Red Garlandの全リーダー作レビューとして、一時的な引退に入る1962年までをレビューします。
オリジナルアナログ盤に基づいたレビューになっていますが、下記に掲載の通りCDでは複数のタイトルをまとめたお得な編集盤もありますので、購入の参考にしてください。
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・Red Garland 全リーダー作 ① 1956年~57年
・Red Garland 全リーダー作 ② 1958年~59年
・Red Garland 全リーダー作 ③ 1960年~62年・・・このページ
・Red Garland 全リーダー作 ④ 1971年以降
Red Garland(p),Sam Jones(b),Art Taylor(ds)
5曲中4曲がピアノトリオ、④タイトル曲の1曲がオルガントリオ。盤タイトルから宗教的な曲が多いと思って聞くと、特段そういうことはなく、タイトル曲自体も普通のスイング曲だ。ガーランドは宗教風にするとか器用な演出は苦手な人だと思う。演奏は悪くないが、印象に残るメロの曲がないのが残念な盤。①のブルースは比較的よいがブルージーというわけではない。この盤からサム・ジョーンズにベースが変わる。ガーランドに合うベースだ。ガーランドの指は全体に滑らかだ。(hand)
※この盤も単一では入手困難。上記アルバムコレクションに入っている。
1960年7月15日 Red Garland(p),Sam Jones(b),Art Taylor(ds)
1961年3月16日 Red Garland(p),Richard Williams(tp),Oliver Nelson(as,ts),Peck Morrison(b),Charlie Persip(ds)
アレンジャーとしては評価の高いオリバー・ネルソンだが、サックスの腕前の評価は高くない。だが、ガーランドとの相性はいいと思う。ロックジョーやアーネット・コブとの共演よりも好ましいと思う。①②は、ピアノのソロが長めで、管は後から入るなど、ガーランドがリーダーであるとわかる作りで、「ソウル・ジャンクション」の時のジャム・セッション的な作りとは違う作りだ。この日の残り部分3曲が「Rediscovered Masters Vol. 2」に入っている。③④⑤は、前作「ハレルヤ・オール」のトリオ演奏の残りなので、CD化時にそちらに移し、クインテット5曲を一枚にまとめ、トリオはハレルヤに整理したほうが良かったのではないかと思う。多分、あまり売れなかった盤だと思うが、今、クインテット5曲は掘り起こされる価値のある演奏だと思う。(hand)
Red Garland(p),Sam Jones(b),Charlie Pership(ds)
明るく&さわやかに・・・とは、まさしくガーランドのピアノスタイルを表現した言葉だ。ブリージィはのんきに陽気にという意味もあるらしいが、まさにピッタリ。大人のくつろぎジャズとして、理屈抜きにスイングするガーランドピアノの決定盤とも言える作品。(しげどん)
レーベルが、プレスティッジからリバーサイドの傍系レーベルのジャズランドに変わっての盤。ジャズランドにはトリオ2枚、カルテットとクインテットの計4枚を残し、また、プレスティッッジに戻り1枚残して引退してしまう。なぜか前作「ソウル・バーニン」と同じ①グリーン・ドルフィン・ストリートから始まるこの盤。発売が前後し、「ソウル・バーニン」は1964、この盤は1961と逆なので、プレスティッジ側の意図だと思う。リバーサイドのほうが、ピアノトリオはきれいに録音されるレーベルだと思う。各楽器の音色が際立っている。ガーランドも新レーベルで多少(笑)張り切っている気はする。(hand)
ガーランドは、軽いピアノ捌きで悪くないが、ややベースとドラムスとのコンビネーションが悪いように思える。聴かせどころでの、ドラムが気になったり、ベースラインが、やや雰囲気の違う音色だったりしてバランスを欠く。トリオがバラバラの印象だ。(ショーン)
Red Garland(p),Larry Ridley(b),Frank Gant(ds)
「ブライト・アンド・ブリージー」の4カ月後の録音。前作に比べて穏やかな演奏が多い。以前聞いたときは、特段いいと思わなかったが、今、聞いてみて、なかなかいい盤と再認識。小難しいことはやらない、ガーランドのエレガントなピアノを聞くのに適した盤だ。(hand)
プレスティジに比べてリバーサイド=ジャズランド盤は、一枚毎の企画性がはっきりしている。この盤はバラード中心の選曲という企画で、甘さに流れずガーランドらしさを発揮しているガーランドのトリオ作品の中でも印象に残る佳作だと思う。(しげどん)
Les Spann(g,fl),Red Garland(p),Sam Jones(b),Frank Gant(ds)
ギターとフルートのレス・スパンを加えたカルテット。この人、どちらの楽器も特段の個性は持たない人だ。なぜ、スパンをフィーチャーしたのかわからない。どちらかと言えば、ガーランドとフルートの組合せは珍しいので、全部フルートのほうが盤に個性が出たと思う。リバーサイド系のレーベルなのだから、ギターでウエス・モンゴメリーを入れるとか、トランペットやテナーも入れて「ケリー・ブルー」的な盤を作っても良かったと思う。ラスト2曲は、ガーランドにケリーを感じる演奏だ。(hand)
レス・スパンという人のギターとフルートをフィチュアーしたカルテット作。フルートで参加している二曲も雰囲気があるが、ギターもソロだけでなくリズムギター的な役割があり、トリオだけのガーランドに比べて変化のある作品になっていてなかなか面白い。(しげどん)
Blue Mitchell(tp),Pepper Adams(bs),Red Garland(p),Sam Jones(b),Philly Joe Jones(ds)
ジャズランド4枚目でラスト録音。引退のラスマイになる。トランペットのブルー・ミッチェルとバリサクのペッパー・アダムスを加えたクインテットの録音だ。世の中がファンキーブームになっているせいか、ガーランドの中では、最ファンキー盤だと思う。ウィントン・ケリーの「ケリー・ブルー」のような盤が好きな人などにオススメしたい盤だ。(hand)
タイトルチューンからいい感じだ。ここではアーシーなブルースではなく軽やかな、ガーランドらしいブルース表現で、しかも情感もバッチリの素晴らしい出来栄え。同じくカルテット編成の「ソウル・ジャンクション」は、コルトレーン、バードの個性が主役級に前面に出てしまっていたが、この作品ではペッパー・アダムスとブルー・ミッチェルという職人的な名人二人が全体に溶け込んでおりバランスのよい好演だ。ミッチェルのケレン味ない味わいがすばらしい。(しげどん)
ブルーミッチェルのトランペットが好きだ。肩の力が抜けていて耳に心地良い。(ショーン)
約8年間の引退生活に入る直前にプレスティッジに吹き込んだ名盤。なぜまたプレスティッジに吹き込んだのかは不明だ。契約した録音が足りないとか言われたのだろうか?いずれにしても、引退生活に入る前に枯淡の境地で吹き込んだ内容に思える。この後、ガーランドは、フィラデルフィアで数年を過ごした後、故郷ダラスに帰ったらしい。①ソニー・ボーイは、この盤を枯れた盤と印象付けている。③セント・ジェームズ病院は、ガーランドのピアノの最高名演ではないかと思える素晴らしさだ。ゆったりしたテンポで、持てる技術の全てを出してガーランド芸術を完成させている。②④は、やや元気が良く、盤の雰囲気と合わない気もするが、おかげで飽きが来ないのかもしれない。ガーランドは、グルービーとかブルージーとかソウルとか、タイトルに色々本人の本性と似合わない形容をされているが、ブライト&ブリージーとかエレガントとかの形容が似合う人だと思う。ただし、単なる弱々しいエレガントではなくハードボイルドな芯の強さは持っていると思う。(hand)
素敵なアルバムだ。SONNY BOY、いきなりしっとりとしたピアノとブルージーなベース。盛り上がり、そして引いていく、まるで永遠に続く潮の満ち引きのようだ。MY HONEY'S LOVIN' ARMS はCHARLIE PERSHIPのキレの良いドラムが光る。3曲目のドラマチックな展開系のガーランドのメロディには、特に引き込まれる。何しろ曲名が「セント・ジェームズ病院」なのだ。ラストナンバーもやるせない雰囲気の内面的な曲表現が素晴らしい。全ての曲に無駄が無く、ガーランドの名盤と言えよう。(ショーン)
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