1984年から20年間で8作品を発表してきた秋吉敏子ジャズ・オーケストラを解散(2010年に上海公演のために臨時で再結成される)し、ピアニストとしての活動に専念することとなった時期です。
・新宿ジャズ談義の会 :穐吉敏子 CDレビュー 目次
・Toshiko Akiyoshi CDリーダー作①1953-1958
・Toshiko Akiyoshi CDリーダー作②1960-1968
・Toshiko Akiyoshi CDリーダー作③1970-1976
・Toshiko Akiyoshi CDリーダー作④1976-1979
・Toshiko Akiyoshi CDリーダー作⑤1980-1987
・Toshiko Akiyoshi CDリーダー作⑥1990-1996
・Toshiko Akiyoshi CDリーダー作⑦1997-2005・・・このページ
・Toshiko Akiyoshi CDリーダー作⑧2006-2018
秋吉敏子(p), 鈴木良雄(b), 日野元彦(ds)
私が唯一、生で秋吉の演奏を聞いたのはこの時期だったと思う。記憶は定かではないが、ブルーノート東京ではなく赤坂Bフラットでのトリオ演奏だったと記憶している。ドラムはトコさんではなく村上寛だった気がする。迫力あるビバップ演奏だった。このCDを聞いても、やはり、私はバド系のビバップピアニストの秋吉が好きなのだと再認識させられる。ビッグバンドも嫌いではないが、小編成盤のほうが絶対的に好みであることは間違いない。秋吉さんは色の表現や主張の表現には大編成が必要と言っていた。ビッグバンドジャズも好きなので、それはそれでわかるが、オリジナル曲だけ、さらに和楽器による強烈な和のテイストは、私自身は敬遠してしまう。了見が狭くて申し訳ないとは思うが、仕方ない。トコさんが亡くなってこのタイトルになったのだと想像するが、チンさんに失礼だと思う。(hand)
日本人メンバーとしては超一級の豪華なバックアップによる作品。スタンダードと良く知られたオリジナルレパートリー中心で親しみやすい一枚だが、全体的にはリラックスイメージよりも、力強さがみなぎるピアノトリオ作品。(しげどん)
当日の演奏は素晴らしかったであろうと思うが、録音状態が悪いのか、バスドラがドスドスと響き、軽やかな秋吉のピアノソロが台無しだ。ベースのキレもイマイチで、もやもやした演奏だ。何を聴かせたいのか?をよく考えてアルバム制作してほしいものだ。(ショーン)
秋吉敏子(p,ldr),
Lew Tabackin(ts,fl),
Mike Ponella, John Eckert, Andy Gravish, Joe Magnarelli(tp),
Scott Whitfield, Luis Bonilla, Pat Hallaran(tb), Tim Newman(b-tb),
Dave Pietro(as,fl,cl), Jim Snidero(as,fl,cl), Tom Christensen(ts,cl), Scott Robinson(bs,b-cl),
Philippe Aerts(b), Terry Clarke(ds),
Guest:正岡ミヤ(琴)
ジャズ・オーケストラの第5作。内容は悪くないのに、正直なところ私好みではない。冒頭2曲①②がタバキンだけがフィーチャーされタバキン・カルテット・ウィズ・オーケストラのようであること、④⑤⑥と琴が取り入れられていること。ヨーポンよりはいいが、琴とタバキンの篠笛のようなフルートが組み合わさったりすると和のテイストが強烈過ぎて、繰り返し聞く気になれなくなってしまう。タイトル曲③は、バリトン、アルト、フルートアンサンブル、トロンボーンと十分なソロ回しがあって楽しめる。⑦ステイト・オブ・ザ・ユニゾン、もユニゾンを多用した面白い曲だ。(hand)
秋吉敏子(p), Philippe Aerts(b), Eddie Marshall(ds)
Carl Allen(ds:6), 原朋直(tp:7), 山田穣(as:7)
日本を描いたピアノトリオ盤。ビッグバンド盤だったら和楽器が入りそうだがトリオなのでそれはないかと思って安心して聞いていると、②③だけだが冒頭に民謡?と三味線が入り、気落ちした。全体に曲も演奏もいいのに、(秋吉さんには申し訳ないが)余計な演出だと私は思う。ラスト曲⑦には2管が入る。(hand)
秋吉敏子(p,ldr),
Lew Tabackin(ts,fl),
Brian Lynch, Mike Ponella, John Eckert, Andy Gravish, Joe Magnarelli(tp),
Scott Whitfield, Steve Armour, Pat Hallaran(tb), Tim Newman(b-tb),
Dave Pietro(as,fl), Jim Snidero(as,fl,cl), Tom Christensen(ts,cl), Scott Robinson(bs,a-fl,b-cl),
Philippe Aerts(b), Andy Watson(ds),
Guests:イツロウ・タジマ (和太鼓), ヒロ・佐々木(羯鼓)
ジャズ・オーケストラの第6作。A列車から始まるよくあるエリントン・トリビュート盤のような訳にはいかないだろうと想像はしていたが、まさか和太鼓と掛け声から始まるとは…ありきたりかもしれないが、秋吉オーケストラ流のAトレインのほうが聞きたかったかもしれない(秋吉さんごめんなさい)。和楽器の演奏は、和楽器愛好家が聞けばいいと思っている偏狭なジャズファンの私の正直な意見だ。後半の秋吉流のエリントン解釈による演奏は十二分に楽しい。(hand)
秋吉敏子(p)
ニューヨークのケネディ・センターでのソロ・ライブ。スタンダードとオリジナルを取り混ぜ、フレッシュな秋吉のピアノを堪能できる。円熟の、ではなく、フレッシュなという印象が秋吉のピアノの素晴らしいところだと思う。左手の正確なリズムでのスピード感のある演奏が、⑥コンアルマ、⑦ヴィレッジなどで聞かれる。(hand)
ライブでのソロ作品。スタジオ録音の71年のものに比べ、音数を慎重に選んで軽やかさは抑えめで味わいが増す感じがする。木更津甚句のVillageはふたたびソロで取り上げているし、最後の童謡など、日本的な味わいも増している。(しげどん)
力強くイキイキとした演奏。瞼を閉じて聴くと、秋吉の没頭している様が目に浮かぶ。メロディラインがはっきりしており、1曲の時間もそれほど長くなく、私のようなJAZZ初心者の日本人が聴いても馴染みやすい気がする。やや伴奏側の左手が単調で重いのが、曲によって気になる。(ショーン)
秋吉敏子(p,ldr),
Lew Tabackin(ts,fl),
Mike Ponella, Jim O'Conner, John Eckert, Jim Rotondi(tp),
Scott Whitfield, Steve Armour, Pat Hallaran(tb), Tim Newman(b-tb),
Dave Pietro, Jim Snidero(as,fl), Tom Christensen(ts,fl), Scott Robinson(bs,b-cl),
Paul Gill(b), Andy Watson(ds), Valtinho(perc)
Guest:ジョージ川口(ds), 元長賢(traditional Korean flute), 重森涼子(朗読)
ジャズ・オーケストラの第7作。新曲をライブで披露するというのは大変な苦労があると思う。しかも、タイトル曲②は、広島、原爆という重いテーマの曲である。良くできた組曲であり、第三部の⑦ホープ、これ以降の重要曲となる。ただし、音楽として繰り返し鑑賞することは、正直、困難な内容だと思う。少女のナレーションは音楽作品としてはルールから外れていると私は考える。ジョン・エッカートのトランペットが好演し、ミンガス・トリビュートの「フェアウェル」よりもミンガスを感じた曲ではある。(hand)
秋吉敏子(p), Peter Washington(b), Kenny Washington(ds)
ベースから始まる私の好きなピアノトリオのパターン。秋吉らしからぬファンキーな①ファイブ・スポット・アフター・ダークから始まる。そうだ、秋吉に不足気味なのはファンキーなフィーリングだ。もしかすると本人があまり好きではないのかもしれない。今回は、あえてそんな曲も演奏したことが好結果に繋がっている。(hand)
秋吉敏子(p,ldr),
Lew Tabackin(ts,fl),
Mike Ponella, John Eckert, Jim O'Conner, Jim Rotondi(tp),
Dan Levine, Steve Armour, Pat Hallaran(tb), Tim Newman(b-tb),
Dave Pietro, Jim Snidero(as,fl), Tom Christensen(ts,fl,ss), Scott Robinson(bs,ss),
Paul Gill(b), Andy Watson(ds)
Guest:日野皓正(tp)
ジャズ・オーケストラの第8作で一応のラスト盤(2010年に上海公演のために臨時で再結成される)。好ましいピアノトリオのビバップ演奏から始まる①レディ・リバティ、短いフルートに続きアルトソロ。遅れて出てくるタバキンのテナーがいつものワイルドではないのもいい。白人ながら黒人のテキサステナー的なソロが出てくると秋吉オーケストラの気品のようなものが薄まる気がする。タバキンは幽玄過ぎるフルートとブレンドして欲しいと失礼ながら常々思ってしまう。④⑤では日野皓正がゲスト出演して素晴らしいソロを聞かせてくれる。ゲストが入ることで選曲もアレンジも変わり統制が緩くなる。聞く方には、そのくらいが聞きやすいのだと思う。この盤は、私の苦手な部分がなく、素晴らしいモダン・ビッグバンド盤に思える。(hand)
ビッグバンドを辞めることにして、最後のツアーということなのでラスト・ライブ。でもメンバー全員リラックスというより吹っ切れたようにさわやかに元気なジャズを聴かせてくれる。(しげどん)
ビッグバンドでありながら、少人数の編成バンドのようなきめ細やかな演奏で、独自の世界観のあるライブ演奏。秋吉らしい和の雰囲気とエスニカルな感覚が面白い。unrequited loveにおけるルー・タバキンのフルートと日野皓正のトランペットが素晴らしい。(ショーン)
秋吉敏子(p)
日本中をツアーするにはビッグバンドは難しいという理由からトリオを始め、さらに身軽にツアーをするためにソロを始めたと読んだ記憶がある。この時期はビッグバンドを解散し、本当の意味で身軽に1人のピアニストとして演奏会が可能となっている。そのせいか、この盤は秋吉特有のいつもの圧のようなものが弱くとてもあっさりした内容に感じる。手を抜いたとかそういうことではなく、気持ちの上の身軽さが演奏に出ているのではないかと思う。(hand)
秋吉敏子(p), George Mraz(b), Lewis Nash(ds)
組曲・ヒロシマから単独で演奏されるようになった曲、ホープ。この曲をタイトル曲としたトリオ盤。ジョージ・ムラーツ、ルイス・ナッシュというこの時期の最高のリズムを迎え、盤のクオリティは高い。どんな音楽が流行ろうと、ジャズにどんなスタイルが現れようと、ビバップだけを清く正しく守り続ける秋吉のキレイなビバップ道の仕上げを感じたトリオ演奏だ。⑥スイート・ロレイン、には珍しく微かな甘みを、⑦すみ絵、のトリオ演奏にはほの明るい美しさを、そしてラストのタイトル曲⑨のソロ演奏には、穏やかな希望を感じた。(hand)
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・Toshiko Akiyoshi CDリーダー作①1953-1958
・Toshiko Akiyoshi CDリーダー作②1960-1968
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・Toshiko Akiyoshi CDリーダー作④1976-1979
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