ウエス・モンゴメリーの1965年以降の作品をレビューします。彼のキャリアの後半は、A&Mへの移籍後の敏腕クリード・テイラーによる「売れる」作品づくりが強く意識され、実際にヒット盤が多く生まれました。一方でジャズ的なテイストが薄らぎ、コアなファンからは評価されていません。彼のスタイルが変わったわけではなく、あくまでも企画の結果なので、もう少しリアルなジャズを録音しておいてもらいたかったです。
かの敏腕クリード・テイラーも、ウエスのリアルジャズ作品を構想していたそうで、早すぎる死のため実現できず、悔やんだといわれます。
心臓発作と書かれる事が多いようですが、いろいろな記述から推測すると急性心筋梗塞だったようです。
元気な働き盛りに多い病気ですし、ウエスは麻薬はなったなかったと思いますが、ヘビースモーカーだったようなのでたぶん間違いありません。忙しく働いていてアグレッシブで、タバコはじゃんじゃん吸う人が突然なる病気です。救命のためには一刻を争います。
忙しく働いて、つかれ果てて、最後のたばこの一服で☆・・・!なんてことが。たばこは致命的な毒です。
彼は9人の子供を養うお父さんで、コマーシャルなジャズ作品を発売しながらも、それだけで食べて行けず、昼間は工場で働いていたという説もあります。その疲れがたまっていたのかも・・・
そう考えると、後半のA&Mの諸作は、お金のために仕方なかった・・・しかもそれでもたいした収入にならなかったんでしょうか。もっと長生きしてくれて、日本に来日とかしてくれたら素晴らしかったですね。
ウエス・モンゴメリーのCDレビュー 目次
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タイトル下の日付は録音日です。
Wes Montgomery(g),Mel Rhyne(org),George Brown(ds)
元々は「ポートレート・オブ・ウエス」の残りテープだが、正規発表されている。ウエスは、いつもどおり好調だ。この人は、好不調の波を感じさせない人だ。録音のせいもあると思うが、オルガンのベースラインが弦ベースに比べて弱く、バランスが悪く感じる場面がある。(hand)
Wes Montgomery(g),Mel Rhyne(org),George Brown(ds)
選曲が良く、日本では割と人気がある盤。特にマイルスの①フレディ・フリーローダーやJMでおなじみの⑥モーニンは貴重だ。レコード番号RLP9492で65年発表。同日録音の「ギター・オン・ザ・ゴー」がRLP9494で66年発表。この日の録音がリバーサイドでの最後となる。
1964年11月11日、16日 Verve
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★
ショーン ★★★
Wes Montgomery(g),Others
リバーサイドからヴァーブに移り、プロデューサーのクリード・テイラーによって、ポップ・フュージョン路線になってしまう。ウエス自身は、終生変わらぬギタープレイなのだが、ジョニー・ペイトのアレンジと指揮でフュージョン路線の味付けのオーケストレーションをされてしまうのだ。この盤以降を楽しむコツは、私の場合、バックの音を聞かないようにしてコンボ音だけ聞くようにしている。オーケストラにはクラーク・テリー、アービー・グリーン、ジェローム・リチャードソンなど錚々たるメンバーが入っていて、本当にもったいないとしか言いようがない。このポップ化で売り上げがアップするということは、コアなジャズ好きと、ポップミュージック好きの人数の差はかなりあるということだ。(hand)
ジャズをまったく感じないアレンジ。クリード・テイラーがジャズらしさを消して一般受けを狙った作品。(しげどん)
頭からビッグバンド風のバックとの競演だが、ややうるさくまとまりがない。モダンジャズからの脱皮を図るウエスだが、どうも聞かせどころがなく、スローなナンバーもバックが邪魔してウエスの美しいメロディが生きてこない。(ショーン)
Wes Montgomery(g),Harold Mabern(p),Arthur Harper(b),Jimmy Lovelace(ds)
Johnny Griffin(ts)
ウエスのジャズらしさがあふれた名盤。得意のオリジナルやスタンダードをノリノリで快調に聴かせまくる。選曲もウエスらしくていい。このような作品をもっと残して欲しかった。ラストのラウンドミッドナイトは、この曲の最高作と言えるもの。(しげどん)
ウエスのテーマソングとも言える4オン6からスタート。ゆったりした感じで始まるが、あっと言う間に激しいアドリブが始まっている。スイング感でケリーに及ばないメイバーンだが、スピード感は勝っている。そして最後のラウンドミッドナイト、最高のミッドナイト。(hand)
↑BYGアナログ盤のデザイン=海賊版
※アナログ時代にSOLITUDEというタイトルの2枚シリーズでBYGというレーベルで出たのが最初で、以降いろいろなデザインで再発されているので「SOLITUDE」というタイトルで定着していますが、すべて非正規盤=海賊盤です。このResonance社の「In Paris:The Definitive Ortf Recordings」と名付けられたものが最初の正式盤です。音質は格段に向上している決定盤です。(hand)
ウエスのギターは悪くない。特にオリジナル曲などは充分にジャズ的なのに、ドン・セベスキーのアレンジがじゃま。曲の途中からかぶさってくるこのストリングスオーケストラを無くし、できればトリオだけでウエスのオリジナル中心にやってくれたらどれだけ良かったか。(しげどん)
アレンジと指揮がドン・セベスキーに変わる。私的にはオーケストレーションに興味がないので誰でもあまり関係ない。ウエス自身はいつもどおりだ。②ティア・イット・ダウンは好調なソロの途中でフェイドアウトし許し難い。⑤ヒアズレイニーデイのようなバックの弱目の曲がいい。⑦ジャスト・ウォーキンはマイルスのソー・ホワットに似た曲だ。(hand)
美しいメロディラインを口ずさむように、小気味良く演奏するウエスのギターがストーリーを感じさせる。スタンダードも多く、効果的にストリングスも効いていて、快適にブルースに浸れる一枚(ショーン)
Wes Montgomery(g),Wynton Kelly(p),Paul Chambers(b),Jimmy Cobb(ds)
名盤の誉が高く、演奏自体は素晴らしいが、このような素晴らしいライブとスタジオ録音をLP片面づつなんてもったいない。悪代官クリードテイラーは一部のライブをストリングスを加えて切り売り。やはり最初からライブ盤とスタジオ盤として独立した作品としてプロデュースされるべきであり、もしそうであったらどちらも彼の代表作になったに違いない。CDの時代になってストリングスを外して全音源がCD化された。(しげどん)
ニューヨークのハーフノートでのライヴ。ケリー・トリオに加わったウエスが最高の演奏を聴かせる名盤。ケリーのピアノとウェスのギターが今日一日の出来事を振り返るようにゆったりと心に響く。(ショーン)
↑全11曲入りの完全版
オリジナルアナログ5曲は、A面がライブで、B面3曲はスタジオ録音。これにライブ録音にストリングスをかぶせていたウィローウィープフォーミーから近年ストリングスを取り除いた6曲追加で、全11曲でCD化①ノーブルース、マイルスの曲を超スインギーに演奏。ウエスもケリーも生涯の名演②イフユークッド、ケリーのゴージャスなイントロから始まりテーマもケリーが弾き、ウエスはアドリブから登場する。ケリーに刺激されたのか、いつも以上にスインギーなソロ。ケリーはソロなく、エンドテーマを弾き終わる。③ユニット7、ここから3曲はスタジオ録音。サムジョーンズのオリジナルでキャノンボールも演奏している。④4オン6、インクレディブルの再演で軽くなって、その分、ソロも滑らかになり必殺フレーズがどんどん出てくる。⑤ホワッツニュー、バラード演奏の多いこの曲を多少スインギーにミドルテンポで。ケリートリオとは、完全に息が合っている。⑥ウィローウィープフォーミー、ここからまたハーフノートライブ。オーソドックスな柳、こんな演奏が聞きたかった!⑦ポートレートオブジェニー、美しいバラードだが短い⑧四輪馬車、CD追加曲には何故かMCが多く入っていて、特にこの曲は、途中でMCが入ってフェイドアウトしてしまう。ヴァーブの正式録音ではなく、ラジオ放送用の録音を買い取ったのであろうか?不可解である。⑨クレイジームーン、ウエスのみで終わるバラード⑩ミスティ、ガーナーの名曲をスインギーに演奏、前の2バラードより音が鮮明に聞こえる。この曲ではエフェクターを使わなかったからかもしれない。オマケ曲でイイのはウィローとこの曲⑪インプレッションズ、激しいイイ演奏だが、コルトレーンと比べるとアッサリしている。(hand)
1965年6月
Verve
おすすめ度
hand★★★★
ウエスのハーフノートでのライブにクリード・テイラーが後からオーケストラをかぶせたウエスのファンには悪名高い盤。ウエス自身は通常にライブしただけで、オーケストレーションに全く気を使っていないところは救いだ。盛り上がったライブに何か後から手を加えようとしても大した効果が出ていない。ウエスの演奏自体は最高水準だ。(hand)
Wes Montgomery(gr), Phil Woods(as,cl), Jerry Dodgion(as,cl,fl,piccolo), Bob Ashton(ts,cl,fl), Romeo Penque(ts,fl,cl,English horn,oboe,piccolo), Danny Bank(bs,fl,a-fl,b-cl), Ernie Royal, Joe Newman, Donald Byrd, Danny Moore(tp), Jimmy Cleveland, Quentin Jackson, Wayne Andre(tb), Tony Studd(b-tb), Herbie Hancock, Roger Kellaway(p), George Duvivier(b), Grady Tate(ds), Candido Camero(congas), Oliver Nelson(arr,cond)
この盤は、オーケストラに対するウエスの姿勢が違う気がする。特にフォービートの曲では、バックが何をやろうと、ウエス自身はひたすらスイングしまくっている。全9曲のうち、真ん中の3曲が特に素晴らしい。チムチムチェリーのウエスのソロは超カッコいい。最初の3曲は8ビートなので、いい曲だが、ソロもそれなりの気がする。最後の3曲は、静かめだが特にラスト曲は途中から激しくスイングし、中3曲に準ずる内容。(hand)
オリバーネルソンのアレンジがウエスのギターにマッチしているが、アレンジ先行なのでジャズ的にはいただけない私の好みではない盤。(しげどん)
オリヴァーネルソンのオーケストラに負けないウエスのギターワークはオクターブ奏法全開で、強さを感じる。チムチムチェリーでのアドリブプレイは、ノリも良くいい演奏だ。(ショーン)
Wes Montgomery(g),Ron Carter(b),Grady Tate(ds),Ray Barretto(conga) +strings orchestra
前作にそれほど劣らないのだが、決定打に欠け、ジャケがダサいのも敗因。コンガは有効(hand)
ポップな感じながら比較的成功している盤。TV等のBGMでよく使われるA&M盤への橋渡し的な盤(hand)
1曲目のアルバムタイトル曲は、ジャズというより、ポピュラーミュージックだが、オーケストラが加わり、迫力ある曲に仕上がっている。どの曲もウエスはオクターヴ奏法を駆使して、溌剌と演奏している。(ショーン)
ウエス・モンゴメリーのCDレビュー 目次
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