Phineas Newborn Jr. フィニアス・ニューボーン・ジュニア  サイド作CDレビュー

フィニアスの録音作品は決して多くありません。ピアニストであれば、リズムセクションとしての参加作品がある程度あるのが普通ですが、彼の場合はそのような作品すらも少ないです。

このページでは、そのような数少ない彼のサイド参加作をレビューしていきます。


First Bass/Oscar Pettifford  ファースト・ベース/オスカー・ペティフォード

1958年9月20日~23日

おすすめ度

hand   ★★★

Tracks 8~12:Oscar Pettiford (b),J.J. Johnson ,Kai Winding (tb),Zoot Sims (ts),Lee Konitz (as),Phineas Newborn (p),Kenny Clarke (ds)

1958年9月の北欧ツアー時の記録音源

あくまで主役は、オスカー・ペティフォードのチェロやベースのピチカートの海賊オムニバス。フィニアスは全14曲中5曲に参加。完全に脇役だが、時折現れるソロ(特にオール・ザ・シングス・ユー・アー)は、とてもいい感じ。OPは、この後、オムニバスではない作品として楽しめるリーダー盤も出しており、それらと比べると評価は下がってしまう。(hand)

※この音源は、ストックホルムジャムセッション及び下記Star Eyes収録時の北欧ツアーのものです。



Star Eyes Live In Amsterdam 1958/Lee Konitz   ライブ・アット・コンセントヘボウ1958/リー・コニッツ~ズート・シムス

1958年9月27日

55 RECORDS

おすすめ度

hand      ★★★☆

しげどん  ★★★☆

Phineas Newborn Jr.(p),Oscar Pettiford(b),Kenny Clarke(ds),Lee Konitz(as),Zoot Sims(ts)

豪華メンバーによる歴史的な北欧ツアーの記録

リー・コニッツ、ズート・シムズというフロントに、リズム隊がレッド・ガーランドとフィニアスにオスカー・ペティフォードとケニー・クラークという豪華メンバーでのオランダのライブ。このツアーを境にフィニアスのプレイが一気にモダンになった気がする。というのも、ツアーのメインピアニストは、マイルス盤で売れっ子のガーランドで、フィニアスはサブの位置づけ。当時最先端のガーランドの影響を大いに受けたと思われる。以後、カルヴィン抜きになったこともいいと思う。(hand)

レッド・ガーランド項でも紹介した欧州ツアーの記録。前述の→ストックホルムセッションはこのツアー途上でのジャムセッションの記録。フィニアスが技巧派から深みをもった表現に変化した過渡期をとらえている。→レッド・ガーランド項参照(しげどん)



Down Home Reunion/Booker Little etc  ダウン・ホーム・リユニオン・ヤングメン・フロム・メンフィス

1959年

United Artists 

hand  ★★★★☆

しげどん ★★★☆

ショーン ★★★☆

Frank Strozier(as),George Coleman(ts),Booker Little, Louis Smith(tp),Calvin Newborn(g),Phineas Newborn Jr.(p),George Joyner (b),Charles Crosby(ds)

ブッカー・リトルなどメンフィス出身ミュージシャンを揃えたセッションに参加

まさにヤングメン、皆生き生きとしている。この盤があまり売れない理由は何だろう?特定のリーダーがいないこと、ジャケがハロウィンの絵みたいなダサイ絵を使っていること、タイトルが長すぎるしグループ名とタイトルがどちらかわかりにくいことなどが思い浮かぶ。しかし、内容は素晴らしく、特にフランク・ストロジャーの出来がいい。ブッカー・リトル、フィニアスもいい。久々に弟カルヴィンも入っているが、ソロがカット?③アフター・アワーズのみは管抜きのカルテット演奏。意外にもフィニアスはこういった泥臭い曲はあまり得意ではないと思う。④スター・アイズのような歌物のほうがいいソロを弾いている。リー・モーガン参加の「ヤング・ライオンズ」もそうだが、リーダーがハッキリしない盤は、売り上げも伸びない気がする。(hand)

腕前は一流ながら地味なマニアックなメンバーたちの共演。普通はブッカー・リトルに視点が集まるのだろうか?でも単なるジャム・セッションではないまとまりがある作品でジャズ的には充分楽しめる佳作。フィニアスは主役とは言い難いが、彼に視点を絞ればB面一曲目が聴きどころ。(しげどん)

厚みあるホーンの中で、Booker Littleのトランペットがイイ。澄んだ音色と余裕のある高音が、聞いていて心地良い。また、Calvin Newbornのギターもいい味を出しているので、ギターが好きなショーンとしてはもっとフューチャーしても良い気がする。フィニアスのピアノも、スパイスのように効いているが、如何せん、メンバーが多すぎてトータルアルバムとしては散漫とした印象だ。(ショーン)



Together Again !!!/Teddy Edawards  トゥゲザー・アゲイン/テディ・エドワーズ

May 15 & 17, 1961

Contemporary

おすすめ度

hand      ★★★★

しげどん ★★★☆

Howard McGhee(tp),Teddy Edwards (ts),Phineas Newborn, Jr. (p),Ray Brown (b),Ed Thigpen (ds)

渋いベテラン二人の再開セッションに参加。ソロで個性を発揮

テディ・エドワーズとハワード・マギーという、日本ではあまり人気のない2人の共同リーダー盤にフィニアスがサイド参加した盤。ベースとドラムは、レイ・ブラウン、エド・シグペンというオスカー・ピーターソンの強力なリズム隊を迎えてのコンテンポラリー初録音だ。⑤ミスティは、マギーなしのエドワーズのバラードで、以前から良いと思っていたが、他の曲も改めて聞くと割といい。特にラスト⑥サンディのフィニアスのソロは素晴らしい。フィニアスは、バッキングは下手という説があるがどうなのか?確かにソロは個性的だか、バッキングは地味だ。ただ、下手ということはないと思う。これまで聞いた中で一番強烈なバッキングは、ジャッキー・マクリーンの「イッツ・タイム」でのハービー・ハンコックのバッキングだ。ハンコックもバッキングで強烈に自己主張する人ではないが、この盤は強烈だ。フィニアスはこの対局に位置するバッキングだが、それはそれでいいと思う。ブラウンのほうが目立っている。この盤で出会ったブラウンがその後、文字通りフィニアスをサポートしてくれることになる。(hand)

テディ・エドワーズが1945年~47年までマギーのバンドにいたので、その再会盤との事でTogether Again !!!! と!マークが4っもついている。二人とも実力者だが人気の点では地味な存在なので、この再会には ! ほどのインパクトはなかったのではと思う。内容はこの二人が主役と思いきや、エドワーズにスポットを当てたMisty以外の曲では、フィニアスにも対等に近いソロスペースが与えられていてる。(しげどん)



Maggie’s Back in Town/Howard Mcghee  マギーズ・バック・イン・タウン/ハワード・マギー

1961年6月26日Contemporary

おすすめ度

hand      ★★★☆

Howard McGhee (tp),Phineas Newborn, Jr. (p),Leroy Vinnegar ( b),

Shelly Manne (ds)

ハワード・マギーのリーダー盤に参加

前作の3か月後にハワード・マギーのコンテンポラリーのリーダー盤に参加。リズム隊は、リロイ・ヴィネガーとシェリー・マン。フィニアスは、相変わらずいいソロを弾いている。バッキングも多少目立っているか?!ベースのヴィネガーも、レイ・ブラウン以上に太い音色を聞かせている。ただ、この時期のマギーのいがらっぽいブリリアントでない音色は、(今のところ)好きになれない。(hand)



Love Moods/Helyne Stewart  ラブ・モード/ヘリーン・スチュワート

1961年8月21-22日

Contemporary

おすすめ度

hand      ★★★

Helyne Stewart(vo), Teddy Edwards (ts),

②-⑤⑦⑨⑩⑫:Phineas Newborn, Jr.(p), Leroy Vinnegar(b), Milt Turner(ds) 

黒人ボーカル、ヘリーン・スチュワート盤の一部を伴奏

黒人ボーカルのヘリーン・スチュワートの作品。アート・ペッパー入りのスモール・ビッグバンドのセッションが①⑥⑧⑪の4曲で、残り8曲がフィニアスの入ったテディ・エドワーズ・カルテットが伴奏。声はクリアで歌もうまいが、カーメン・マクレーの亜流的な印象を持った。フィニアスは、間奏に指遣いのすごさを見せる。(hand)



Good Gravy !/Teddy Edwards  グッド・グレイビー/テディ・エドワーズ

1961年8月23, 24 & 25 Contemporary 

おすすめ度

hand      ★★★

Teddy Edwards (ts, arr),

④⑤:Phineas Newborn, Jr. (p), Leroy Vinnegar (b), Milt Turner (ds) 

テディ・エドワーズ盤で一部を伴奏

さらに2か月後のテディ・エドワーズのコンテンポラリー盤に参加。ただし、9曲中2曲④⑤のみ。他曲は無名のダニー・ホートン。ベースはリロイ・ビネガーで、ドラムはミルト・ターナー。知らないので調べてみるとレイ・チャールズ、ハンク・クロフォードなどブルージでソウルフルかつポップなジャズメンとの共演が多いドラマーだった。(hand)