Toshiko Akiyoshi リーダー作⑥1990~1996年

珍しく3年間録音が途切れますが、ビッグ・バンドもピアニストとしても活動が再開します。特に、日本のクラウンレコードのナインティ・ワン・レーベルと契約してからは精力的にピアノアルバムを発表しました。


FOUR SEASONS / 秋吉敏子

1990.7.2 & 3

Ninety-One(日Crown)

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p), George Mraz(b), Lewis Nash(ds) 

真面目に四季の移ろいを表現したクラウン盤

日本のクラウンレコードと契約し、コンスタントにピアノ盤が録音されることとなる。秋吉には2種類の「四季」盤があり紛らわしい。こちらは1990年ピアノトリオで銀杏の紅葉ジャケの「FOUR SEASONS」。もう1枚は6年後1996年のビッグバンド盤で青紫ジャケの「FOUR SEASONS for Morita Village」だ。こちらのジャケはfor以下の文字ポイントが小さめでFOUR SEASONSが目立つので間違えやすいのだ。この盤は、四季にちなんだ曲を題材に季節の移ろいを秋吉が真摯に情景描写したものだと思う。普通、ジャズの四季盤といえば、サマータイムや枯葉を楽しげに演奏した企画盤が多い。そこは、真面目な秋吉は単なる四季盤ではなく、秋吉流の四季盤を目指したと思われる。楽しげな演奏もあるが、熱演も多く、特にオリジナル⑤オータム・シーは日本の秋を感じる熱演だと思う。(hand)



REMEMBERING BUD : Cleopatra's Dream / 秋吉敏子

1990.7.31 & 8.1

Ninety-One(日Crown) / Evidence

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p), George Mraz, Ray Drummond(b), Lewis Nash, Al Harewood(ds) 

バド曲に取り組んだピアノトリオ盤

尊敬するバドの曲に取り組んだピアノトリオ企画盤。タイトル曲②のみがオリジナルで、後は全てバドの関係した曲。バドのような狂気に近い天才性とはまた違う、真面目な秋吉ならではのオリジナリティが発揮されている。(hand)



CARNEGIE HALL CONCERT / TOSHIKO AKIYOSHI JAZZ ORCHESTRA

1991.9.20

Columbia

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p,ldr), 

Lew Tabackin(ts,fl,piccolo),

Freddie Hubbard, Mike Ponella, John Eckert, Greg Gisbert, Joe Magnarelli(tp),

Herb Besson, Conrad Herwig, Larry Ferrel(tb), Matt Finders(b-tb),

Frank Wess(as,fl), Jim Snidero(as,ss,fl,cl,piccolo), Walt Weiskopf(ts,ss,cl,fl), Scott Robinson(bs,b-cl),

Peter Washington(b), Terry Clarke(ds)

秋吉敏子ジャズ・オーケストラの第3作はカーネギーホール出演記録

ジャズ・オーケストラの第3作。①MC後の1曲目が私の苦手なヨーポン(5回目)の②チルドレン・オブ・ザ・ユニバースからスタートするカーネギーホール・コンサート。和のテイストを強烈にアメリカ人に伝えるための手法だとは理解できるが、繰り返し楽しむ音盤としては私には耐えられない。そこさえ無ければ私好みのモダンなビッグバンドジャズなのだが…わざわざ日本から呼んでいる能か狂言かわからないがその人達にも申し訳ないけれども感想は変わらない。(hand)



CHIC LADY / 秋吉敏子

1991.11.15 & 16

Ninety-One(日Crown)

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★

ショーン   ★★★★

秋吉敏子(p), Peter Washington(b), Lewis Nash(ds),

John Eckert(tp,flh), Scott Robinson(as,bs), Walt Weiskopf(ts), Matt Finders(tb,b-tb,tuba)

トリオ+管ながら秋吉のピアノを堪能できる盤

管入り盤ではあるが、ピアノトリオ+管という感じの作りで、秋吉のピアノを主役に据えた編成・録音になっている。複雑で難解な曲の多い秋吉だが、スタンダードと親しみや自作を中心に秋吉のピアノを堪能できる盤だと思う。(hand)

編成はセクステットながら、各メンバーのソロは少なく、トシコ自身のピアノが大きくフィーチュアーされているコンボ作品。厚みのあるアレンジでテーマ部分を際立たせていて、彼女のオリジナル曲の旋律も印象に残りやすい。でも味わうのはやはりトシコさんのピアノだ。(しげどん)

秋吉の速弾きは良いのだが、全体を通してとなると、やや大人しく面白みが乏しいという印象のアルバム。(ショーン)



DIG / 秋吉敏子

1993.3.22-24

Ninety-One(日Crown)

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p), Peter Washington(b), Kenny Washington(ds),

Conte Candoli(tp), Walt Weiskopf(ts)

秋吉の原点ビバップを再確認できる盤

前作「シック・レディ」に続きピアノトリオ+管のスタイルの盤。マイルスの①ディグをタイトルで冒頭に置くことで秋吉の原点ビバップの再確認的な内容になっている。(hand)



DESSERT LADY - FANTASY / TOSHIKO AKIYOSHI JAZZ ORCHESTRA

1993.12.1-3

Columbia

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p,ldr), 

Lew Tabackin(ts,piccolo),

Mike Ponella, John Eckert, Greg Gisbert, Joe Magnarelli(tp),

Herb Besson, Luis Bonilla, Conrad Herwig(tb), Tim Newman(b-tb),

Jerry Dodgion(as,ss,fl), Jim Snidero(as,ss,fl), Walt Weiskopf(ts,ss,fl), Scott Robinson(bs,b-cl),

Doug Weiss(b), Terry Clarke(ds),

Guest:Daniel Ponce(conga:2)

ガレスピーのビバップが聞ける秋吉敏子ジャズ・オーケストラの第4作

ジャズ・オーケストラの第4作。ビッグバンド盤ながら、秋吉のピアノトリオを主体とされ、ホーンズ的にビッグバンドが入っている印象をもった。ただし、タバキンのテナーは強烈で、ホーンズに収まりきらず主役になってしまう。他人の曲を演奏しない秋吉のビッグバンドがガレスピーの⑥ビバップ、を演奏している。私としては、大歓迎で、有名曲の秋吉アレンジをたくさん聞きたくなる。(hand)



NIGHT & DREAM / 秋吉敏子

1994.6.19,20,23 & 24

Ninety-One(日Crown)

おすすめ度

hand        ★★★★☆

秋吉敏子(p), Peter Washington(b), Mickey Roker(ds),

Joe Magnarelli(tp,flh), Scott Robinson(as,bs,b-cl), Walt Weiskopf(ts)

ピアノトリオ+管でピアノに集中した秋吉

「シック・レディ」、「ディグ」からの延長線上にあるピアノトリオ+管のスタイルの盤。秋吉のピアノを聞きたい私には好ましいスタイルだ。このスタイルの時の秋吉のピアノソロは、トリオ盤よりもソロが短めになるためか集中力が高まっているように感じる。(hand)



AT MAYBECK VOL.36 / 秋吉敏子

1994.7.10

Concord

おすすめ度

hand        ★★★★☆

 

秋吉敏子(p)

コンコードのメイベック・シリーズに登場した秋吉

1989〜95年の7年間にコンコードはメイベック・リサイタルホールでのソロピアノによるライブ録音で42枚のアルバムを作成した。その36人目に選ばれたのが秋吉で、喜ばしいことだ。①ヴィレッジ、など秋吉の個性が十二分に発揮されていると思う。コンコードはその他に10枚のデュオ盤も作成している。(hand)



YES, I HAVE NO 4 BEAT TODAY! / 秋吉敏子 With Brazilian Friends

1995.8.2 & 3

Ninety-One(日Crown)

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p), Lincoln Goines(b), Duduka da Fonseca(ds),

Valtinho Anastacio, Ivo Araujo(perc),

Scott Wendholdt(tp), Scott Whitfield(tb), Ray Stewart(tuba), Lew Tabackin(fl:8), Roberta Cooper(cello)

ブラジル音楽に取り組んだ秋吉

秋吉がブラジル音楽に丸々1枚取り組んだ盤。ブラジルのおおらかな国民性と音楽が生真面目な秋吉に適合するのか心配になるが、多分、本人もその辺を認識しているのか、タイトルにも「今日は4ビートはやりません!」とまで決意表明して、リズム隊もブラジル人を採用して録音している。しかも、ベースはエレベだ。(hand)



FOUR SEASONS Of MORITA VILLAGE / TOSHIKO AKIYOSHI JAZZ ORCHESTRA

1996.7.2

BMG Victor / Novus

おすすめ度

hand        ★★★★☆

秋吉敏子(p,ldr), 

Lew Tabackin(ts,fl),

Mike Ponella, John Eckert, Andy Gravish, Joe Magnarelli(tp),

Scott Whitfield, Pat Hallaran, Joel Helleny(tb), Tim Newman(b-tb),

Dave Pietro(as,fl,cl), Jim Snidero(as,fl), Walt Weiskopf(ts,fl,cl), Scott Robinson(bs,b-cl),

Doug Weiss(b), Terry Clarke(ds),

Guest:長峰健一(津軽三味線奏者)

日本録音の秋吉敏子ジャズ・オーケストラの第4作

ジャズ・オーケストラの第4作。トシコ=タバキン時代に比べてピアノがフィーチャーされる率が高まった気がする。そして、日本録音ながら、私好みの東海岸のジャズを感じる。と言っても、組曲②〜⑤モリタ・ヴィレッジの四季、の冒頭で三味線が鳴ると身構えてしまうが、軽く出て終わるのでありがたい。強すぎる和のテイストに恐怖症気味になってしまった。(hand)



TIME STREAM - TOSHIKO PLAYS TOSHIKO / 秋吉敏子

1996.10.15 & 16

Ninety-One(日Crown)

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p), George Mraz(b), Lewis Nash(ds), 

Joe Magnarelli, Mike Ponella, John Eckert(tp), Bobby Shew(tp,flh),

Jim Snidero(as), Gary Foster(as,fl), Lew Tabackin(ts,fl),

Flute – Dave Tofani, Harvey Estrin, Trudy Kane(fl)

ピアノトリオ+管で自作曲を演奏した盤

自作曲をピアノトリオ+管で演奏した企画盤。和楽器など使わずとも十二分に和のテイストを感じる秋吉の曲、アレンジ、演奏だと思う。なのに、③孤軍、で久しぶりに「ヨーポン」が出てくる。楽器同士の協力によりヨーポン表現をすればそれでよかったのにと思う。(hand)