Toshiko Akiyoshi リーダー作⑤1980~1987年

10年間で13作品を発表したトシコ=タバキン・ビッグバンドを解散し、新たに秋吉敏子ジャズ・オーケストラを編成し、タバキンはフィーチャリング・アーチストとしました。ピアニストしても、日本レーベルを中心に引き続き精力的に作品を発表した時期です。


FAREWELL / TOSHIKO = TABACKIN BIG BAND

1980.1.10 & 

日Victor / Ascent

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p,ldr), Lew Tabackin(ts,fl),

Buddy Childers, Steven Huffsteter, Mike Price, Larry Ford(tp),

Rick Culver, Hart Smith, Bruce Fowler(tb), Phil Teele(b-tb),

Dan Higgins, Gary Foster(as), John Gross(ts), Bill Byrne(bs),

Bob Bowman(b), Steve Haughton(ds)

ミンガスに捧げたトシコ=タバキン・ビッグバンドの第11作

トシコ=タバキン・ビッグバンドの第11作は、ミンガスに捧げた盤とされる。とはいうのも、ミンガス曲はなく、⑦フェアウェル(トゥ・ミンガス)という曲が入っているだけ。他にもミンガス風の曲もないのが個人的には残念だ。ジャケがミンガスの影のようなので、やはりアルバムとしてミンガスに捧げたものなのだろう。ミンガスは秋吉がサイドマンとして所属した唯一のバンドだと思う。ジャズ批評に『穐吉敏子ミンガスを語る』という対談もある(219号。32号の再掲)。(hand)



JUST BE-BOP / 秋吉敏子

1980.3.24 & 25

Discomate

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p), Charles McPherson(as), Steven Huffsteter(tp,flh),

Gene Cherico(b:1,2), Bob Bowman(b:3-7), Roy McCurdy(ds)

トランペット、アルトの2管でのビバップ演奏

2管でのビバップ演奏。「プレイズ・トシコ」でフィーチャーしたトランペットのスティーブン・ハフステッターが再び秋吉ビッグバンドから、そしてミンガス時代に共演経験のあるアルトのチャールズ・マクファーソンが参加している。選曲も演奏も荒削りなビバップとアレンジの入ったハードバップの中間くらいの内容だと思う。この手の熱い演奏、例えばライブをもっと残してほしかった。秋吉はこの手の構成で熱いソロを聞かせることが多いと思う。ハフステッターは素晴らしいが、マクファーソンはミンガスバンドに比べるとやや勢いが弱いように感じた。(hand)



1980 IN RIKUZENTAKADA / 秋吉敏子

1980.6.13

Johnny's Disc

おすすめ度

hand        ★★★★★

しげどん   ★★★★★

ショーン   ★★★★★

秋吉敏子(p), Bob Bowman(b), Joey Baron(ds)

秋吉の凄さが伝わる迫力あるピアノトリオ・ライブ

ライブを主催した陸前高田ジョニー(現、開運橋のジョニー)の照井さんが秋吉の許可なく録音した音源を、後に許可を得て正式発売した盤。海賊録音なので、多少の難がある部分はあるが、とにかく内容が素晴らしい。会場の熱気に応えて、秋吉をはじめとするメンバーが熱演を繰り広げる。秋吉のMCが素晴らしいので長く収録されているが、別トラックになっているのでそれはいい。ただ、曲のクレジットミスがここまで多い盤は日本では珍しい。(hand)

ピアノトリオのライブで、とても力強い。ライブ作品として素晴らしい構成になっていて、名曲Long Yellow Roadからはじまり、歌物スタンダードのOld Devil Moonからミルドレッド・ベイリーの名唱が印象深いI Let a Song・・・それから再びオリジナル曲。いいです。ビッグバンドでは作り込まれたオリジナル作品主体だが、このようなオーソドックスなピアノトリオの秋吉さんの凄さがわかるライブだ。 (しげどん)

迫力のライブ。秋吉敏子のパワフルなノリと踊り狂うリズムが、キレの良いJAZZを聴かせてくれる。秋吉の自由なアドリブにJoey BaronのベースとBob Bowmanのドラムスの息はバッチリで、それぞれのきめ細かい技が冴え渡る極めて爽快で心地良い演奏ばかりの名盤だ。また秋吉敏子の生のMC、当時の彼女の気持ちも残されていて、とても貴重な音源といえる。(ショーン)



TUTTIE FLUTIE / 秋吉敏子

1980.6

Discomate

おすすめ度

hand        ★★

秋吉敏子(p), Bob Bowman(b), Joey Baron(ds)

Louise diTullio, Geraldine Rotella, Monday (Michiru Akiyoshi) Mariano, Susan Greenberg(fl)

マンディら4人のフルートアンサンブルとの共演盤

マンディ満ちる、を含む4人のフルートアンサンブルと秋吉トリオの共演企画盤。フルート4人はフォーバースはあるもののソロらしいソロはなく、ジャズ的には不満が残る。マンディはジャズアーチストではないので仕方ないのかもしれない。(hand)



FROM TOSHIKO WITH LOVE = Tanuki's Night Out  トシコから愛を込めて / TOSHIKO = TABACKIN BIG BAND

1981.3.24&25, 4.20

日Victor / JAM

JAM盤

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p,ldr), Lew Tabackin(ts,fl),

Buddy Childers, Steven Huffsteter, Mike Price, Larry Ford, Richard Cooper(tp),

Jim Sawyer, Hart Smith, Bruce Fowler(tb), Phil Teele(b-tb),

Dan Higgins, Gary Foster, Bob Sheppard(as), John Gross(ts), Bill Byrne(bs),

Edward Bennett (b), Steve Haughton(ds)

日米盤があまりに違うトシコ=タバキン・ビッグバンドの第12作

トシコ=タバキン・ビッグバンドの第12作。日本では「トシコから愛を込めて」が米盤では「タヌキズ・ナイト・アウト」というタイトルもジャケも同一盤とは思えない発売のされ方なので、誤購入の危険大の盤だと思う。やはり愛を捧げられているのはタバキンかと思うが、この人は白人ジョーヘンみたいな感じから入り、徐々にロリンズ的になり、ビッグバンド時代になるとエディ・ロックジョー・デイビス的なワイルドさを見せるようになった。多分、テナーがめちゃくちゃ上手くて何でもできるのだと思う。器用さが裏目に出てあまり人気に繋がっていないと思う。特に、ロックジョー的なのはビッグバンドのホーン群の中でも目立つために始めたと思うが、日本人的感性にはあまり合わないと思う。米タイトル曲④タヌキは、不安感を煽るようなメロディで、この盤で最も印象に残る曲だ。愛を込めてというロマンチックな日本タイトルとは全く合っていない。ということは、米タイトルが正解ということかもしれない。日本タイトルやジャケに合った曲はないので、日本製作側の売らんかなの姿勢によるものと思う。外見と、中身の違いが長い目で見てファンを減らすとは想像しないのだろうか?残念なことだ。(hand)



EUROPEAN MEMORIES メモワール / TOSHIKO = TABACKIN BIG BAND

1982.9.21 & 22

日Victor / Ascent

おすすめ度

hand        ★★★☆

秋吉敏子(p,ldr), Lew Tabackin(ts,fl,piccolo),

Buddy Childers, Steven Huffsteter, Mike Price, Larry Ford(tp),

Dave, Bowman, Hart Smith, Bruce Fowler(tb), Phil Teele(b-tb),

Matt Catingub(as,ss,fl,cl), Bob Sheppard(as,ss,fl), John Gross(ts,fl,cl), Bill Byrne(bs,ss,b-cl,a-cl),

Bob Bowman(b), Joey Baron(ds)

Anonymous(voice:4)

トシコ=タバキン・ビッグバンドのラスト盤となる第13作

トシコ=タバキン・ビッグバンドの第13作。長く続いたこのビッグバンドのラスト盤。久々にヨーポンが登場(4回目)。毎回書いて申し訳ないが、それによって、繰り返し楽しむ盤とすることができなくなるので、とても残念だ。(hand)



TOSHIKO AKIYOSHI TRIO / 秋吉敏子

1983.5.27

Toshiba East World

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p), Gene Cherico(b), Joey Baron(ds)

くつろいだ秋吉の聞ける東芝からのトリオ盤

シンプルなタイトルからは気迫満点の盤が想像されるが、ジャケ同様に気負いがなく、秋吉の寛いだプレイの聞かれる盤。この時期あたりから、秋吉の表現に寛ぎの要素が加わり、聞きやすい盤が増えていると感じた。(hand)



TEN GALLON SHUFFLE / TOSHIKO AKIYOSHI JAZZ ORCHESTRA

1984.5.24 & 25

BMG Victor / Baystte / Ascent

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★

ショーン   ★★★★

秋吉敏子(p,ldr), 

Lew Tabackin(ts,fl),

Joe Mosello, John Eckert, Brian Lynch, Chris Albert(tp),

Hart Smith, Chris Seiter, Conrad Herwig(tb), Phil Teele(b-tb),

Frank Wess(as,ss,fl), Jim Snidero(as,fl,cl), Walt Weiskopf(ts,ss,cl), Ed Xiques(bs,ss,b-cl),

Mike Formanek(b), Scott Robinson(ds)

秋吉敏子ジャズ・オーケストラの初盤

トシコ=タバキンの「ヨーロピアン・メモリーズ(メモワール)」から2年、秋吉敏子ジャズ・オーケストラ・フィーチャリング・ルー・タバキンとして長年のメンバーをほぼ一新して(バストロのフィル・ティールだけは継続。この人はずーっといてすごいのだが、遂にこの盤が最終となる)ビッグバンドを再結成した秋吉。タバキンはコリーダーではなく、フィーチャリング・アーチストとなり、完全に秋吉のバンドとなった。トシコ=タバキンの深刻さのある重い感じが減り、音楽をそして人生を楽しくする感じの音楽に変わってきたように感じる。孤軍やミナマタの重いテーマを音楽化したものは芸術性は高いかもしれないが、深刻なテーマで作られた音楽は、秋吉さんには申し訳ないが、なかなか日常聞きする音楽としてリスナーも楽しめないと思う。黒人問題の苦しみをそのまま演奏したらジャズは楽しみ・愉しみの対象とはならなかったと考える。ルイ・アームストロングが楽しいジャズを作り上げてくれたことで現在もジャズが続いているのだと思う。その意味で、この盤は、ベイシーに通ずるような楽しさのあるビッグバンド演奏で、好感が持てた。(hand)

モダンビッグバンドの粋のようなスィング感のある作品。元気いっぱいのシャッフルリズムの表題曲や、シンプルにメンバーの技巧豊かなソロが楽しめるジャミング・アット~など、全体的にノリのいいモダンビッグバンド作品。(しげどん)

1曲目は、明るい雰囲気の楽しい演奏。一転して2曲目は、和のマイナーを生かした静かなバラードと、幅の広さを表現したビッグバンド。秋吉のピアノとルーのフルートがとても効果的に抒情表現している。大人な落ち着いた時間を過ごせるアルバムだ。(ショーン)



TIME STREAM / 秋吉敏子

1984.6.23 & 24

Toshiba East World

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p), George Mraz(b), Art Taylor(ds)

名手2人のサポートを得て好内容のトリオ盤

東芝からのトリオ第2作。前作「トシコ・アキヨシ・トリオ」に続き聞きやすい。かと言って、日本人K氏プロデュースのケニー・ドリュー盤のような超甘口盤になってはいないので、好感が持てる。リズム隊には、ジョージ・ムラーツとアート・テイラーが参加している。(hand)



WISHING PEACE / TOSHIKO AKIYOSHI JAZZ ORCHESTRA

1986.7.21 & 22

Ken

おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p,ldr), 

Lew Tabackin(ts,fl,piccolo),

Joe Mosello, John Eckert, Brian Lynch, Chris Albert(tp),

Hart Smith, Conrad Herwig, Kenny Rupp(tb), Matt Finders(b-tb),

Frank Wess(as,ss,fl), Jim Snidero(as,fl,cl), Walt Weiskopf(ts,cl,fl), Mark Lopeman(bs,b-cl),

Jay Anderson(b), Jeff Hirschfield(ds)

Guest:Daniel Ponce(conga:1)

上品な感じに仕上がった秋吉敏子ジャズ・オーケストラの第2作

ジャズ・オーケストラの第2作。平和を祈るタイトルなので、また深刻路線かと思うと、カラフルで楽しい①フィースト・イン・ミラノから始まりほっとする。タバキンの上品なフルートが多用され、ワイルドなテナーがあまり出てこないので、作品自体も上品な感じにまとまっていると思う。(hand)



INTERLUDE / 秋吉敏子

1987.2

Concord

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おすすめ度

hand        ★★★★

秋吉敏子(p), Dennis Irwin(b), Eddie Marshall(ds)

コンコードからのピアノトリオ第2作

秋吉のピアノがこれまでに比べ、ピアニスティックで明るい音色になった気がする。タイトル曲①でボサノバのリズムも珍しい。ドラムは、初期に共演していたエディ・マーシャルが久々に参加している。(hand)