ミルト・ジャクソンは、常に安定した水準の演奏をし続けたこの楽器の第一人者ですので、大物同志の共同リーダー作が多くあります。ここではサイド作も含めて紹介します。
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Howard McGhee(tp),Jimmy Heath(as,bs),Milt Jackson(vib),Will Davis(p),Percy Heath(b),Joe Harris(ds)
完全なるビバップ。演奏が悪い訳ではないが、鑑賞用としてはやはりつらく、オススメはできない。(hand)
パーカーやファッツナバロとも渡り合ったハワード・マギーの美しいトランペットが聴ける。ミルト・ジャクソンは12曲中8曲で参加しているが、後年のスタイルとあまり変わっていないことに驚く。ジミー・ヒースの初期の演奏も聴ける。(しげどん)
1948.4
Galaxy
おすすめ度
hand ★★★
1-8:Sonny Stitt(as),Milt Jackson(vib),Russell Jacquet(tp),Sir Charles Thompson(p),unknown(b,ds)
9-12:Milt Jackson(vib),John Lewis(p),Al Jackson(b),Kenny Clarke(ds),Chano Pozo(conga)
13-17:Sonny Stitt(as),J.J. Johnson(tb),Leo Parker(bs),Russell Jacquet(tp),Sir Charles Thompson(p),unknown(b,ds)
ビバップのいい演奏が多く収録されているが、録音が古いためか、かなり音が悪く、オススメ盤とするのは難しい。ミルトとスティットが共演しているのは最初の8曲のみ(OJC盤の表示は間違っていて共演曲がないことになっている。)。(hand)
48年6月の録音で、オリジナルはsenseitionというレーベルからのSPで、StittはLord Nelsonという変名で記載されているが、いちおうリーダー扱いである。(しげどん)
1954.3.7
Vogue
おすすめ度
hand ★★★☆
Henri Renaud(p),Al Cohn(ts),Milt Jackson(vib,p,vo),J.J. Johnson(tb),Percy Heath(b),Charlie Smith(ds)
フランス人ピアノのアンリ・ルノーの渡米時の仏レーベル・ヴォーグによる録音。ミルトのほか、J.J.ジョンソン、アル・コーンらが参加。不思議なことにVol.2の3曲では、リーダーのルノーが外れてミルトがピアノを弾き、1曲では唄まで歌っている。J.J.のトロンボーンの硬質な音色が印象に残る。初期のミルトのあまりエコーのかからない金属的な音色も好ましい。1③ジェイ・ジェイズ・ブルースはルノーやコーンも含めて素晴らしいソロが展開される。Vol.1と2を合わせた盤が出ているが元盤のジャケは捨てがたい。(hand)
1954年12月24日 Miles Davis(tp),Milt Jackson(vib),Thelonious Monk(p),Percy Heath(b),Kenny Clarke(ds) :Bags Groove(take 1),Bags Groove(Take 2)
おすすめ度
hand ★★★★★
しげどん★★★★★
タイトル曲の10分前後の2テイクのみがLPのA面に収録という過激な編集なのに、2テイクを続けて聞いても全く苦痛ではない、素晴らしい盤。マイルス、モンク、ミルトの共演は、正式にはこの盤のみ。マイルスがバックでモンクに弾かないように言ったのは、私にはベースとドラムだけで吹きたいという演出効果ではないかと思われる。B面は、ロリンズ 、シルバーらとの録音で、これはこれで最高の内容。(hand)
有名なクリスマスの喧嘩セッション。独特の緊張感あるピアノは、私がモンクという個性的なピアニストを最初に好きになった一曲。モンクのソロの最高峰としてだけでなく、ジャズピアノの最高峰として評価されている名ソロ。ミルト・ジャクソンのソロも研ぎ澄まされた緊張感を感じる傑作。(しげどん)
1954年12月24日 Miles Davis(tp),Milt Jackson(vib),Thelonious Monk(p),Percy Heath(b),Kenny Clarke(ds) :Bemsha Swing,Swing Spring,The Man I Love
おすすめ度
hand ★★★★★
しげどん ★★★★☆
ザ・マン・アイ・ラブは、若い頃によく聞いた名曲の名演で、心に沁みるマイルスのテーマ演奏。ピアノもバイブもどちらもコードを弾ける楽器なので、同時に弾くのは、普通に考えれば好ましくない。なので、マイルスは、ピアノのコード弾きはバイブソロのバックを中心にすることにしただけだと思う。(hand)
この「The Man I Love」も必聴盤から外せない。本当にケンカをしたのか真相は不明だが、モンクは演奏をやめてしまうんだから面白いったらない。そのやめた方のテイクをA面の冒頭にもって来て、B面冒頭は二年も後の有名なマラソンセッションの頃の録音を一曲だけ入れるという、ワインストック氏の露骨な売らんかな主義もすごい。(しげどん)
1955年8月5日
Prestige
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★
Miles Davis(tp),Milt Jackson(vib),Jackie McLean(as),Ray Bryant(p),Percy Heath(b),Art Taylor(ds)
ウォーキン以降の緻密な音作りに比べると、ディグ的な荒削りで、ブローイングセッション的な内容だ。それでも、さすが帝王マイルス、ミルトを緊張させて、いいプレイを引き出している。(hand)
マイルス、ミルト、レイ・ブライアントともに良いソロで愛聴に耐える水準の作品だ。でもさすがにクリスマスセッションとは格が違う。やはりあれはモンクの神通力が起こした奇跡?(しげどん)
1957.9.12
Atlantic
おすすめ度
hand ★★★☆
Milt Jackson(vib,p,gr),Ray Charles(p,as),Billy Mitchell(ts),Skeeter Best(gr),Oscar Pettiford(b),Connie Kay(ds)
レイ・チャールズのヴォーカルとピアノに、ミルトのバイブ、ベース、ドラムの盤かと思って聞くと全く違う。まず、歌が出てこない。レイは歌わない代わりに、アルトサックスを吹き、その時はミルトがピアノを弾く。さらに、ミルトがギターを弾く曲もある。何も知らされずに聞いたら普通のインストのモダンジャズ盤なのだ。レイのアルトはやや迫力に欠けるが、その分、数曲に参加のビリー・ミッチェルのテナーはなかなかいい。ミルトのギターも悪くない。(hand)
1958.2.13 & 14
Fontana
おすすめ度
hand ★★★
Barney Wilen(ts),Milt Jackson(p),Percy Heath(b),Kenny Clarke(ds)Gana M’Bow(perc)
仏テナーのバルネ・ウィランのいわゆる普通のハードバップ盤。悪くはないが、リーダー盤「バルネ」の素晴らしさと比べてしまうと、特段、素晴らしく感じられない。この時期のバルネは、ややロリンズっぽい。ミルトはピアノを弾いている。(hand)
1958.4.10
Atlantic
おすすめ度
hand ★★★☆
↑Soul Brothers と Soul Meeting 2In 1盤
Milt Jackson(vib,p),Ray Charles(p,as),Kenny Burrell(gr),Percy Heath(b),Art Taylor(ds),Oscar Pettiford(b:6-only),Conny Kay(ds:6-only)
「ソウル・ブラザーズ」が好評だったのか、翌年似た内容で吹き込まれた盤。ケニー・バレルの参加もあり、ジャジーないい仕上がりになっている。この盤も前回同様、レイのヴォーカルはない。レイ作の⑤ラブオブマイマインドはキレイな曲だ。⑥バグスオブブルースは「ソウル・ブラザーズ」セッション時からの曲。(hand)
1958年9月12日
Atlantic
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん ★★★★
Coleman Hawkins(ts),Tommy Flanagan(p),Milt Jackson(vib),Kenny Burrell(g),Eddie Jones(ds)
①ミルト、ホーク、バレル、フラナガンがいい感じで協調している盤。②バップ曲。③バラード。④元気な曲。バレルが活躍。⑤いいムードのブルース。ホークも好調だ。⑥最後も快調なブルース(hand)
ミルト・ジャクソンのリーダー作に大先輩ホーキンスががゲスト参加。全体的に和やかないい感じの演奏。トミー・フラナガン,ケニー・バレルの演奏も楽しめるオーソドックスなジャズアルバム。(しげどん)
1959年1月15日
Atlantic
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★★
Milt Jackson(vib),John Coltrane(ts),Hank Jones(p), Paul Chambers(b),Connie Kay(ds)
ミルトの方が先輩格でクレジットもミルトからなので、ミルトのリーダー作に分類してもいい盤。この盤で、ミルトの弱点は、MJQ的な平板なリズム隊が好きなところではないか?と思い至った。コルトレーンは、バックに煽られていいプレイをするタイプなのだ。ビバップのような激しい曲もそれほど盛り上がらない。ただし、全体的にミルトのソロはいい。レイトレイトブルースのコルトレーンもいい。(hand)
まずはコルトレーンの勢いに驚く。ミルトのソロはいつも通りの職人的な巧さだが、トレーンは自分だけが突進し始めている感じで、勢いに凄みを感じる。コルトレーンの参加によりミルトのほかの共同リーダー作とは違った雰囲気を持つ作品になっている。(しげどん)
1961年12月18日,19日
Riverside
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★
ショーン ★★★★☆
Milt Jackson(Vib),Wes Montgomery(g),Wynton Kelly(p),Sam Jones(b), Philly Joe Jones(ds)
さすが、ミルト・ジャクソン、ジョージ・シアリングとの共演で白っぽい感じになったウェスを黒い感じに引き戻している。メンバーも、ケリー、サムジョーンズ、フィリーと最高のメンバー(hand)
ミルト・ジャクソンのヴィブラフォンの澄んだ音色とウエスのソフトなギターの相性は悪くない。様々な楽器とデュオセッションを組んでいるウエスだが、このアルバムのように他のサイドメンバーはシンプルな構成の方が、オーケストラが分厚く入るより、ウエスのギターワークの味が出ている。(ショーン)
アレンジにとよらず有名曲を素材にファンキーなソロをのびのびと演じる二人。さらにウイントン・ケリーと役者揃いで、無条件に楽しめるジャズ。(しげどん)
1961年
Verve
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん ★★★☆
Milt Jackson(vib),Oscar Peterson(p),Ray Brown(b),Ed Thigpen(ds)
重量級ミュージシャンのガブリよつの演奏かと思いきや、何とも2人とも上品にエレガントに演奏している。ワークソングとリユニオンブルースは、比較的熱い演奏だが、フェイドアウトが残念。何がトールなのかは、理解できない(笑)。(hand)
完璧なテクニックの二人の共演だから、いつも通りの余裕しゃくしゃくの職人芸。ややこしいアレンジや実験性とは無縁の理屈抜きに楽しめる私が好きなタイプのジャズだ。リパブリック賛歌の原曲はジョン・ブラウンの屍という黒人の歴史を背負った曲であることをこのアルバムの曲名で初めて知った。(しげどん)
1964.1.13 & 14
Verve
おすすめ度
hand ★★
Milt Jackson(vib),Ray Brown(b),Kenny Burrell(gr),Wild Bill Davis(org:1–3,5,7,10),Hank Jones(p:4,6,8,9),Albert Heath(ds),
Marion Williams(vo:1–3,5,7,10)
なんだが私には、あまりピンとこない演奏が多く。特に、ソウルフルな女性ボーカルには馴染めない。それでも、続編が出るということは、アメリカでは支持されたのであろう。バラードは良い。(hand)
1965.1.4 & 5
Verve
おすすめ度
hand ★★★☆
Milt Jackson(vib),Ray Brown(b),Kenny Burrell(gr),Hank Jones(p),Grady Tate(ds),Oliver Nelson,Jimmy Heath(arr,cond),
Ernie Royal,Clark Terry,Snooky Young(tp),
Jimmy Cleveland,Urbie Green,Tom McIntosh,Tony Studd(tb),
Ray Alonge(french horn),
Bob Ashton,Danny Bank,Jimmy Heath,Romeo Penque,Jerome Richardson,Phil Woods(reeds)
レイとミルトの名前だけがタイトルの作品。前作の続編と思って聞くと、こちらは純正のビッグバンドのジャズ作品で、好感度が高い。ジャケ写はアナログ盤で、「マッチ・イン・コモン」の2枚組CDの2枚目がこの盤になっている。(hand)
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