ここでは彼の後半の作品をレビューします。
残念ながら、彼の後半生の作品はコマーシャルな企画や、雑な企画が目立ちます。ジャズとウイントン・ケリーを本当に理解するプロデュサーにめぐり合わなかった悲劇を感じますが、そのなかでも隠れた名演があるのがこの時期です。
また、作品としては評価できないそのような企画においても、彼のピアノ自体は最後まで個性を失っていないので、つくずく早すぎた死が惜しまれます。
ウイントン・ケリーのCDレビュー目次
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タイトル下の日付は録音日です。
1963年5月10日~16日 Verve
おすすめ度
hand ★★
しげどん ★
ショーン ★★★
Wynton Kelly(p),Kenny Burrell(g),Paul Chambers(b),Jimmy Cobb(ds),Orchestra
単なるイージーリスニング。仮にストリングスを分離しても聞けない盤。唯一、5曲目、ビターエンドのみは、ジャズを感じる。(hand)
イジーリスニングジャズではなく、イージーリスニングそのもの。(しげどん)
「歌のない歌謡曲」か「TV番組のBGM的な楽曲」といった感じ!ストリングスが完全にpops化してしまってます。JAZZとは言い難し。(ショーン)
※はっきり言って、よほどのケリーファンでない限り探す必要はない盤です。実は手困難な作品なので、ネットでの購入も高価なようです。アマゾンに中古の出品があったので、いちおうリンク貼りましたが、びっくりするような値段なので・・・・見るだけにしといてくださいね。
1964年3月10日 Verve
おすすめ度
hand ★★
しげどん ★★★
ショーン ★★★☆
Wynton Kelly(p),Kenny Burrell(g),Paul Chambers(b),Jimmy Cobb(ds),Candido(conga)
ジャケは、ポップでステキだ。内容までもポップなのは残念。私の好きなケニーバレルも、ここではリズムギターを弾かされて、良さが発揮できてない。(hand)
イジーリスニング的な一般受け狙いの作品で、JAZZ感は薄いがリラックスしてBGM的に楽しめる盤だと言える。(しげどん)
1965年2月5日 Verve
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★
ショーン ★★★★★
Wynton Kelly(p),Paul Chambers(b),Jimmy Cobb(ds)
マンボ風のフルートが、異国の香りを醸す曲からスタートする本盤は、ケリーの幅広い音楽世界観を楽しめる良盤だ。ボサノバ、ブルース等、ジャズのカテゴリーの枠組みを拡げる意欲作で、しかも聴いていてどの曲も心地良く酔いしれることの出来る素晴らしいアルバムに仕上がっている。(ショーン)
ジャマイカ風のフルート曲からスタート。同じフルートでスタートながら、ケリーブルーのような引き込まれ感はない。とりあえずお付き合いして聞いてみると、悪くはない1曲目。でもやはりボビージャスパーの方がずっといい。2曲目以降はフルートもなくなり、すべてトリオ演奏。ジャケも含めB級と言わざるを得ない盤。でも、バーブのスタジオ盤で、ストリングス入りでないだけでもありがたい演奏(笑)(hand)
ケリーのオーソドックスなピアノトリオは実は少ないので貴重品だし、特に欠点はないのだがなぜか食い足りなさを感じる一枚。曲想のせいか?クリードテイラーのプロデユースだからか?フルートは余計。(しげどん)
1965年7月25日 , 8月17日 Xanadu
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★★
Wynton Kelly(p),Paul Chambers(b),Jimmy Cobb(ds)
ケリーはノリノリで素晴らしく、いつもはおとなしいドラマー:ジミー・コブも、タイトな音色でソロで大暴れ。荒削りではあるものの魅力ある盤だ。(hand)
名盤フルハウスの熱気を思い起こさせる熱演。ライブではこの時期のケリーも充分若々しいケリー節を披露していたことがわかる。この盤はトリオで通したライブなので、ケリーの作品としては特に重要。録音の悪さはあるが、後期の代表作に上げてよいと思う。(しげどん)
テンポの早いブルースからのスタートだが、全般に深みが無いアルバム。ポールチェンバースのベースラインは筋肉質で好感が持てる。むしろ5曲目の「old folks」の方がケリーのピアノが生きていて、情感を感じる。(ショーン)
Wynton Kelly(p),Ron McClure(b),Jimmy Cobb(ds)
録音が66年9月と67年説があるが、メンバー、選曲から67年11月のインタープリテーションより前ではないかと思う。くつろぎのある気持ちいい演奏。(hand)
貴重なオーソドックスなピアノトリオのスタジオ盤。スタンダード中心の趣味の良い選曲で聴かせる。スタジオ録音としてはこの時期唯一と言っていい佳作。(しげどん)
スローなブルースから始まるこのアルバムは、全体にまとまりがある。JAZZよりはBLUES のテイストが強く、ガチガチのJAZZでない音楽性の拡がりを感じる。トリオの演奏だが、ケリーの独り舞台で、その運指テクニックは冴えており、安心して聴ける。スタンダードなの曲も多く、初心者にもgoodな一枚だ。(ショーン)
1967年11月12日 Vee Jay
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★★
ショーン ★★☆
Wynton Kelly(p),Cecil McBee(b),Jimmy Cobb(ds),Hank Mobley(ts)
67年11月の2枚組ライブ。テナーのモブレーが参加している。ライブなので、いずれも長尺物。1曲目は、この時期のケリーのオハコ、オンナクリアデー。ノリノリの楽しい演奏。モブレーも後期で、自作ではポップだったりモーダルだったりしているが、ここではオーソドックスないい演奏をしている。ベースはマクルーアからセシル・マクビーに代わっている。マクビーは、マクルーア同様、音色もフレーズも新風を吹き込んでいる。2曲目は、モンクのハッケンサック。モンクをあまり感じさせないケリーのハッケンサック(笑)。3曲目グリーンドルフィンは、しばらくトリオで演奏し、ソロからモブレーが参加する、いい感じの演奏。2枚目の1曲目は、マイルストーンズ。全員がマイルス時代に演奏してた曲。モブレーの5分以上のソロ、最後は少し息切れ気味(笑)、ケリーのソロも5分以上好調に続く、コブのソロが長〜い、ライブなので仕方ないが5分近い(笑)、音質はザナドゥと違い悪くはないが、テナーが左で音量控え目というのは落ち着かない。リーダーでなくとも、真ん中で太く録って欲しい。2曲目イフユークッドは、少し音質が悪い。ラストのスピークロウは、ケリーでは珍しいが、似合う曲(hand)
この時期のライブはいづれも好演で甲乙つけがたい。ライブではサイドでの名盤も多いので、このスイング感が彼の真骨頂だったんだろう。ハンクモブレーも熱演。(しげどん)
※1967年のボルチモアのライブです。Vee Jay盤Interpretationsが元で、上記の通り別デザイン、別タイトルが多くややこしいです。CDはフレッシュサウンド盤
1968年8月4日 Delmark
おすすめ度
hand ★★
しげどん ★★★
ショーン ★★★☆
Wynton Kelly(p),Paul Chambers(b),Jimmy Cobb(ds)
時代故なのか、ポップスやボサが多過ぎ。ケリーは4ビートでこそ、スイング感たっぷりのケリー節が聞かせられるのに、、、ビートルズのイエスタディまでやってるケリー、楽しんでる演奏と思えない。(hand)
この時期のケリーはかっての輝きがないとの通説は、この盤のように企画や選曲のせいではと強く感じる。この盤は不本意な演奏をしていて彼の良さが発揮できていないだけに余計に哀愁が漂う悲しい一枚だ。A面最後のKelly's Bluesでは本領発揮!でケリー節全開。この一曲だけでも所有する意味のあるレコードだ。最後のイエスタディがフェイドアウトで、残念!(しげどん)
ジャズを身近なものとし、肩ひじ張らずに聴くことが出来る音楽として裾野を拡げたウィントンケリーの功績は大きい。ポール・チェンバース、ジミー・コブとのトリオとしてのラストアルバム。常に変わらぬケリーの安定したピアノのフィンガーテクニックはこの盤でも健在だが、ポップになり過ぎた嫌いも。(ショーン)
Wynton Kelly(p),Ron McClure(b),Jimmy Cobb(ds),George Coleman(ts)
ケリー最後のリーダー作(涙)。インコンサートとファイナルノーツ2枚組の3枚がVEE JAY同日録音。ベースにマクルーアが戻り、テナーにはマイルス脱退のジョージコールマンを迎えている。相性は前作のモブレーよりいい。1曲目オンザトレイル、コールマンが快調に飛ばす。マイルス盤での評価は高くないが、いいテナーだと思う。マイファニーとフォア&モアは愛聴盤。16分以上の長尺で7分近いソロは飽きない。続くケリーのソロも気合いが入り、晩年とは思えない。2曲目、オンナクリアデー、これも17分以上、各人のソロは素晴らしく、コールマンはコルトレーンを感じるソロ、ケリーはノリノリ、マクルーアはチェンバースと異なりラファロの流れも踏まえたソロを聞かせ、コブもフィリー顔負けの激しい8バースである。(hand)
晩年の演奏ながらやはりこれもライブの熱気を感じる演奏。ケリーのソロの素晴らしさはザナドウ盤以上かも(しげどん)
1968年9月22日
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★
ショーン ★★★☆
Wynton Kelly(p),Ron McClure(b),Jimmy Cobb(ds),George Coleman(ts)
インコンサートの残り物。晩年のケリーはダメと書いていた昔の評論家を怒りたくなる快調さ。このラストは3枚は、ソロがたっぷり入って、ケリー好きにはたまらない。音質も、バランスも良く、録音してくれた人に感謝、そして合掌(hand)
上記と同時期のライブ。晩年のケリーはダメだという説とは裏腹に、ケリーもハードバップから次の時代へ移っていく予兆が感じられる作品。企画がよければもっと素晴らしいスタジオ作品を作ることができたのでは?と感じざるを得ない。それだけに、直後に訪れた突然の死があらためて悔やまれる。(しげどん)
録音状態が悪いが、ケリーのピアノは好調!ジミーコブノドラムが力水となっている。ケリーは得意のタメとキメで、演奏時間の長い曲にメリハリを持たせている。(ショーン)
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