Sonny Rollins ソニー・ロリンズ 主要作品CDディスクガイド:リーダー作編  7 (後期3)2000年から2012年まで

ロリンズ最終ページです。⑥ページに入り切れなかった2000年以降の作品を掲載しました。


THIS IS WHAT I DO/Sonny Rollins

May 8, 9 & July 29, 2000

hand ★★★☆

Sonny Rollins(ts),Clifton Anderson(tb),Stephen Scott(p),

Bob Cranshaw(el- b),Jack DeJohnette(ds),Perry Wilson(ds)

ロリンズ70歳の作品は、得意のカリプソ曲からスタートするジャズ系の盤

ロリンズ70歳の作品。ロリンズ盤に多いカリプソ曲①からスタートするパターン。基本的にネアカな音楽だと思うが、ロリンズ自身がネアカかどうかはわからない。この時期の盤はベースがエレベということもあり、1曲目を聞いただけでは、フュージョン的な盤かジャズ的な盤かはわからないことが多い。この盤は、ジャズ系の盤。いつものメンバーで1枚吹き込んでみましたというか、あまり気負いは感じない。(hand)



WITHOUT A SONG The 9.11 Concert/Sonny Rollins

September 15, 2001

hand ★★★★

Sonny Rollins(ts),Clifton Anderson(tb),Stephen Scott(p),

Bob Cranshaw(el-b),Perry Wilson(ds),Kimati Dinizulu(perc)

9.11テロ4日後のライブ録音でマイルストーン最終盤

この盤は20年前の9.11テロの4日後にボストンで録音されたライブ音源で、マイルストーンからの最終盤になる。9.11追悼ライブとされているが、録音時にその意識があったのかは微妙だし、選曲された曲のタイトルに意味がありそうにも思えるが、ほとんどが元気な演奏で追悼カラーはない。テロの4日後にニューヨークではないにしても、普通にライブができたことに違和感は感じるし、日本だったら自粛ムードで、歌舞音曲はしばらくはなしになっただろう。内容はいつものメンバーのいつものライブというもので、少々ラフな感じがジャズ度を高めてはいる。(hand)



SONNY, PLEASE/Sonny Rollins

December 20 & 21, 2005, January 13, February 9 & 10, 2006

hand ★★★★

Sonny Rollins(ts),Clifton Anderson(tb),Bobby Broom(g),Bob Cranshaw (el-b,b),Steve Jordan(ds),Kimati Dinizulu(perc),Joe Corsello (ds)

自己のレーベル「ドキシー」からの初盤は75歳のスタジオ録音盤

自己のレーベル・ドキシーからの初盤で、現時点では75歳のスタジオ最新作。この後出ている盤は、同じドキシーからの過去ライブを寄せ集めた「ロード・ショーズ」シリーズだけとなっている。この盤、想像を裏切るハードなロリンズ作のタイトル曲①から始まる。16ビートでコンガが激しく、70年代マイルスとまでは言わないが、ロリンズらしからぬぶっ飛んだ雰囲気に驚く。75歳とは思えない新しさを感じた。パーカッションのキマチ・ディエンヌがいい働きをしているのだと思う。2曲目以降はいつもの雰囲気に近づきはするが、気合いは感じる。ピアノレスでギターが戻っている。得意のカリプソ曲をラスト⑦に持ってきたのもいいと思う。(hand)



ROAD SHAWS VOL.1/Sonny Rollins

1980.10.23 &25

1986.5.25

2000.6.8

2006.5.15

2007.6.24 & 9.18

Doxy

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Mark Soskin, Stephen Scott(p) Bobby Broom(gr), Christian McBride(b), Bob Cranshaw, Jerome Harris(el-b), Perry Wilson, Victor Lewis, Al Foster, Steve Jordan, Roy Haynes(ds), Kimati Dinizulu, Victor See-Yuen(perc)

1980〜2007年までの7曲の熱演集

1980〜2007年までの7曲のライブを集めた盤。埋もれさせてはもったいない演奏を自己レーベルのドキシーから発売したものと思われる。それだけに熱演揃いだ。スタジオ録音ではエレピだった曲がピアノで演奏されるなど、ジャズ度が高いのは好感だ。(hand)



ROAD SHAWS VOL.2/Sonny Rollins

2010.9.10,10.1 & 7

Doxy

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), Roy Hargrove(tp), Ornette Coleman(as), Jim Hall, Russell Malone(gr), Christian McBride(b), Bob Cranshaw(el-b), Kobie Watkins, Roy Haynes(ds), Sammy Figueroa(perc)

ゲストも素晴らしい80歳の誕生日記念ライブ

現時点で盤単位では最新2010年録音で、80歳の誕生日記念ライブだ。①ゼイ・セイ・イッツ・ワンダフル、エレベは仕方ないにしても、「橋」(1962年)のジム・ホール以来、久しぶりにジャズを感じるギタリストが採用されている。ラッセル・マローンだ。やはりジャズ・ギターはいい。そして②センチメンタル・ムードでは何とジム・ホール本人がロリンズのMCで登場して驚く。が、しかし、残念なことにこの曲でロリンズが吹かないのだ。ホールの参加はこの曲だけなのに、ありえない残念さだ。ロリンズ盤でホールのトリオ演奏を聞いてもしょうがない。③ソニー・ムーンは、オーネット・コールマン、クリスチャン・マクブライド、ロイ・ヘインズがゲスト。すごいゲストだ。ピアノレス、ギターレスのこのメンバーで20分超の演奏。マクブライド以外は高齢者なのに素晴らしく迫力もある。この曲だけでも価値ある盤だと思う。④⑤に参加のロイ・ハーグローヴの余裕のプレイもいい。(hand)



ROAD SHAWS VOL.3/Sonny Rollins

2001.11.11

2006.5.15

2007.8.11

2009.9.19

2012.7.25

Doxy

おすすめ度

hand   ★★★☆

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Stephen Scott(p), Bobby Broom, Peter Bernstein(gr) Bob Cranshaw(b,el-b), Perry Wilson, Steve Jordan, Victor Lewis, Kobie Watkins(ds), Joe Corsello(ds:6), Kimati Dinizulu(perc)

2001〜2012年までの6曲の熱演集

2001〜2012年までの6曲のライブ。③⑥が曲単位では最新年の2012年録音だ。新曲③パタンジャリでは、ドラムのコビー・ワトキンスの熱いプレイがロリンズを燃えさせている。ピアノは①のみでステファン・スコット。②〜⑤はギターで、ボビー・ブルーム3曲とピーター・バーンスタイン2曲となっている。(hand)



ROAD SHAWS VOL.4:HOLDING THE STAGE/Sonny Rollins

1979.7.13

1996.10.23

2001.9.15

2006.5.15

2007.11.24

2012.7.25 & 10.30

Doxy

おすすめ度

hand   ★★★☆

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Mark Soskin, Stephen Scott(p) Bobby Broom, Peter Bernstein(gr), Bob Cranshaw, Jerome Harris(el-b), Jerome Jennings, Kobie Watkins,  Al Foster, Victor Lewis, Harold Summey Jr., Perry Wilson(ds), Kimati Dinizulu, Sammy Figueroa, Victor See Yuen(perc)

1979〜2012年までの10曲の熱演集

このシリーズで初めてサブタイトルがついた盤。1979〜2012年までの10曲のライブ。「ロード・ショーズVol.2」でロリンズ抜きで演奏された①センチメンタル・ムードがロリンズ中心に演奏される。②プロフェッサー・ポールと③ミックスド・エモーションズが最新年2012年の録音で、特に③が10月30日の最新日録音。全体にいつものメンバーで、ロリンズは楽しそうに伸びやかなソロを吹き続ける。(hand)




ロリンズ後期の感想としては、前期・中期にはなかなか及ばないが、それでもロリンズ自身のプレイに不調や老いはあまり感じなかった。要はエレクトリックな音楽が好きかどうかという好き嫌いのレベルの問題だと思う。私自身、フュージョンは嫌いではないが、ロリンズのフュージョンはあまり好きになれない。時代的に仕方なかった時期はあるにしても、ストレートアヘッドなジャズが復活した後もボブ・クランショウのエレベを使い続けたのが一番残念な点だ。ストレートなコンボジャズ盤にエレベを使っているだけで☆0.5は低くなってしまう。クランショウはアコベも弾けるのだから、せめてジャジーな曲ではもっとアコベを弾かせて欲しかった。後期を全部聞きしている間に、ロリンズの91歳の誕生日(1930.9.7生)があった。音楽活動からは引退しているが、元気なようで何よりだ。ロリンズは、近年、自己レーベルのドキシーから後期の発掘ライブ盤を「ロード・ショーズ」シリーズとして公式発表している。各国各会場での拍手と歓声がものすごく、人気が衰えていなかったことがわかる。そしてまた、どの盤もなかなかの高水準で喜ばしいことと思う。(hand)