1960年代になり、63年から66年までは、一旦古巣ブルーノートを離れ、ブルースやファンクの得意なレーベル、アーゴ(カデット)に移ります。アーゴでは、オルガン、ギター、そして8ビートを多用し、独自のポップなルウドナのサウンドを繰り広げます。そして、67年にブルーノートに復帰し、大ヒット作「アリゲーター・ブーガルー」を録音することになります。
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Lou Donaldson(as), Tommy Turrentine(tp), Big John Patton(org), Grant Green(gr), Ben Dixon(ds)
62年になり①ファンキーママに早々にロックビートが取り入れられる。ダンサブルな感じは私の愛好する雰囲気から遠ざかる。ルウドナの吹き方もフュージョンサックス的に変わる。もちろん62年はフュージョンの20年近く前だが。ジョン・パットンのオルガンもフュージョン時代のキーボードやシンセのように聞こえる。ジャズロックの流行が見え始めた時期の盤なのだろう。ルウドナのソウル・ジャズのスタート盤とされているらしいが、詳しくないので、ソウルかどうかはわからない。③も8ビートだが、それ以外は4ビートジャズで、②ラブ・ウォークド・インのようなジャズ曲や④のビバップ・ブルースにホッとする。トミー・タレンタインのトランペットもバッパー的にはじけている。(hand)
Funky Mamaというブギウギ調のブルースからはじまるコテコテ盤かと思いきや、選曲は意外とジャズ感を感じるスタンダードもあり。でもジョン・パットンのオルガンとトミー・タレンタィンのトランペットに支配されているような時間も多いので、ルウさんの歌心も交錯している。(しげどん)
Lou Donaldson(as), Big John Patton(org), Grant Green(gr), Ben Dixon(ds)
ジャズロック曲①バッド・ジョンから始まる。オルガンのジョン・パットンを文字ったと思われるルウドナ曲。グラント・グリーンが楽しそうにソロをとる。ジャケはソウルのダンスのような感じだが、内容はポップな感じがする。この後、67年まで約4年、ブルーノートを離れることになる。(hand)
Lou Donaldson(as), Tommy Turrentine(tp), Big John Patton(org), Roy Montrell(gr), Ben Dixon(ds)
約4年間のアーゴ(カデット)時代8枚の最初の盤。ギターがロイ・モントレルという知らない人に変わったが、他メンバーはブルーノートのまま。演奏内容もブルーノート時代のポップ化路線をまっしぐらという感じだ。(hand)
Lou Donaldson(as), Bill Hardman(tp), Big John Patton(org), Ray Crawford(gr), Ben Dixon(ds), Cleopas "Mopedido" Morris(perc)
アーゴというと、シカゴの黒っぽいジャズをイメージするが、ルウドナに限っては、オルガンとギターがいても不思議にそうはならない。ルウドナのアルトの明るい音色と音楽性が理由だと思う。ルウドナ自身は元々ねっとりしたブルージーな音楽はあまり好みではないのではないかと想像する。日本では、ルウドナは初期はバッパーで、その後はソウルフル&ブルージーということになっているが、初期は当たっているにしても、その後の楽器編成はオルガン&ギターであっても、ルウドナ自身は明るいポップな音楽を目指していたように私には感じる。とはいえ、この盤は、トランペットがビル・ハードマン、ギターがレイ・クロフォードに変わり、比較的ジャジー&ブルージーになっていると思う。コンガが「グレイビー・トレイン」以来、久々に参加している。オルガンのジョン・パットンはこの盤がラストとなる。(hand)
オルガンとコンガは入っているが、一応オーソドックスなジャズになっている。ビル・ハードマンとの相性はいいのかもしれない。すこし大人しめにまとまった感じがする一枚。(しげどん)
軽やかなリズムが心地よいアルバム。エレクトリックギターとオルガンの電子音が優しい引き立て役となっているため、ルードナルドソンのアルトサックスとビルハードマンのトランペットの生音がより際立って響き、完璧な仕上がりを見せる。まるでテナーのような重さと厚みをアルトで表現するルーのブローテクニックが光る、都会の疲れを癒せるオススメ盤だ。(ショーン)
1964.6.19
Argo
おすすめ度
hand ★★★☆
Lou Donaldson(as), Herman Foster(p), Earl May(b), Bruno Carr(ds), Ray Barretto(conga)
多分、唯一の未CD化盤。久しぶりにハーマン・フォスターのピアノが復活。レイ・バレットのコンガも同様だ。フォスターは、以前はあまり、強烈な個性を感じない目立たないピアノだったが、ティモンズらの影響を受けたのか、ファンキー度が増し個性が強くなっている。アナログ盤のせいかもしれないが、ルウドナ盤にしては珍しくドラム(ブルーノ・カーという知らない人。R&B系の人らしい。)の音が目立っている気がする。(hand)
Lou Donaldson, Phil Woods(as), Dave Burns, Ernie Royal(tp), Bob Ashton(ts), Danny Bank(bs), Lloyd Mayers Jr.(org), Richard Davis(b), Grady Tate(ds), Oliver Nelson(cond,arr)
オリバー・ネルソンのアレンジと指揮によるオルガン入りのホーンズをバックに伸び伸びと吹くルウドナ。あまり予算のなさそうなアーゴにしては豪華録音で、バックには同じアルトのフィル・ウッズまで入っている。それだけルウドナ盤は売れたのだろう。ルウドナは本当に気持ち良さそうだ。(hand)
1965.6.3
Cadet
おすすめ度
hand ★★★☆
Lou Donaldson(as), Bill Hardman(tp), Billy Gardner(org), Grant Green(gr), Ben Dixon(ds)
CDは、後半に「アット・ヒズ・ベスト」を収録した2イン1で発売されている。この盤からオルガンがビリー・ガードナーとなる。他はビル・ハードマン、グラント・グリーン、ベン・ディクソンという、いつものメンバーで、コンガはいない。65年というジャズロック的な音楽がもてはやされる時代となっているので、8ビート曲が多い。(hand)
Lou Donaldson(as), Bill Hardman(tp), Billy Gardner(org), Warren Stephens(gr), Leo Morris(ds)
ルウドナのリーダー盤としては珍しいクラブで録音されたライブ。65年のニューヨーク録音で、70年の発売。オルガン入りだが、ルウドナ、ハードマンの活躍もあり、ジャズらしいライブで好感だ。ライブになると、バッパーの本性が現れてくるのだと思う。(hand)
とても楽し気なライブだ。タイトル曲は新曲だと言っている。ほかはお得意のレパートリー集で、Peck TimeはSwing&Soulで、The Thangはアリゲーター・ブーガルーでも演じていたが、こちらのほうが2年ほど早く、また長い演奏でジャズ的なグルーブ感があり良い感じだ。(しげどん)
1965年、活気溢れるニューヨークのボントンクラブでのライブ演奏。ルードナルドソンのアルトは哀愁と共に力に満ちており、聴衆をぐいぐい引き込んで来る。他のメンバーもルーのペースにしっかり追随して、スピード感のあるライブ盤となっている。(ショーン)
Lou Donaldson(as), Herman Foster(p), Sam Jones(b), Leo Morris(ds), Richard Landrum(conga)
ボブ・ディランの①風に吹かれて、をジャズロックでスタート。ヒット曲を吹いてみましたという感じで、特にディランにシンパシーを感じた演奏とは思えない。③ホイーラー・ディーラーはスタンド・バイ・ミーに似た曲。サム・ジョーンズをフィーチャーした⑥リラクシングインブルーは、ブルージーでいい感じ。⑦ハーマンズ・マンボはいい感じだが、フュージョンっぽい。ハーマン・フォスターのピアノに、サム・ジョーンズのベースまで入っているが、8ビートが多く、ジャジーな盤ではなく、盤全体の印象は爽やか系だ。ドラムのレオ・モリスは前作「フライド・ブザード」から加わっているが、70年代にアイドリス・ムハマッドとしてフュージョンで活躍する人だ。(hand)
1966.8.30
Cadet
おすすめ度
hand ★★★☆
Lou Donaldson(as), Bill Hardman(tp), Billy Gardner(org), Calvin Newborn(gr), Grady Tate(ds)
アーゴ(カデット)の最終盤。ベスト盤のようなタイトルだが通常盤だ。CDは、「マスティ・ラスティ」の2イン1で後半に入っている。ビリー・ガードナーのオルガン、フィニアスの弟カルビン・ニューボーンのギター、グラディ・テイトのドラム。ビル・ハードマンも入っている。③ウィグ・ブルースでルウドナの初ボーカルが聞かれる。全体に軽く、ポップな感じで聞きやすい。(hand)
Lou Donaldson(as), Freddie Hubbard(tp), Garnett Brown(tb), Jerry Dodgion(as,fl), Wayne Shorter(ts), Pepper Adams(bs), McCoy Tyner(p), Ron Carter(b), Al Harewood(ds), Duke Pearson(arr)
日本では世界初登場盤「スイート・スランバー」として1980年に発売されたが、アメリカでは既に67年に「ラッシュ・ライフ」として発売されていたらしい。今はタイトルもジャケも「ラッシュ・ライフ」に統一されてカタログ化されている。錚々たるメンバーによるブルーノート盤なのでどれだけハードな内容なのかと思うと日本タイトルにあるスイートな内容。アーゴから復帰したルウドナのためにBNがお金をかけて録音した盤なのかもしれない。それにしても、フレディ、ショーター、マッコイ、ロンなどハードなメンバーでこの内容はないと思う。甘口過ぎて聞き通すのがつらい。さすがに気が引けて未発にしたのかもしれない。曲としてのラッシュライフが入ってないのに、なぜ元タイトルにしたのかも理解不能だ。(hand)
Lou Donaldson(as), Melvin Lastie(cor), Lonnie Smith(org), George Benson(gr), Leo Morris(ds)
後期のというより、ルウドナ自身の最大ヒット盤だと思う。ただ、純ジャズファンの人気度はあまり高くないと思う。リー・モーガンの「サイド・ワインダー」は、ジャズロックと言われながらファンもかなりいるのは、モーガン盤がジャズのフォーム、ソロのフレージングがビバップの流れを汲むものだからだと思う。曲もジャズロック曲だけでなく4ビートも入っている。ルウドナ盤はこの盤あたりから、ダンサブルなものになり、フレージングにもビバップを感じなくなっている。「ラッシュ・ライフ」は日本では発掘盤扱いだったので、この盤が日本では正規盤でのブルーノート復帰盤となる。大ヒットして、BNはアーゴから呼び戻した意義があったと思う。オルガンは、この盤からロニー・スミスとなる。ギターに当時若手のジョージ・ベンソン、ドラムはアーゴからのレオ・モリス、トランペット(コルネット)は聞いたことのないメルビン・ラスティという人(R&B系の人らしい。)。タイトル曲①アリゲーターはシングルにもなったくらいヒットしたらしい。ソウルジャズと言われているが、よくわからないので、そうなのかと理解するしかない。(hand)
ルウドナ最大のヒットになったそうだが、なぜこういう曲がヒットするのか私にはわからない。いわゆるジャズロックぽいかっこ良さもあまり感じなかった。でもアルバムタイトルでもあり、シングルカットされた事からも、売れそうな曲だと判断されたんだろう。B面後半の二曲がややジャズっぽい。(しげどん)
ジョージ・ベンソンのギターとロニー・スミスのオルガンが加わることで、ソウルフルな中に都会っぽさが生まれた。ルー・ドナルドソンのアルトもジェントルな一面を見せており、新たなsoul-pop-jazzの世界がここに生まれた。自然体で心地良く聴くことのできる好アルバムだ。(ショーン)
Lou Donaldson(as), Blue Mitchell(tp), Lonnie Smith(org), Jimmy Ponder(gr), Leo Morris(ds)
トランペットにブルー・ミッチェルが参加。ギターはジミー・ポンダー。①オード・トゥ・ビリー・ジョー、この気怠い感じがソウルジャズなのか?何となくわかったかもしれない。ルウドナのフレージングからもビバップ的なものが消えたと思う。 ③いそしぎ、はボサで演奏され、昔からこの盤では異色だが、唯一のお気に入り曲。何度聞いてもいいと思う。ブラジルのサウダージとは違うジャジーなボサだ。この感じでボサ盤を1枚作って欲しかった。(hand)
さらにヒット狙いなのかPOPな路線になっている。前作以上にジャズ感は不足していると思うが、BGM的に聴くには耳になじみやすくいいかもしれない。(しげどん)
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