフレディ・グリーンまで参加している超豪華キャスト。マリガン曲集という事で、お得意のピアノレス編成だ。でもこのような豪華メンバーにもかかわらずジャズ的な興奮がない。マリガンらしい作品かもしれないが、私にとっては退屈な一枚だった。(しげどん)
Teddy Charles(vib),Art Farmer(tp),Bob Brookmeyer(vtb),Zoot Sims(ts),Addison Farmer(b),Ed Thigpen(ds)
テディ・チャールズは、実験性のあるサウンドのイメージもあるが、ここではヴァイブの大先輩であるハンプトンに敬意を表して、ノリノリの中間派的なスタイルで演じている。そのような企画では、ズートの役回りはピッタリはまっている。(しげどん)
1958年5月26日
Westinghouse Broadcasting Company
おすすめ度
しげどん ★★★
Benny Goodman(cl),Billy Hodges, E.V. Perry, Johnny Frosk, Taft Jordan(tp),Rex Peer, Vernon Brown, Willie Dennis(tb),Al Block, Ernie Mauro(as),Seldon Powell, Zoot Sims(ts),Gene Allen(bs),Roland Hanna(p),Billy Bauer(g),Arvell Shaw(b),Roy Burns(ds)
ベニー・グッドマンはズートが若いころに参加していたバンドなので、旧知の中。このころ何度も海外ツアーを行っているが、1958年のツアーではベルギーの万博に参加し、それににズート・シムズが参加している。演奏としてはほぼ御大グッドマンに焦点があたり、ズートのソロは短くBugle Call Rag, Mean to Me に聴かれるくらいかと思う。基本的には往時のヒット・パレード的な演奏で、当時のグッドマンのファンとしては生で聴けるヒット曲はさぞかし感激モノだったんだろう。楽しい演奏だ。(しげどん)
Benny Goodman(cl),Billy Hodges, E.V. Perry*, John Frosk, Taft Jordan
Rex Peer, Vernon Brown, Willie Dennis(tb),
Al Block, Ernie Mauro(as),Seldon Powell, Zoot Sims(ts),Gene Allen(bs),
Roland Hanna(p),Billy Bauer(g),Arvell Shaw(b),Jimmy Rushing(vo), Roy Burnes(ds)
これも1958年の欧州ツアーの記録だ。お決まりのヒットパレードは、ファンとしては悪くないし、グッドマンのソロも偉大なるワンパターンぶりが楽しめる内容だ。でも御大グッドマンはやはり独裁ぶりを発揮し、彼だけがスター扱いで、ほかのメンバーは兵隊扱いだ。Roll Emで聴かれるテナーのバース・チェンジはセルダン・パウエルとズートのものだと思う。これがおそらく唯一ズートの音がソロとして聴ける場面で、あとはアンサンブル要員になっている。(しげどん)
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