このページからは、モーガンの後期とも言える60年代以降のサイド参加作をレビューしていきます。
まずはメッセンジャーズに在籍していた60年代前半からご紹介します。
リー・モーガン ディスクガイド 目次 Lee Morgan おすすめCD 案内
→リー・モーガン リーダー作 ① (前期) デビューから60年までBlue Note 前期
→リー・モーガン リーダー作 ② (後期) 62年以降 サイドワインダーなど
→リー・モーガン リーダー作 ③ (後期)67年から最終作品まで
→リー・モーガン サイド参加作(前期) ① 56年~57年 ブルートレインなど
→リー・モーガン サイド参加作(前期) ② 58年~59年 メッセンジャーズ時代
→リー・モーガン サイド参加作(前期) ③ 59年 メッセンジャーズ 訪欧ツアーなど
→リー・モーガン サイド参加作(前期) ④ 60年 引き続きメッセンジャーズ主体
→リー・モーガン サイド参加作(後期) ⑤ 61年~63年 3管JM ライブ・イン・ジャパンなど・・・このページ
→リー・モーガン サイド参加作(後期) ⑥ 64年~66年 マクリーン、モブレーなどと共演
→リー・モーガン サイド参加作(後期) ⑦ 67年~72年 コテコテ系もあり
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts),Bobby Timmons(p),Jimmy Merritt(b),Art Blakey(ds)
伝説のJMの初来日公演の記録、61年の元旦に来日し、翌2日のサンケイホールでの録音。録音から20年後の81年LP2枚組でスイングジャーナルのゴールドディスクとして発売された。日本では「サンジェルマン」のモーニンやブルースマーチが大人気だったせいか、テナーはショーターに変わったが、直前盤「ミート・ユー・バードランド」よりもゴルソン在団時の選曲が多い。プロモーターの依頼かファンサービスだろう。モーガンは、キレのいいトランペットで日本人ファンを大量に獲得したと思う。神がかっているような素晴らしさだ。ティモンズが「サンジェルマン」のようなファンキーではなく理知的なプレーをしている。(hand)
このレコードが発売されたのは1981年で、来日公演の20年後だった。当時大学生だった私は、油井正一さんのライナーに掲載された思い出話などを熱心に読んでいたので、今見返しても懐かしい。この頃はまだ「モーニン」や「サンジェルマン」のメッセンジャーズくらいしか知らず、その延長線上で聴いていたが、今聴き返すと「Kelly Great」で演じられていたショーターの曲や、ダット・デア、ペーパームーンなど「The Big Beat」の曲目もやっていて、モーニンの頃からはメンバーも音楽的にも変わりつつあった途上をとらえたライブだったんだと思う。来日から60年、レコード発売からも40年も立ってしまったと思いながらアナログ2枚を聴き通すと、感無量だ。(しげどん)
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts),Bobby Timmons(p),Jimmy Merritt(b),Art Blakey(ds)
Curtis Fuller(tb),Cedar Walton(p),Reggie Workman(b)
61年録音79年公表の長期お蔵入り盤とは思えないクオリティの高さ。ショーター色の濃いモーダルな曲が多く、雰囲気もまとまっている。CD化でおまけ6曲が加わり全12曲となったことで、おまけ率が高くなっただけでなく、元々「ルーツ&ハーブス」と曲が被っているので印象が似てしまっている。(hand)
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts),Bobby Timmons(p),Jimmy Merritt(b),Art Blakey(ds)
70年に公表されているが内容は素晴らしく、61年1月の初来日公演の翌月とは思えないモーダルな雰囲気の盤。来日公演はやはりファンサービス的な内容で、ショーターの加入もありバンド自体の体質は既にかなり変わっていたのだと思う。①ピンポンが印象に残る。(hand)
1961年5月14日
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts),Bobby Timmons(p),Jimmy Merritt(b),Art Blakey(ds)
録音の6年後の67年に公表された盤。勢いのあるいい盤で、これも当初の未発理由が不明だ。(hand)
オリジナル曲のリズムの面白さを感じながら、とてもストレートにメンバーの力強いソロが楽しめる一枚だ。タイトルナンバーは黒魔術呪術師のような意味なんだろうが、ウェイン・ショーターらしいタイトルと思ったらリー・モーガンの曲だった。でも曲調はわりと素直なメッセンジャーズらしい曲で、メンバーのソロは快調。アフリケーヌ、ア・リトル・ビジーのように、リズムが凝っている曲も、ノリのいい曲で面白さを感じながら聴ける曲で、御大ブレイキーもテクニック全開で聴きごたえがある。(しげどん)
1961年5月27日
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts),Bobby Timmons(p),Jimmy Merritt(b),Art Blakey(ds)
同時期になされた4枚分の録音のうちアルフレッド・ライオンにより唯一録音直後に正規発売された盤。4枚とも素晴らしくなぜこれが?と話題になるようだが、私の想像はこの盤が一番モーダル度が低く、過去のJMを感じるからではないかと思う。演奏はいいのだが、キラーチューンがないのが残念なところ。(hand)
一曲目のショーターのオリジナルは、いかにもメッセンジャーズらしい曲でブレイキーのドラムもブレイキーらしく素直に楽しめる。過渡期ではあるが、メッセンジャーズらしいアルバムイメージだ。そして二曲目のタイトルチューンはなんと7分に及ぶブレイキーのソロ曲で、これも好みは分かれようがブレイキーらしい。モーガンのオリジナルもジャズメッセンジャーズらしいテイストで、私好みの盤だ。(しげどん)
1961年5月13日
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★★
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts),Bobby Timmons(p),Jimmy Merritt(b),Art Blakey(ds)
1月の日本公演後、5月13日のパリのライブ。「フリーダム・ライダー」など4枚分のスタジオ録音(2月12日&18日、3月14日、5月27日)中だが、この盤に新曲はない。次作からカーティス・フラーが加わって3管になるので、この2管のメンバーの聞き納めになる。日本録音と曲、内容はあまり変わらないが、4ヶ月でショーターのソロがより堂々とした感じになったと思う。ティモンズのファンキー度もさらに低下している。モーガンもモーニンやダットデアなどのファンキーな曲以外はファンキーなプレイをしなくなっている。音質がイマイチなのは残念なところ。(hand)
1960年3月6日
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts),Bobby Timmons(p),Jimmy Merritt(b),Art Blakey(ds)
通称「ア・ラ・モード」、ホントは「ジャズ・メッセンジャーズ」というまんまなタイトル。インパルスがBNからブレイキーを借りて録音した2枚の1枚(もう1枚は63年のソニー・スティット入りのカルテット「ア・ジャズ・メッセージ」)。カーティス・フラーが加わって、厚みのある3管のスタート盤だが、JMファンにはあまり人気がない。ブレイキーのワイルドで咆哮するようなソロもなく、全体にこじんまりとまとまった感じがするのだろう。私としては、整然としたJMもいいなーという印象だ。各楽器もよく鳴っていて、アンサンブルもよく、モーガン&フラーの入ったコルトレーン の「ブルートレーン」とは全く雰囲気は違うが、モーダルな感じもあり、悪くない盤だと思う。(hand)
冒頭の曲=アラモードはJMにトロンボーンとして初加入したフラーのオリジナルで、シンプルながら勢いのあるいい曲、いい演奏なので、これだけでも聴く価値がある一枚だ。アラモードは正式タイトルではなく、ジャケットには「Impurse!!!!!Art Blakey!!!!!Jazzmessengers」とだけ記載されている。なんともテキトーな感じだが、ブルーノート専属のブレイキーがインパルスに録音したのが「!」な事だったのだろうか?2曲め以降は聴きなれない曲もあるがオリジナルは一曲もなく、ウエイン・ショーターのカラーもあまり出ていない。ソロとしては悪くないが、普通のハードバップになっている。(しげどん)
1963年3月7日,10月2日
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん ★★★★
Donald Byrd(tp),Hank Mobley(ts),Herbie Hancock(p)Butch Warren(b),Philly Joe Jones(ds)
Lee Morgan(tp),Hank Mobley(ts),Andrew Hill(p),John Ore(b),Philly Joe Jones(ds)
モーガンの復活のきっかけとなった盤。この盤は、新主流派的な盤と思っていたが、メンバーをよく見ると新しいタイプはピアノのアンドリュー・ヒル(一部ハンコック)のみ。ヒルが新主流派的な雰囲気にしてはいるが、他メンバーはハードバップのままだ。ピアノの盤のカラーへの影響力は大きい。モダンのレスター・ヤングという感じのモブレーは、フレージングや雰囲気は素敵だが、勢いが弱いのがまさにウィークポイントだと思う。 特にトランペットと一緒だと霞みがちだ。ただ、モーガンとはJMで一時期フロントをやっていたコンビだけに、息は合っている。モーガンは、復帰直後でブリリアントまではいかないが、きっちりと役割を果たし、盤の色合いを作っている。③⑥はドナルド・バード&ハンコックで、モーガン&ヒルは入っていない。(hand)
力強くモブレーらしさを感じる作品。60年から61年にかけて生み出した傑作の余韻を確認するように、アナザーワークアウトで演奏した曲も再演。マイルスのグループ参加でスランプになったのか名作連発のあとなぜか一年以上の空白をおいての作品で、次作からジャズロック路線が強まっていく。これが最後のハードバップ優良作かもしれない。堅物お断り・・・というタイトルも意味深だ。(しげどん)
1963年11月21日
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★☆
Lee Morgan(tp),Grachan Moncur Ⅲ(tb), Jackie McLean(as), Bobby Hutcherson(vib), Bob Cranshaw(b), Tony Williams(ds)
グラシャン・モンカー3世の初リーダーアルバム。モーガン〜マクリーンのハードバップ路線では全くない。私の苦手な「アウト・トゥ・ランチ」のハッチャーソン〜トニーの新主流派の路線だ。フレディ〜ドルフィだったら同盤の兄弟盤になっていたと思う。冷たい音色になりがちなバイブを温かい・熱い音で演じたのがミルトなら、冷たく凍りつく音が得意なのがボビハチだ。一部温かい盤もあるが、この時期は氷点下盤ばかりだ。リーダー、グラシャンの音色自体はカーティス・フラー的な荒削り感があり好みだが、盤の色合いは苦手だ(グラシャンはジャズテットにはフラーの後任で加入している。)。唯一③コースターは、マクリーン、モーガンにも合った熱を感じる曲。全員が熱い演奏で好感だ。モーガンも伸び伸びと吹いている。(hand)
無機質な印象のグラシャン・モンカーのオリジナル曲は、リズミカルな部分ではモーガン、マクリーンは奮戦している。でもタイトルナンバーのようなノンビートの抽象的な作品では、ソロも爆発させられずせっかくの二人を生かせずもったいない。「不思議の国のモンク」もモンクのイメージを狙ったオリジナルだが、バッド・イミテーションとい感じで全く評価できない。ソロイストとしてはマクリーン、モーガン、そしてピアノがいない代わりにボビー・ハッチャーソンは全編で目立っているが、モンカー自身のトロンボーンはなぜだか印象が薄い。(しげどん)
1963年
Colpix
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん ★★☆
Art Blakey(ds),Lee Morgan,Freddie Hubbard(tp),Curtis Fuller(tb),Julius watkins(frh),Bill Barber(tu),James Spaulding(as),Wayne Shorter(ts),Charles Davis(bs),Cedar Walton(p),Reggie Workman(b)
ブルーノートではなく、マイナーなコルピックスからの盤。黒人ボクサーの成功譚を描いたミュージカル「ゴールデン・ボーイ」のための音楽をJMメンバーを含めたビッグバンドで演奏。アレンジはショーター、シダーとフラーが担当。明るい雰囲気の快適なビッグバンド演奏で、JM臭はあまりしないが、JMに復帰したモーガンなどJMメンバーのソロは随所に聞かれる。意外と楽しめる盤。(hand)
ミュージカルのジャズ化という事で、ソロもあるがアレンジのウエイトが高く、ウエストコースト的な印象がある。ジャズ・メッセンジャーズ的なワイルドなジャズテイストがあまりない作品だ。(しげどん)
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