レッド・ガーランドのCDレビューとして、引退状態から復帰した71年度以降の作品をレビューしていきます。71年度の復帰は短期的なもので、本格復帰は77年のギャラクシーレベールへの録音開始からになります。
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・Red Garland 全リーダー作 ① 1956年~57年
・Red Garland 全リーダー作 ② 1958年~59年
・Red Garland 全リーダー作 ③ 1960年~62年
・Red Garland 全リーダー作 ④ 1971年以降 このページ
・Red Garland 全リーダー作 ⑤ 1977年以降
Red Garland(p),Sam Jones(b),Roy Brooks(ds)
タイトルはドイツ語で「サヨウナラ」なので、ドイツへの出張録音から帰るときの挨拶なのかと思ったが、録音場所はニューヨークだった。しばらくイナカに引退していて、久しぶりの録音である。71年の録音なので、このときガーランドは40代後半で、まだまだ元気で若々しい上に、スタイルも時代に合わせて変貌しているように感じる。ガーランドは終始スタイルに変化がないように思っていたが、この復帰盤から明らかに変化しており、若かりし頃の明るくさわやかなガーランド節がやや抑えられて、より大人の情感を感じる作品になっているように思う。(しげどん)
故郷ダラスに8年以上引っ込んでいたガーランドを、ドイツのMPSレーベルがニューヨークまで引っ張り出して2枚の盤を録音した。8年間は、録音はないがフィラデルフィアやダラスで演奏はしていたらしい。8年ぶりの録音は、ドイツのレーベルらしくカッキリした音の作りだ。ベースは8年前と同じサム・ジョーンズだが、ドラムが新しいタイプのロイ・ブルックスのせいなのか、レーベルのせいなのか、演奏全体がガーランドらしい甘さが少し削られている気がする。選曲も、以前よりハードな感じになっていて、フレッシュさを感じる。(hand)
冒頭のブルース Hobo Joe は、ベースのフレーズがちょっとくどい。一方、A Night in Tunisia のガーランドのピアノのアレンジは独自性があり面白く、ロイ・ブルックスのドラムも頑張っている。(ショーン)
Jimmy Heath(ts,ss),Red Garland(p),Peck Morrison(b),Lenny McBrown(ds)
ガーランドのリーダー作だが、ジミー・ヒースのワンホーン作品ともとれる面白さがある。ジミー・ヒースはガーランドと同じくハード・バップの人。時代が彼を求めていた50年代を麻薬で棒に振ったため、実力の割には人気評価ともに低いのが気の毒であり、本当はもっと評価されるべき人だったと思う。先日(2020年1月)93歳の高齢で世を去った。(しげどん)
一度引退して、再発見された約8年振りの復帰MPS盤2枚のうちの1枚。全曲、ジミー・ヒースのテナーとソプラノ入り。ヒースは、いい曲も書くし、サックスの音色がととてもキレイなので、ミュージャンに人気がある(ミュージャンズ・ミュージャン)。ベースのパーシー、ドラムのアルバートとヒース3兄弟の真ん中の人。ヒース・ブラザースの盤も出ている。ガーランドのリーダー作品ではあるが、管入りになると、どうしてもピアノはサイド的になりがちだ。⑤オン・ア・クリア・デイは前半がピアノ中心でガーランドらしく、この盤で一番気に入っている。ドイツのレーベルなので、ピアノの音色が幾分硬質に録られている。(hand)
Red Garland(p), James Leary(b), Eddie Marshall(ds)
1974年3月のキイストーン・コーナーでのライブ。復帰前後の違いは何だろう。ブロックコードとシングルトーンは変わらないが、盤の雰囲気は違う。スタジオ盤は理知的な感じがするようになり、選曲の嗜好も以前と多少変わっている。ライブは1③サテン・ドールなど昔からの曲も引き続きやっているが、1①枯葉など以前は弾かなかった曲をしばし取り上げて、長尺化した激しい演奏をするようになっている。繊細なアート・テイラーから、マイルス時代の激しい僚友、フィリー・ジョー・ジョーンズとまた演奏するようになったこともあると思う(この盤はフィリーではない。)。激しい感情を演奏に込めるようになったのは好ましい。私の知らないベースとドラムだが、調べてみたらそれなりに活躍している2人であった。派手さはないが、ガーランドを上手く盛り立てている。Ⅱも同日ライブなので2枚組×2セットの大作だ。(hand)
Red Garland(p), James Leary(b), Eddie Marshall(ds)
「グルービン・ライブ」2枚組に続く後半2枚組は、ガーランドの新局面が見られて、意外と飽きない。1枚目は、ジョビンのボサ1⑤デサフィナードが初録音だと思う。割といいので、ボサだけの盤を出して欲しかった。1①バグス・グルーブや1⑥虹の彼方に、もあまり聞いた記憶がないけれど、楽しめる。2枚目は、2①ブルース・イン・ザ・クローゼットのビバップの激しい演奏から始まる。2③⑤の2曲はドラムの活躍が目立つ。(hand)
Red Garland(p), Leroy Vinnegar(b), Philly Joe Jones(ds)
ザナドゥ盤らしい音の悪さ(笑)。ベースのリロイ・ビネガーが私的に録音したものらしい。でも、ガーランドは絶好調で、ノリノリだ。指が動かないなどと言われるが、全く気にならない。リロイの太いが単調なベース、フィリーのうるさいドラムも気持ちいいくらいだ(笑)。(hand)
Red Garland(p), Leroy Vinnegar(b), Philly Joe Jones(ds)
前作「キイストーンズ」と同場所キーストン・コーナー、同じ1977年5月の録音だが、日付け不明でどちらが先かはわからない。こちらは店主トッド・バルカンの録音だ。メンバーは、リロイ・ビネガーとフィリーという最強メンバーだ。選曲も過去と多少違うのもいい。速い曲ではガーランドがリズムに対して多少遅れ気味のような気もするが、それはそれで悪い感じはしない。復活後の多くの盤がサンフランシスコのキイストーンコーナーでのライブで没後に発掘されたものだ。店主のドット・バルカンに感謝だ。(hand)
この時期多く録音が残っているキーストンコーナーでのライブ。曲目はよく知られたスタンダード中心の選曲だが、かっての玉を転がす明るいタッチではなく、かなり骨太のスタイルになった印象が強い。二人の強力なリズム陣の力強さもあると思う。 最後はフィリー・ジョーがメンバー紹介して、ライブそのままの雰囲気も味わえる充実した作品だ。(しげどん)
Red Garland(p), Ron Carter(b), Philly Joe Jones(ds)
いきなりベースの唸りから始まるユニークなロンカーターの黒っぽいグルーヴ感にガーランドのマイナーピアノがマッチして、独特の世界を醸す。続く曲でもベースの主張は強く、まるでロンのリーダー作だ。ガーランドの脇役感も徹底しており、アルバムとしての完成度は高い。ガーランドの作品の中でも重要な位置を占めるアルバム。(ショーン)
ガーランドなりに選曲、演奏に新しさを盛り込んでいる復帰後の盤。暴れん坊のフィリーがライブとは違い、サトルなドラムを叩いている。④オレオも騒々しくはない。⑥ラブ・フォー・セールはカッコいい。ロン・カーターのエレクトリックを感じる音色は残念だが、大人っぽい良盤だ。(hand)
三者対等のトリオで、時代に沿った新しいテイストだ。ロン・カーターのアンプ増幅ベースも、ハード・バップ リバイバルの時代を思い出して懐かしい。ガーランドはマイルス時代のような"節回し"は聞かれないが、なかなか若々しい。 (しげどん)
Nat Adderley(cor), Harold Land(ts), Ira Sullivan(ts), Red Garland(p), Ron Carter(b), Frank Butler(ds)
管が入ったので、ガーランドにしては、かなりファンキーなピアノを弾いている。ナット・アダレイのコルネット、ハロルド・ランドのテナーまではありだと思うが、アイラ・サリバンのテナーは意外性があり過ぎだ。私としてはトランペッターと思っていたからだ。調べてみるとフルートやサックスも演奏するようだが、ランド以外になぜ?は残る。ギャラクシーからサックスもトランペットものリーダー盤を2枚出しているので、サックスで売り出そうとしていたのだと思う。悪くはないが、リーダー盤が買いたくなるほどの人ではない。この時期の錆びた金属のようなランドのテナーは好感度高いので、全曲ランドにしてほしかった。ランドをフィーチャーした⑤ステラは好きな曲だが、暗いランド向きでの曲ではない。フランク・バトラーは頑張ってはいる。(hand)
Red Garland(p), James Leary(b), Eddie Marshall(ds)
最新2014年の発掘盤2枚組だ。エレメンタルというヨーロッパの知らないレーベル(調べてみたら現代の発掘男ゼブ・フェルドマンがスペイン人のジョルディ・ソレイと作ったレーベルのようだ。)だが音はいい。77年12月のキイストーン・コーナーの録音で、「クロッシング」、「レッド・アラート」の直後の録音だ。「キイストーンズ」、「グルービン・レッド」も、選曲も似通っているので、5月ではなく、この時期の録音ではないかと言われている。この盤、ジャケが写真もデザインもとにかくカッコいい。日本人プロデューサーの作品は、ほとんどがジャケがダサく見た瞬間に日本人の関与がわかってしまう。内容は、指がもつれ不調との評価もあるが、元々ガーランドは早弾きを得意とするピアニストではないので、多少もつれようとも早弾き曲に挑戦しているだけでも評価してほしい。ただ、速い曲でのリロイのウォーキング・ベースのソロは、何が楽しいのかよくわからない。フィリーは、数日前のスタジオ録音と違い、暴れん坊ドラムになっている(笑)。1④ストックホルムは、マイルス以来20年ぶりだ。2②オン・ア・クリア・デイは、この時期のケリーと双璧だ。2⑧オールライト・ウィズ・ミーは10分超で迫力がある。(hand)
Red Garland(p), Chris Amberger(b), Eddie Moore(ds), Leo Wright(as④⑤⑥)
全6曲中、前半3曲がピアノ・トリオ、後半がカルテットと飽きずに楽しめるライブ盤。前半のガーランドは快適な楽しそうな演奏だ。私の知らないベースとドラムだが、ガーランドは重量級だったり超絶技巧だったりするビッグ・ネームより普通のベース&ドラムの方がリラックスして演奏できるのだと思う。アルト入りの後半は、ベース&ドラムも居るのだが、アルトとピアノのデュオのように感じる場面がある。それだけ、2人の集中力が高い。激しい演奏ではないが、温度は高い。アルトのレオ・ライトは、リーダー盤も少なく、ほとんど知られていない人だが、ここでは、滑らかで熱くて、とても好ましい。⑥サンフランシスコはこの盤のみだと思う。後期の好盤の1枚だ。(hand)
Red Garland(p), Sam Jones(b), Al Foster(ds)
①ガーランド?というくらい威勢のいい演奏から始まる。ドラムのアル・フォスターが元気良すぎるが、この曲以外はそれほどではない。②バラードで往年のガーランドらしさが戻る。③オン・ア・クリア・デイ、復帰後で最もいい演奏かもしれない。クォータでもやっていた私の好きな曲。④ガーランドの家路、いい感じ。ミューズレーベルは再発が少なめで、32レーベルが再発している盤もあるのだが、ジャケをポップにする傾向があり、守旧派的には好ましくない。⑤セカンド・タイム・アラウンドをバラードで。この曲は、エバンスの「クインテセンス」のようにミディアムの方がいいと思う。⑥アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー、キレイな曲。前曲とテンポが逆の方が私の趣味には合う。⑦ローチ=ブラウンのチェロキー・インディアンのイントロを採用。速い曲だが、ドラムはうるさ過ぎない。ガーランドはちょいつらいのか、ソロは短めだ。アル・フォスターのドタバタするドラムが録音のせいか気になるのが残念なところだ。(hand)
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