新宿JAZZ談義の会:Red Garland CDレビュー 目次
・Red Garland おすすめBEST5 このページ
・Red Garland 全リーダー作 ① 1956年~57年
・Red Garland 全リーダー作 ② 1958年~59年
・Red Garland 全リーダー作 ③ 1960年~62年
・Red Garland 全リーダー作 ④ 1971年以降
レッド・ガーランド(1923-1984)は、マイルスの名盤「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」などのピアニストだ。マイルスを聞くと、ガーランドが素晴らしく、トリオ盤を聞いてみたくなるのが普通だ。
※マイルス・デイビスのオリジナルクインテットによる名盤 ラウンド・アバウト・ミッドナイト
※マイルス・クインテットの有名な4部作。ほとんどのジャズファンが最初にガーランドに接するのはココカラ・・・
ガイド本でピカイチの盤として推奨されているのが「グルービー」で、しげどんも私handも若かりし頃、1曲目のCジャム・ブルースを聞き、この単音ブルースの単調さでガーランドをあまり好きになれなかった記憶がある。なので、この盤が本当にピカイチなのだろうか?という視点で全盤を聞き直してみた。その結果、3人とも中の上くらいの評価だった。
※一番有名なリーダー作はこの「GROOVY」ジャケットがかっこいい。
※初期の主要作を網羅。これだけで代表作が全部聴ける。
日本ではガーランドは、グルービーなピアニストということになっていて、一度引退して復帰後の録音を日本人が発掘発売した盤はだいたいグルービンなんとかというタイトルで解説にもグルービーでブルージーと書いてある。しかし、冷静に聞いてみれば、エレガントで上品なピアノを弾く人だと思う。珠を転がすようなシングルトーンと盛り上がった時のブロックコードがお得意だ。60歳という今から見ればそう長くない生涯に、52枚のリーダー盤を残している(現時点)。トリオ盤が多く、よく言えばどれも高水準、悪く言えば似たり寄ったりの盤が多い。しかし、念入りに聞くと、それぞれに味わいがある。ただし、後期ライブは本当に似寄りの作品が多い。
※最初のリーダー作だが、代表作の一枚 A Garland of Red
※第二作め ガーランドらしさ全開のピアノが聴ける Red Garland's Piano
Best5作として、初期の作品である①「Red Garland's Piano」、プレスティジ時代最終作②「When There Are Grey Skies」、ライブの代表作③「at The Prelude」、クインテット作品の代表作として⑤「Red's Good Groove」、復帰後の代表作として④「Crossings」を選定した。
※ライブの代表作 at The Prelude
※この作品を最後に一度引退?When There Are Grey Skies
ほかには初リーダー盤「A Garland of Red」Preludeでのライブの続編「Lil Darlin'」、ムーズビルの「Red Garland Trio」が僅差だったが、同趣向のアルバムが重ならないようにと、Best5選定から外した。管入りでは「Red's Good Groove」が、コルトレーン参加で有名な「Soul Junction」に競り勝った。(hand)
復帰後の決定打はコレ!
※クインテットの代表作 ブルー・ミッチェル、ペッパー・アダムスがいい味出してます。Red's Good Groove
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
第1作から4カ月後の早くも第2作。マイルス人気の影響か、ガーランド盤も売れたのだと思う。マイルス・バンドからのチェンバースと、ちょいうるさいフィリーの代わりに器用なアート・テイラーが参加。①プリーズ・センド・ミー、この時代にしては珍しく10分近い長尺。飽きさせない快演だ。ガーランドの好きな曲、やりたい曲だけを弾いたらこんな盤が出来ました!という感じだ。聞くほうも、深く考えずに、ガーランドの気持ち良さを共有すればいいのだと思う。(hand)
1曲目から力のあるブルースの演奏。ほぼ10分間の長い時間だが、それほど長さは感じられない。続いて明るくノリの良いStompin' at the Savoy、走るベースラインに軽やかに乗るガーランド。このアルバムでのガーランドは、とてもメロディアスだ。特にI Know Whyの切ないメロディには、惹き込まれる。(ショーン)
ガーランドの初期の魅力の全貌は、前作とこの一枚でつかめると思う。この作品もスタンダード集であり、前作ガーランド・オブ・レッドと似た雰囲気だ。冒頭の長めの曲がブルース・バラードというべき曲調なので、アルバム全体としてよりしっとりとした雰囲気になっているが、同じように軽快で洒落たタッチのガーランドが楽しめる。(しげどん)
1962年10月9日
Prestige
おすすめ度
hand ★★★★★
しげどん ★★★★
ショーン ★★★★★
Red Garland(p),Wendell Marshall(b),Charlie Persip(ds)
素敵なアルバムだ。SONNY BOY、いきなりしっとりとしたピアノとブルージーなベース。盛り上がり、そして引いていく、まるで永遠に続く潮の満ち引きのようだ。MY HONEY'S LOVIN' ARMS はパーシップのキレの良いドラムが光る。3曲目のドラマチックな展開系のガーランドのメロディには、特に引き込まれる。何しろ「セント・ジェームズ病院」なのだ。ラストナンバーもやるせない雰囲気の内面的な曲表現が素晴らしい。全てに無駄のない名盤。(ショーン)
8年間の引退生活に入る前に枯淡の境地で吹き込んだと思われる盤。この後、故郷ダラスに帰っている。①ソニー・ボーイが、枯れた盤を印象付ける。③セント・ジェームズは、ガーランドの最高名演ではないかと思う。ゆったりしたテンポで、持てる技術の全てを出してガーランド芸術を完成させている。グルービーとかブルージーとかソウルフルとか、色々本人の本性と似合わない形容がされているが、エレガントとかブライト&ブリージーとかの形容が似合う人だと思う。(hand)
リラックスして聴けるピアノトリオで作品としてまとまっている。一曲目が静かな曲なので、落ち着いた雰囲気の印象だが、全体では変化がある選曲で、サッチモで有名なセント.ジェームス病院をはじめジャズファンなら周知の曲ばかり。(しげどん)
1959年10月2日
Prestige
おすすめ度
hand ★★★★★
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★☆
Red Garland(p),Jimmy Rowser(b),Specs Wright(ds)
ニューヨークのプレリュードクラブでのライブ。80年代、吉祥寺にあったファミリーというジャズ喫茶で聞き、お気に入りとなった。マイルスの「クッキン」や「リラクシン」を聞いてガーランドを気に入り、評論家の勧めに従って「グルービー」を聞き、1曲目のCジャムブルースの単調さにがっかりしていたところを、ガーランド嫌いにならないようにしてくれた盤だ。4枚のLPに分散されていた同日ライブだが、現在は3枚組コンプリートCDもある。①サテンドールで始まり、ガーランドの特徴である珠を転がすようなエレガントなシングルトーンと豪華なブロックコードのどちらもが楽しめる。②パーディドも絶好調の勢いを感じる。④バイ・バイ・ブラックバードはガーランド参加のマイルスの「ラウンド・ミッドナイト」で有名な曲だが、この盤も名演だ。⑧ワン・オクロック・ジャンプ。ガーランドは、エリントンもベイシーも大好きなのだと思う。(hand)
ある程度ジャズを聴いた人ならみんな知っているスタンダードがほとんど。ゆったりした曲調が多いが、それをライブで粋にスィングさせるガーランド。こんな場面に居合わせたら最高にノリノリになるだろうという楽しめる盤だ。(しげどん)
ガーランドというアーティストは、演奏のレベルが安定しており、このライブ盤も例外でない。(ショーン)
※この日のライブは 「Lil Darlin'」「Live!」「Satin Doll」に分散収録されている。
また、Complete盤(CD3枚組:下記)もあり。
1977年12月
Galaxy
おすすめ度
hand ★★★★☆
しげどん ★★★☆
ショーン ★★★★☆
Red Garland(p),Ron Carter(b),Philly Joe Jones(ds)
いきなりベースの唸りから始まるユニークなロンカーターの黒っぽいグルーヴ感にガーランドのマイナーピアノがマッチして、独特の世界を醸す。続く曲でもベースの主張は強く、まるでロンのリーダー作だ。ガーランドの脇役感も徹底しており、アルバムとしての完成度は高い。ガーランドの作品の中でも重要な位置を占めるアルバム。(ショーン)
ガーランドなりに選曲、演奏に新しさを盛り込んでいる復帰後の盤。暴れん坊のフィリーがライブとは違い、サトルなドラムを叩いている。④オレオも騒々しくはない。⑥ラブ・フォー・セールはカッコいい。ロン・カーターのエレクトリックを感じる音色は残念だが、大人っぽい良盤だ。(hand)
三者対等のトリオで、時代に沿った新しいテイストだ。ロン・カーターのアンプ増幅ベースも、ハード・バップ リバイバルの時代を思い出して懐かしい。ガーランドはマイルス時代のような"節回し"は聞かれないが、なかなか若々しい。70年代後半は、ガーランドもペッパーもズートも生きていたが、ベイシーやベニー・カーターなど人間国宝級のコンサートを優先し、モダンの大御所は後回しにしていたら皆50~60才前後で亡くなってしまった。ナマで聴く機会を逸したことが今も悔やまれる。 (しげどん)
1962年3月22日
Jazzland
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★★
Blue Mitchell(tp),Pepper Adams(bs),Red Garland(p),Sam Jones(b),Philly Joe Jones(ds)
タイトルチューンからいい感じだ。ここではアーシーなブルースではなく軽やかな、ガーランドらしいブルース表現で、しかも情感もバッチリの素晴らしい出来栄え。同じくカルテット編成の「ソウル・ジャンクション」は、コルトレーン、バードの個性が主役級に前面に出てしまっていたが、この作品ではペッパー・アダムスとブルー・ミッチェルという職人的な名人二人が全体に溶け込んでおりバランスのよい好演だ。ブルー・ミッチェルのケレン味ない味わいがすばらしい。(しげどん)
一時引退のラスマイ盤。トランペットのブルー・ミッチェルとバリサクのペッパー・アダムスを加えたクインテットの録音だ。ブレイキーやキャノンボールなど、世の中がファンキーブームになっていた時代のなので、ガーランド流のファンキー盤なのだと思う。シングルトーンの弾き方もいつものように珠を転がすのではなく、珠を並べていくような弾き方に感じる。ウィントン・ケリーの「ケリー・ブルー」のような盤が好きな人などにオススメしたい盤で、今後、私自身の愛聴盤になりそうな盤だ。(hand)
ブルーミッチェルのトランペットは、肩の力が抜けていて耳に心地良く、好感が持てる。(ショーン)
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・Red Garland 全リーダー作 ④ 1971年以降
・Red Garland 全リーダー作 ⑤ 1977年以降