その後はライトハウス・オールスターズへの参加で、西海岸での活躍が続きました。
このページではそれ以外の単発な仕事を含めキャリア前半のブルーノートレーベルへの参加以前のサイド作品をレビューしていきます。一部のみの参加などを除き、可能な限り全作をレビューしています。
ソニー・クラーク ディスク・レビュー 目次
・ソニー・クラークのサイド参加作 1 ・・1955年~56年・・・このページ
・ソニー・クラークのサイド参加作 2 ・・・1956年~57年
・ソニー・クラークのサイド参加作 3 ・・・1957年~59年
1953.2.20
Prestige
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★☆
Frank Morgan(as),Wardell Gray(ts),Sonny Clark(p),Teddy Charles(vib),Dick Nivison(b),Lawrence Marable(ds)
この作品のメインはグレイのワンホーンカルテットによる二つのセッションで、これがこの盤を名盤にしているゆえん。ソニー・クラークははっきり言っておまけ。そのオマケのような形でB面の最後に入っている三つ目のセッション4曲が当初45回転EPで発売されたテディ・チャールズ名義のものでこれがソニー・クラークの初録音。残念ながらバッキング主体でソロはほとんど登場しない。(しげどん)
短命だったワーデル・グレイの数少ないリーダー盤の1枚。グレイが目立ち過ぎて、クラークのプレイは目立たないので、クラーク目当てで聞く意味はあまりない。グレイは、レスター・ヤングをモダンにした偉大なテナーの1人とされているが、デクスター・ゴードンと比べるとモダン度が低いように感じてしまう。(hand)
1953年3月30日
Straight Ahead
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★★
Art Pepper(as),Sonny Clark(p),Harry Babasin(b),Bpbby White(ds)
音は悪いが、以前ほどは気にならなくなった。年齢的に耳の敏感さが退化しているのかもしれない。ペッパーは好調だと思うが、録音バランスのせいか、あまり前に出て訴えかけてこない。2枚目後半の数曲は、特にペッパーの録音が悪く、バイオリンのような音色に聞こえる。ソニー・クラークはお気に入りのピアニストだが、ここでのバッキングは、鋭いコンピングが多用され、後年の粘りもなく、あまり好感が持てない。(hand)
アナログだとLP二枚。53年の非正規録音なので、音質もバランスも悪いが内容は素晴らしい。バディ・デフランコ時代の演奏を初期のスタイルと思っていたが、実は曲調やバンドカラーに合わせていただけで、すでにこの時点でソニー・クラークは完成していた。飛び入り参加のジャムセッションというエピソードも信じがたいが、クラークにとってもっとも初期の演奏なので貴重だ。(しげどん)
1953年9月28日,29日 Buddy De Franco &his Orchestra:Buddy Defrando(cl),Harry Eddison(tp),Jimmy Giuffre(ts),Sonny Clark, others
1954年4月7日 Buddy De Franco Quartet :Defranco(cl),Sonny Clark(p),Gene Wright(b),Bobby White(ds)
未CD化
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん ★★★☆
A面のビッグバンドはデフランコとの初録音。でもモダン寄りのスィングバンドといった感じで親分のデフランコ以外の出番は少ない。ジャズ的にはB面のカルテットの演奏に値打ちがあり、初期のソニー・クラークがたっぷり聴ける。後年のような粘り気は少なく軽やかなタッチだ。このB面はJazz Tonesと同一日の録音。LPは日本盤で発売されていた。(しげどん)
クラークのごくごく初期の録音で未CD化盤だ。A面6曲ビッグバンド、B面4曲カルテットという構成。ビッグバンドはスイングというよりもややスイートな感じの演奏だ。当然、スターはデフランコだが、クラークもイントロや数回の短いソロがあり、後年のクラーク節に近い演奏が聞かれる場面もある。カルテットはクラークのバド系のフレッシュなソロが十分に聞かれる。悪くない盤だと思うが、オダリスクの意味を調べたら、ハーレムの女性の奴隷という意味なので、それもCD化されない理由かもしれない。(hand)
1954年1月5日
United Artists
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★
Billy Holiday(vo),Buddy Defranco(cl),Red Norvo(vib),Jimmy Raney(g), Sonny Clark,Beryl Booker(p),Red Mitchell(b),Elaine Leighton(ds)
ビリー・ホリディの素晴らしい一枚。若々しくノリのいい歌唱だ。ソニー・クラークはバディ・デフランコグループの一員として2曲だけ参加だが、ビリーに引きずられるように、ブルージーなソロで、ソニー・クラークらしさがあらわれている。(しげどん)
ビリーのヨーロッパ・ツアーの録音。音も良く、ビリーも好調だ。クラークは2曲のみ参加で、目立った活躍はしない。(hand)
1954年2月 パリ
Vogue
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★★
Jimmy Raney(g),Sonny Clark(p),Red Mitchell(b),Bobby White(ds)
①から⑦はジミー・レイニーのリーダー盤「ビジッツ・パリ」であって、ザナドゥ盤の「トゥゲザー/レイニー&クラーク」のタイトルだと、ウソとは言わないがクラークのソロが少ない。④⑤などいいソロをとる曲もあるが、基本的にレイニーを聞く盤だ。クラークのソロは、ハンプトン・ホーズの影響を感じる。⑧⑨は1月前のスウェーデン録音を収録で、スウェーデンのゴスタ・スセリウスのテナーが聞ける。私好みの北欧の雰囲気だ。(hand)
ジミー・レイニーのリーダー作だが、クラークのトリオ演奏もあり、この時期のクラークのスタイルがよくわかる興味深い作品。後年のブルーノート時代のようなブルージーな粘っこさはないが、未熟さは感じられずむしろ格調高く好感が持てるピアノスタイルだ。ビリー・ホリディの訪欧は、レナード・フェザーの企画によるジャズツアーとしてバディ・デフランコやレッド・ノーヴォなども同行して行われたが、この録音はそのツアーの途中に行われたもの。(しげどん)
1954年4月7日
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★★☆
Buddy Defranco(cl),Sonny Clark(p),Gene Wright(b),Bobby White(ds)
デフランコのやたらと熱い演奏が繰り広げられている。ノーマン・グランツはデータにテキトーなので録音日はおろかパーソネルすら書いていないレコードが多いが、When Your Lover Has Gone と The Things We Dis Last Summerの二曲は前任者のケニー・ドリューのトリオがバッキングで、それ以外の曲がクラークが参加したカルテット。で録音は4月7日だと思われるが資料によっては8月の枯葉のセッションの日付にしているものもある。「プリティ・ムーズ」は10インチ盤の復刻なので、「ジャズ・トーンズ」に全曲収録されている。(しげどん)
デフランコの上手いのはわかる。バックのケニー・ドリューもアート・ブレイキーも、そしてソニー・クラークも悪くない。でも、私はこの盤を愛聴する気にはならない。スイング時代を象徴する楽器クラリネットでハードバップをやりました、という聞こえ方になってしまうのだ。古臭い楽器だからこそ、新しい曲とか新しい演奏とかにする必要があるのだと思う。(hand)
Buddy Defranco(cl),Sonny Clark(p),Gene Wright(b),Bobby White(ds)
一曲目のラテン・テイストの「ティトロ」の激しいアドリブが魅力だ。ソニー・クラークも激しいいい演奏をしているが、曲調からかリーダーに合わせたのかクラークらしさは抑え気味。オリジナルは「Artistry of Buddy DeFranco」で颯爽とクラリネットを吹くデフランコのジャケットだが、セカンド・バーションから「枯葉」というタイトルの美女ジャケットになった。ジャケットはこちらも悪くないが、内容を現わしているのはのはやはり初版のタイトル。デフランコのアグレッシブな面を見せつけた一枚。(しげどん)
「ジャズ・トーン」と違って、①ティトロに新しさを感じる。アフロな感じがいいと思う。デフランコの吹き方も、ハードな感じに変わって好感が持てる。調理しがいのあるタイトル曲⑤枯葉は、ソロはデフランコもクラークいいが、アレンジは残念ながら平凡だ。ベースとドラム、特にドラムの単調さには呆れる。他の曲がいいだけに残念だ。(hand)
1954年8月10日,9月1日
Verve
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★☆
Buddy Defranco(cl),Sonny Clark(p),Gene Wright(b),Bobby White(ds)
雰囲気は前作「枯葉」と同様だが、選曲はスィング時代のスタンダード中心なので、リラックスして聴ける反面、ややスィング時代的なテイストの古さもあり、これは好みが分かれるだろう(私は大好きな雰囲気だが・・・)
クラークもオリジナル「Sonny's Idea」を提供しているが、そのような雰囲気に合わせた感じなので、そのあたりは彼の柔軟性を改めて感じてしまう。クラークファンなら聴いておくべき一枚だ。(しげどん)
①⑤などやや激しい曲もあるが、全体としてはくつろぎのある落ち着いた盤。クラークのソロも多く聞ける。特に⑥柳のソロは素晴らしい。デフランコ盤の中ではオススメできる盤だと思う。(hand)
1955年8月26日
Verve
おすすめ度
hand ★★
しげどん ★★★☆
Buddy Defranco(cl),Sonny Clark(p),Tal Farlow(g),Gene Wright(b),Bobby White(ds)
デフランコの名盤として扱われてきた一枚。アルバムタイトルはブルース集みたいだが、収録曲であるジーンライトのオリジナル曲からつけられたタイトルで、アルバム全体ではスローなスタンダードナンバー集である。しっとり系デフランコのソロをバッキングするクラークのオルガンはブルージーなテイストはなく、室内楽的でハッキリ言ってクラークらしくない。タイトルナンバーではシッカリピアノを弾いていてジャズらしいし、アップテンポの「ハウ・アバウト・・・」や「インディアンサマー」などもジャズっぽく、デフランコのソロもそのような曲のほうが快調に聴ける。(しげどん)
主役デフランコとタル・ファーロウのギターはいい感じだが、クラークはオルガンを多く弾いていて、クラークの良さが消えている。ピアノは少ない。美女ジャケと言われるが、金色のクラリネットも含めて、私には悪趣味なジャケに思える(笑)。(hand)
1954年9月1日 Buddy Defranco Quintet: Buddy DeFranco(cl),Tal Farlow(g),Sonny Clark(p),Gene Wright(b),Bobby White(ds)
1955年8月12日,26日 Buddy DeFranco Quartet: Buddy Defranco(cl),Sonny Clark(p),Gene Wright(b),Bobby White(ds)
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★☆
この盤も「クッキング・・・」の姉妹版として名盤扱いされてきた。スローなスタンダードにオルガンの伴奏というパターンもあるが、アップテンポの曲が増え、デフランコもより熱くスィングしている。特に一曲目のオリジナル曲がよい。クラークも快調だが、後年のような粘り気のあるクラーク節はやや抑えた気味で、ソリッドな味のあるピアノだ。(しげどん)
「スイート・アンド・ラブリー」のタイトルと美女ジャケにもかかわらず、ブルースから始まる。タイトル曲が入ってないのも不思議だ。デフランコとタル・ファーロウは全体的に活躍するが、クラークのオルガン参加曲はあえてさっぱりしたオルガンを聞かせるという謎の目標を目指しているように聞こえてしまう。ピアノ曲はいい。(hand)
1955
verve
おすすめ度
hand ★★
Buddy DeFranco(cl),Don Fagerquist(tp),Sonny Clark(p),Howard Roberts(g),and strings, rhythm section
未CD化。ラッセル・ガルシア・アレンジのストリングスとブラスの入ったスイートでポップなインストルメンタル。デフランコのアドリブソロはあるので、デフランコのファンには聞く価値があるが、ソニー・クラークのソロらしいソロはない。クラークのサイド盤としての評価は低くなってしまう。(hand)
1955年6月6日 Quintet
1954年12月4日 Quartet
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★☆
The Cal Tjader Quintet:Cal Tjader(vibs),Brew Moore(ts),Sonny Clark(p),Eugene Wright(b),Bobby White(ds)
The Cal Tjader Quartet:Bob Collins(tb),Eddie Duran(g),Al McKibbon(b), Cal Tjader(ds)
西海岸ジャズだが、特有の慌ただしさがなく、くつろぎの感じられるいい盤だ。ジョン・ルイスの「グランド・エンカウンター」に通じるものがある。ブリュー・ムーアがビル・パーキンスに似た、レスター直系の音色を聞かせているからだ。ボブ・コリンズという知らないトロンボーンも同様にいい感じだ。クラークは特段目立っていない。プレイズ・ジャズというタイトルは、ジャズ専業ではない人だと宣言している感じで、ジャズファンは、多分、あまり聞く気になれない残念なタイトルだと思う。(hand)
クラークが参加しているのは全10曲中6曲のブリュー・ムーアのクインテット・セッションのみで、カイ・ジェルダーはヴァイブ。残りの4曲はピアノレスのトロンボーンのカルテットで、ジェルダーはドラムを担当。メンバーも編成も異なる二つのセッションが互い違いに収録されていてアルバムとしての統一感はない。クラークに関してはデフランコ時代の後期にあたり、デフランコ盤であまり自分を発揮できていなかったが、この盤ではクラークらしい節回しが強く出ていてなかなか興味深い。(しげどん)
1955
Fantasy
おすすめ度
hand ★★★★☆
Jerry Dodgion(as),Sonny Clark(p),Eugene Wright(b),Lawrence Marable(ds)
元々オムニバス盤で、アナログでは「モダン・ミュージック・フロム・サンフランシスコ」というタイトルで7曲だったが、CD化でチャーリー・マリアーノのブラックホークでのライブ7曲が追加となった。ソニー・クラークはアルトのジェリー・ドジオンのカルテット演奏2曲のみ参加。曲は、ミス・ジャッキーズ・ディッシュとザ・グルーヴ。いずれも素晴らしいハードバップピアノを聞かせるが、まだ憂いはない。この盤の主たるピアニストは、スヌーピーで有名なヴィンス・ガラルディだが、冒頭2曲のドジオンを加えたカルテットで味のあるピアノを聞かせて印象に残る。ドジオンはなかなかいいアルトだが多分単独リーダー盤はなく、「ビューティズ18」というマリアーノとの双頭バンドでの盤のみだと思う。この盤もオムニバスとして出すよりも、ドジオン=マリアーノ盤として出したほうが人気が出たと思う。(hand)
1956年1月25,26日
abc Paramount
おすすめ度
hand ★★★★
Sonny Clark, Kenny Drew(p,vibories),Leroy Vinnegar(b),Lawrence Marable(ds)
未CD化。ヴァイボリーズというのは、ピアノのように鍵盤の付いたバイブらしい(ジャケ写)。この盤では、レナード・フェザーの監修で(フェザー本人も1曲この楽器を弾いている。)、ソニー・クラーク、ケニー・ドリュー、ジェラルド・ウィギンズらがこの楽器とピアノを交代しながら共演している。クラークは全8曲中、ヴァイボリーズで2曲(ピープルウィルセイウィアーインラブ、オーニソロジー)、ピアノで2曲(ブルースオロジー、身も心も)の4曲のみ参加。トロンボーンとテナーのボブ・エネヴォルゼンがなかなかいい。ヴァイボリーズという楽器自体ははゲテ物かもしれないが、聞いている分にはバイブの音で、盤自体の出来も悪くないので、是非CD化してほしい。(hand)
ソニー・クラーク ディスク・レビュー 目次
・ソニー・クラークのサイド参加作 1 ・・1955年~56年・・・このページ
・ソニー・クラークのサイド参加作 2 ・・・1956年~57年
・ソニー・クラークのサイド参加作 3 ・・・1957年~59年