ソニー・クラークのサイド参加作のレビューの続きです。
1957年以降の作品ですが、彼の仕事は爆発的に増え、たくさんの名盤の隠れた主役になっていきます。
そしてこの時期ようやく彼は初リーダー作を残しています。
クラークの作品としてだけでなく、リーダーミュージジャンの代表作となっていく作品が多い時期です。
またブルーノートでは、未発表作品が多く、1980年以降順次日の目を見ました。内容は優れた作品が多いですが、リアルタイムで発売された作品に比べて注目度が低いです。ぜひ注目していただきたいと思います。
ソニー・クラーク ディスク・レビュー 目次
・ソニー・クラークのサイド参加作 1 ・・1955年~56年
・ソニー・クラークのサイド参加作 2 ・・・1956年~57年
・ソニー・クラークのサイド参加作 3 ・・・1957年~59年・・・このページ
Kenny Dorham(tp),Hank Mobley(ts),Sonny Clark(p),Jimmy Rowser(b),Art Taylor(ds)
ケニー・ドーハムが好調だ。初代JMのフロントとソニー・クラークのトリオの組合せで、悪い盤となる確率は低い。(hand)
ソニー・クラークの存在で有名な発掘盤。もちろん内容はオーソドックスなジャズで演奏内容も悪くはない。(しげどん)
※このアルバムはオクラ入りしていた発掘音源で、日本で東芝EMIのジ・アザー・サイド・オブ・Blue Note1500シリーズとして「Hank Mobley Quintet Featuring Sonny Clark」のタイトルで発売され、後年CD化の際に、発掘者マイケル・カクスーナが「カーテン・コール」と名付けて再発売されたものです。
Hank Mobley(ts),Art Farmer(tp),Pepper Adams(bs),Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)
モブレーが全盛期に差し掛かりつつあることを示す傑作盤。まずはB面最後のイースト・オブ・ブルックリンから聴いて欲しい。哀愁に満ちたテーマから彼のソロがスタートするあたりの語り口は、モブレー節全開で泣かせる。ほかのトラックもいいが、いつもどおりのスロースタートぶりなのだ。クラークも好演だしアダムスのバリトンもいいアクセントだ。(しげどん)
モブレーは、62年は録音がなく、63年以降の盤は、海賊ライブ以外は基本的にジャズロック盤で、好きになれない。未発盤は、モーダルだったり、4ビートだったり、売れないと判断されたのだと思うが、正規盤に比べて悪いものではない。61年以前の未発盤は「カーテン・コール」(57)、本盤(57)、「アナザー・ワークアウト」(61)の3枚の従来型のハードバップ盤で、未発理由が不明な良盤ばかりだ。本盤は、ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」からマクリーンがモブレーに変わり、バリサクが加わる形なので、悪い盤のわけがない。(hand)
表題曲は、いかにもモブレーらしい曲。アダムスのグリグリとしたバリトンが面白い効果を加えており、テナー、トランペットとの一体感もある。続くDarn That Dreamは一転してバラード。モブレーの哀愁漂うテナーに、ミュートされたファーマーのトランペットが雰囲気を助長しており、素晴らしい出来。特に曲の最後でブレイクしてのモブレーのソロは聴き応え十分。(ショーン)
Johnny Griffin(ts),Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Kenny Dennis(ds)
タイトル曲は教会に集まる信者を表す「コングリゲイション」。その題名通りファンキーなテイストの曲で、クラークの粘っこさを生かすには最高の素材だ。ワンホーンカルテットなので、ピアノの出番も多くクラーク節全開のソロがたっぷり聴ける。ジャケットはアンディ・ウォーホルのイラストなので、ぜひアナログ盤を所有して、部屋に飾って欲しい。(しげどん)
Cliff Jordan(ts),Art Farmer(tp),Sonny Clark(p),George Tucker(b),Louis Hayes(ds)
クールストラッティンに近い雰囲気がある。この雰囲気には打たれてしまう(笑)。ソニー・クラークは絶好調だ。クリフ・ジョーダンは、70年代に人気が出るが、この時期はまだ地味だが、いい感じのプレイをしている。ジョーダンの回には選びたい。(hand)
1500番台の人気盤。アート・ファーマーとクリフォード・ジョーダンの組み合わせで予想通りの良質なジャズ。ミュートのファーマーとジョーダンのテーマ吹奏から盛り上がるハードバップテイスト。B面は超有名なバップスタンダードとエリントン曲で、わかりやすく楽しめる。(しげどん)
クリフのテナーは力強く、アートファーマーのトランペットとともに、アルバム全体は骨太で硬い印象に仕上がっている。ソニークラークがバックで支えているが、あまり出番も無く、やや情緒に欠ける嫌いがある。(ショーン)
1957年11月18日、1959年2月2日 Blue Note Lee Morgan(tp) Sonny Clark(p) Doug Watkins(b) Art Taylor(ds)
二管三管が多いモーガンなので、ワンホーンで彼のトランペットをゆったりと味わえる作品はこれだけ。それだけに期待して聴いたが最初の印象は地味だった。今回聴きなおして、これは彼のソロの最高の部分が充分に堪能できる作品であり、最高作と思えるようになった。聴くほどにモーガンのソロが味わい深く感じる滋味深い作品。ソニー・クラークのサポートも素晴らしい。(しげどん)
久しぶりに聞いて、名盤だと思った。若い頃に、モーガンの唯一のワンホーン名盤という触れ込みで聞いたときは、暗いはずのモーガンとソニー・クラークの明るい演奏に違和感を感じた。明るい曲も暗く(ジャジーに)してしまうマイルスと違い、モーガンが明るい曲を明るく演奏するのが不満だったのかもしれない。今、改めて聞くと、明るい中にも、仄暗さは感じる(笑)(hand)
A1の可愛いテーマ曲に続く2曲目「since I fell for you」とB1の「all the way」のスローなナンバーが、静かに語りかけるようで素晴らしい。ソニークラークのピアノが良い塩梅で効いていて、全くハズレ曲の無いアルバムに仕上がっている。ラスト曲「personality」の高音域での張りのある破裂音はファンタスティック!(ショーン)
Curtis Fuller(tb),Art Farmer(tp),Sonny Clark(p),George Tucker(b),Louis Hayes(ds)
1曲目から勢いがあり素晴らしい。フラー、ファーマーはもちろん、ソニー・クラーク、ルイス・ヘイズも大活躍。ややラテン風味のある盤だ。フラーの回で選びたい。(hand)
ラテンテイストの一曲からブルーノート1500番台らしいカッコ良さ。そしてソロの先頭はソニー・クラーク。彼らしいクラーク節全開でかっこよくノリのいい演奏の割には哀愁もチョッピリ感じる素晴らしさ。雰囲気もそのままに50年代のパワーを感じながらフラー、ファーマーのソロも楽しめる愛すべき一枚。(しげどん)
curtis fullerのリーダー盤だが、ソニークラーク、アートファーマーの演奏が素晴らしく、聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。特にトランペットとトロンボーンの2管ハーモニーがいい。更にクラークの乾いた鍵盤の音色が、打楽器的に響いて、雰囲気作りに一役買っている。名盤だ!(ショーン)
Lou Donaldson(as),Donald Byrd(tp),Curtis Fuller(tb),Sonny Clark(p),George Joyner(b),Art Taylor(ds)
ブローイング・セッション盤である。ルウ・ドナのアルトに圧倒される一枚。クラークもいいソロをとっている。(しげどん)
Curtis Fuller,Slide Hampton (tb), Sonny Clark(p),George Tucker(b),Charlie Persip(ds)
これも何でお蔵入りしていたのかわからない素晴らしい作品だ。二人のトロンボーンのソロもいいけど、ソニー・クラークの哀愁ただようクラーク節はここでも全開の素晴らしさだ。(しげどん)
Lee Morgan(tp),Tina Brooks(ts),Sonny Clark(p),Doug Watkins(b),Art Blakey(ds)
現在はブルーノートから4枚のリーダー盤が出ているティナ・ブルックス。このうち「トゥルー・ブルー」1枚だけが存命中に発売されただけという悲しさだ。原因はやはり売れなそうな感じだと思う。今であれば、日本でのクラーク人気も知られており、発売されていたと思う。マクリーンとの共演では、テナーのマクリーン的な演奏もしていたブルックス。もっとブルックス節を聞かせれば人気も出たと思う。クラークは、この手の雰囲気の盤では最高に力を発揮する人なので、いいプレイをしている。(hand)
曲調がいい雰囲気にソニー・クラークやリーモーガンの陰影を引き出していて素晴らしい。ティナ・ブルックスの作品は少ないが、この作品といい、「Back To The Tracks」といい、傑作といってもいい作品がお蔵入りになっていた不遇の人だ。クラークに加えて、モーガン,ブレイキーといった人気のビッグネームも参加していて内容も優れているのになぜ当時お蔵入りになったのか本当に不思議だ。発掘時の黒猫のジャケットも悪くないが、今は彼の写真を使ったデザインで再発されていてよかった。(しげどん)
Louis Smith(tp),Charlie Rouse(ts),Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
1曲目のアルバムタイトル曲smithvilleが、ブルージーで骨のある良い曲だ。ルイスミスのトランペットが素晴らしく、複雑なハーモニーで大きな波が寄せるようなエンディングも印象的だ。2曲目wetu、ルイ・スミスのフレーズは一瞬クリフォードブラウン的な速吹きで冴え渡る。ソニークラークのピアノとポールチェンバースのアルコ、こちらも迫力満点だ!生で聴いたらゾクゾクすることだろう。そしてしっかり聴かせる3曲目embraceble youで叙情的な雰囲気に浸れる。(ショーン)
ルイ・スミスは二枚のリーダー作を残してその後はナゾの人。アルバムの出来栄えは、最初の作品であるHere Come Louis Smithに譲る。悪くはないのだが彼のオリジナルは耳になじみにくいと感じるのだ。ソニー・クラークに視点を合わせて聞いた方がいい盤かもしれない。(しげどん)
Bennie Green(tb),Eddy Williams(ts),Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Jerry Segal(ds),Babs Gonzales(vo)
全8曲シングル盤ということは、ベニー・グリーンのシングルが4枚も発売されたということ。日本では信じられないくらいグリーンは人気があったのだ。シングルなので、短めな演奏が多いが、クラークのピアノはとてもいい。クラーク節も聞かれる。ラストのバブス・ゴンザレスのボーカルは苦手だ(笑)。
(hand)
クラークのシングル盤用の音源は、ピアノトリオものはSTANDARDSとしてCD化されている。これも同様の企画で、短めの演奏でタイトル部分が一般受けする聴きやすい曲調の作品集になっている。クラークのソロも聴きやすいので、親しみやすい一枚だ。(しげどん)
Bennie Green(tb),Jimmy Forrest(ts),Sonny Clark(p),George Tucker(b),Paul Chambers(b),Paul Gussman(ds)
ベニー・グリーンもソニー・クラークもご機嫌な内容だ。レーベルが悪いのか、音が割れるのが残念。(hand)
ベニー・グリーンのゆるいブルーステイストのノリが半端なく、B級感満載の格調の低さ。でもジャズ的には堅苦しいアレンジ偏重のものよりこんな外れ玉みたいな作品にこそ愛着がわく。クラークものせられてそこで彼らしい粘りっこいクラーク節を発散している。ベニー・グリーンという人はガンガン自己主張する芸術家というより、ノリノリでやってる芸人みたいで憎めない。(しげどん)
ソニー・クラーク ディスク・レビュー 目次
・ソニー・クラークのサイド参加作 1 ・・1955年~56年
・ソニー・クラークのサイド参加作 2 ・・・1956年~57年
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