バレルが最高に脂がのっていた、黄金期と言えます。ページに載っているほとんどが名盤で、新ジ談のベスト5の4位までがこの時期の盤でした。
・新宿ジャズ談義の会 :ケニー・バレル CDレビュー 目次
Kenny Burrell(gr), John Coltrane(ts), Tommy Flanagan(p),
Paul Chambers(b), Jimmy Cobb(ds)
バレルもコルトレーンもいいプレイだ。そしてトミフラ、チェンバース、コブもいい感じのサポートをしている。ただ、演奏はいいのに魅力的な曲がないのは残念な点だと思う。そして2人のどちらかが、もう少しリーダーシップを発揮したら、もっと面白くなったと思う。(hand)
コルトレーンとしても絶頂期の前半戦の充実した時期。サイドメンも申し分ない鉄壁のメンバーだ。演奏は悪くはないが、標準的なこの時代のハード・バップ演奏だ。トミー・フラナガンのオリジナル曲は挿入曲として考えれば悪くないが、A面一曲目のインパクトはなかったのでは?でも各ソロイストは自分らしさを発揮したいいソロだとは思う。(しげどん)
Kenny Burrell(gr), Louis Smith(tp), Tina Brooks, Junior Cook(ts),
Duke Jordan, Bobby Timmons(p), Sam Jones(b), Art Blakey(ds)
ジャケの素晴らしさに比べて印象が今ひとつというのが過去の印象だ。改めて聞いてみて、多少印象は良くなった。バレルのリーダー作として聞くのではなく、ジャムのセッションリーダーくらいのつもりで聞くといいのだと思う。良質なハードバップであることは間違いない。ルイ・スミス、ジュニア・クック、ティナ・ブルックス+バレルのフロントをティモンズ又はジョーダン、サム・ジョーンズ、ブレイキーという強力なリズム隊なので外れることはない。アナログとCDで曲が違い、そして発掘盤「スインギン」にも曲が入るなど、盤により曲構成が違うのはイメージ作りを阻害すると思う。特に1曲目が違うのはよろしくない。12インチ・アナログのオリジナル・フォームを大事にしてほしい。私の所有する米盤CDでは、Vol.2のほうが親しみやすい選曲になっていると思う。日本盤CDは、オリジナル曲順のようだ。その順で聞いても、Vol.2のほうが親しみやすく感じた。(hand)
バレルの演奏も良いが、共演者も演奏も際立った演奏。ジャム・セッション風の演奏だが、共演者が強力で、私好みのティナ・ブルックスもいいし、ブレイキーの彼らしいサポートもニンマリするような魅力にあふれた作品だ。(しげどん)
Kenny Burrell(gr), Tina Brooks(ts), Bobby Timmons, Roland Hanna(p), Ben Tucker(b), Art Blakey(ds)
コンプリートCDでは、落穂拾い盤の「スインギン」に貸し出していた3曲も収録して全8曲となり、長い曲が多いので散漫な印象の盤になってしまった(コンプリート盤としての評価は、☆1つ下がる。)。やはりアルフレッド・ライオンが当初に出した5曲で聞くのが正解だと思う。ティモンズの進化が著しく、①バークス・ワークスではジャズ・メッセンジャーズ的な熱いソロが聞かれる。バレルは全体に元気が良く、快調そうだ。(hand)
もともとはローランド・ハナ(P)が入ったカルテットのライブだったのに、ティナ・ブルックスとボビー・ティモンズがスペシャル・ゲストとして参加したということだ。オリジナル盤ではこのスペシャルゲスト曲を3曲選んでいるが、私もこの編成の方に魅力を感じた。純粋なバレルファンには申し訳ないが、冒頭のBirks Worksは、まるでジャズ・メッセンジャーズにバレルが客演したような感じで、この全盛期のティモンズ節を聴けるのは楽しいことだ。(しげどん)
緊張感のあるフレーズが新鮮なバレルのギターとベン・タッカーの走るベースのリズムで展開されていく。ライブとは思えない工夫されたアレンジングがなかなか面白い。時に激しく音が絡み合い、ユニークで先進的なライブ演奏だ。(ショーン)
Kenny Burrell(gr), Richard Davis(b), Roy Haynes(ds)
アーゴからの盤。バレルの名盤と言われてきたが、以前はその良さがわからなかった。ウエスの名盤とされる盤と比べるとかなり地味だからだ。何度も聞いていると耳に馴染んでくる内容だ。リチャード・デイビスとロイ・ヘインズというとヘビーな組合せに思えるが、ここではギターを盛り立てる役割に徹している。CDおまけを途中に入れて悪くなる例が多いが、この盤の⑤⑥はいい感じで定着している。最新盤にはさらに4曲がラストに追加されていて、これもいい。①オール・ナイト・ロングは、アルバム「オール・ナイト・ロング」のタイトル曲と同一曲のようだが、元々メロディのはっきりしないブルースのせいか、なかなか同じ曲とは思えない。どうもこの曲のイントロが特段カッコ良くないのが盤全体のイメージにマイナスに働いているように思う。(hand)
とても端正なジャズ感あふれるライブ。hand氏の選盤リストの最初の一枚だったので、とてもとまどった。特に悪くはないが、全編ギターのトリオ編成なので、わりと大人しく地味な印象で味わい深いんだろうがケニー・バレルが好きな上級者向けの作品のように思える。聴き返すほどよくなる作品かもしれない。(しげどん)
黒く重たいブルースアルバム。ベースソロ、ドラムソロとも無駄が無く、キレのある all night long や cheek to cheek の出来が良い。また i'm a fool to want you のようなウェッティなギターを聴かせるバラードもあり、ケニー・バレルの魅力を存分に味わうことができるアルバムだ。店の聴衆のざわめきも良い背景音源として機能している貴重なライブ盤だろう。(ショーン)
Kenny Burrell(gr,vo), Bobby Jaspar(ts), Tommy Flanagan(p), Joe Benjamin, Wendell Marshall(b), Bill English, Bobby Donaldson(ds)
何かの本でバレルが唄も歌うゲテ盤といような文を読んだ記憶があり、この盤は持ってはいても一度も聞いたことがなく、今回、初めて聞いた。歌はゲテではなく、どちらかというと上手いと思う。ボーカルでもやっていけるかもしれないレベルだ。問題はギタリストとしてのバレル好きには、歌う時間分、ギター演奏が減ってしまっている点だろう。他の歌手の歌伴なら、ギターでもっと色々できるところ、自分の歌だと、バッキングがせいぜいになってしまうのだ。「コルトレーンとハートマン」みたいにギターが絡めばもっと人気が出たと思う。ボビー・ジャスパーがテナーとフルートで参加し、ジャスパー自体は私のお気に入りのアーチストなのだが、控え目に感じる。⑩⑪はインストのいい演奏だ。(hand)
Kenny Burrell(gr), Eddie Bert(tb), Leo Wright(as), Illinois Jacquet(ts), Hank Jones(p), Jack McDuff(org), George Duvivier, Major Holley(b), Osie Johnson, Louis Hayes, Jimmy Crawford, Joe Dukes(ds)
以前に買って印象が良くなかったので、棚に放置されていた盤。イリノイ・ジャケーがスタンリー・タレンタイン的な役割をする「ミッドナイト・ブルー」的な盤を期待して買ったのだが、全く雰囲気が違う盤だったからだ。近年、全く違う青いジャケのコンプリート盤(未聴)が出るなどしていたので、何か見どころがあるのかもしれない。改めて聞いたが、見どころ発見には至らなかった。バレルの演奏に限ってみれば、いつもどおりの水準の演奏がなされている。何がいけないのだろう。元々、録音から20年以上後に発売された寄せ集め盤で、セッションが4回3種あり統一感がなく、特にジャケーとバレルの間に相互作用が感じられない点だろうか。録音も音はいいが、ジャズ的な飛び出してくる感が弱いのだと思う。他の2セッション(エディ・バート、レオ・ライトとジャック・マクダフ)は割といい。(hand)
Kenny Burrell(gr), Coleman Hawkins(ts), Tommy Flanagan(p), Major Holley(b), Eddie Locke(ds)
なんと言っても①三つの言葉、が超がいくつもつく素晴らしさ。名曲の名演と言っていい内容だと思う。バレルのアコギ、トミフラ、巨匠ホーキンスと誰もがクールな演奏なのに、曲はカリスマ性を帯びている。タイトなボサのリズムでクール度を増している。他の曲も悪くないのだが、①が凄過ぎて記憶に残りにくい。他の曲を楽しむためには、②から聞いた方がいいくらいだ。 ホーキンスは約半分の4曲に参加。CDオマケの⑧アイ・ネバー・ニューは、ギルド・マホーネスのセッションにバレルが参加したもので、このセッションとは関係ない。内容は悪くないが、追加した意味は感じない。(hand)
私はトラディショナルなジャズのファンだが、コールマン・ホーキンスは残念ながらあまり素晴らしいと思った事がない。大仰な感じなのか、モダンエイジ以降も作品を発表しているが、ベン・ウエブスターのようなきめ細かな味わいがないように思えている。冒頭のマイナーなボサノバは哀愁があるが、ホーキンスがいなくても、トミー・フラナガンが名人ぶりを発揮していてそれで充分な気がする。さらに言えばメジャー・ホリーのボイシング加工したベースが出てくると雰囲気が大雑把に流れ、全体的にはいい感じが継続しない。(しげどん)
Kenny Burrell(gr), Stanley Turrentine(ts), Major Holley(b), Bill English(ds), Ray Barretto(conga)
ブルーノートのルディ・ヴァン・ゲルダー録音のおかげもあると思うが、冒頭の①チトリンス・コン・カーンから、メンバーが一体となって聞く者に迫ってくる感じがある。激しい演奏ではないが、何かを訴えてくる熱があるのだ。名盤とはそういうものだと思う。スタンリー・タレンタインはボスと言われることはあってもビッグネーム扱いされることはない。本人のインタビューを読んだことがあるが、小難しいことは嫌いなようだ。ビッグネームとされる人は、小難しいことをやっている場合が多いと思う。そんなスタンリーがバレルの相棒として演奏して、素晴らしい盤が生まれているのが、ジャズの面白いところだ。ピアノレスで、コンガ入りのリズム隊もバッチリハマっている。ウエスとは違うバレルならではのディープなブルース感覚が発揮された盤だと思う。ブルースの得意なグラント・グリーンとも違う感覚だ。CDおまけ2曲はあっても邪魔にならない感じだ。(hand)
ケニー・バレルを代表する名盤。なんといってもこの雰囲気がいかにもMidnightというタイトルにピッタリ。一曲づつはいい曲が並んでいて、それでいて全体の雰囲気もいい感じに統一されているので、最後まで飽きさせない。スタンレー・タレンタィンも大人のテナーとしてうまみを発揮して、このような雰囲気にバッチリはまっている。(しげどん)
素晴らしいアルバムだ。1 曲 1 曲に世界観があり、聞き惚れてしまう。スタンリー・タレンタインのテナーがケニーとしっかり同調して、熱いブルースを展開しており、アルバム全体に安心感を与えている。加えてレイ・バレットの乾いたコンガの音色がケニー・バレルのしっとりとしたブルースと不思議な融合をし、他では味わえない感覚の JAZZ がここにある。そのあたりがこのアルバムを手放せない魅力となっている。(ショーン)
Kenny Burrell(gr), Brother Jack McDuff(org), Harold Vick(ts), Eric Dixon(fl⑤), Joe Dukes(ds), Ray Barretto(perc)
「ブルージン・アラウンド」でジャック・マクダフと数曲共演はあるが、この盤ではタイトルに名前も出して全面的な共演盤とした。マクダフは張り切っていて「ブルージン」のときのサポート的な立場と違いかなり前面に出てきていて、バレルはハロルド・ヴィックの応援を得て、防戦している感がある。(hand)
1963.2.25,27 & 3.1
Kapp
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おすすめ度
hand ★★★
Kenny Burrell, Barry Galbraith, Bucky Pizzarelli(gr), Clark Terry(tp), Jerome Richardson(ts,fl), Milt Hinton(b), Osie Johnson(ds), Tommy Lopez, Willy Rodriguez(perc)
未CD化。アナログ盤は激レアなようだ。ボサノバとしてはいいのかもしれないが、メンバーも多く、ポップでイージーリスニング的なアレンジになっている。ちなみにアレンジはバレル自身。⑧ティン・ティン・デオも聞かれるが、後年のコンコード盤でのシンプルかつジャジーな演奏のほうが私は好みだ。(hand)
①-④:Kenny Burrell(gr), Seldon Powell(ts), Hank Jones(p,org), Milt Hinton(b), Osie Johnson(ds)
⑤-⑨:Kenny Burrell(gr), Stanley Turrentine(ts), Herbie Hancock(p), Ben Tucker(b), Bill English(ds), Ray Barretto(conga)
未CD化。世界初登場シリーズとして79年に日本で出て、なぜCD化されないのか不思議な盤の代表のような盤。ブルーノートで、バレルで、ハンコック(前半のみ)なので、出せば売れるはずだ。前半はスタンリー・タレンタインのテナーで「ミッドナイト・ブルー」と同じ顔合わせだが、デビュー間もない時期のハンコックが加わることで雰囲気は全く違う。それはそれでいい感じなのだが、未公表となったということは、アルフレッド・ライオンは気に入らなかったのだろう。スタンダードのB①ラブ・ユア・スペルがいい。B②以降のピアノがハンク・ジョーンズに変わってからのセッションも親しみやすい。バレル作のB④名曲ロイエなど、とてもいい感じだ。(hand)
メンバー的にはMidnight Blueの続編のようなイメージだが、この作品はピアノが入っていて、私はその編成のほうが好きだ。しかも前半はハービー・ハンコックで、これによりよりモダンなイメージのかっこ良さが加わった。この部分だけで言えば「Midnight Blue」よりカッコいいかも。後半のハンク・ジョーンズとセルダン・パウエルのオーソドックスなプレイは、前半に比べるとやや存在感が薄いが悪くはない。(しげどん)
小気味良いドラムのリズムと溢れ出るギターとテナーアンサンブルでハードバップを身体で堪能できるアルバム。前半はハービー・ハンコックのピアノが裏でしっかりとギターを支えていて、曲にキレを与えている。また後半のセッションはハンク・ジョーンズのオルガンとともにセルダン・パウエルの管楽器が雰囲気の演出に一役買っていてこれも良い。どの演奏もたいへんバランス良く仕上がっており、自然体でスイングできる好盤だ。(ショーン)
Kenny Burrell(gr), Jimmy Smith(org), Milt Hinton, George Duvivier(b), Bill English, Mel Lewis(ds)
スミスはブルーノートなどで大量にリーダー盤を出していて、サイド盤や双頭盤は少ない。ここでも単独リーダー盤的な迫力でバレルに迫っていて、バレルも負けじと素晴らしいソロで応じている。バトル的ではなく、いい感じの共演だ。元の7曲にCDには既収録曲の別テイク7曲が追加されて倍増している。ミュージシャンは、レーベル移籍で時代を区切ることが多いが、バレルの場合2レーベル同時進行があり、少し複雑だ。初期50年代のブルーノート&プレステッジ、60年代のヴァーブ&アーゴ(カデット)、70年代からは単一になり、CTI、ファンタジー、コンコード、80年代ミューズ、ブルーノート、コンテンポラリー、と概ねの変遷をたどる。(hand)
Kenny Burrell(gr), Will Davis(p), Martin Rivera(b), Bill English(ds), Ray Barretto(conga)
超名盤ではないが、ジャズ喫茶などでかかったら似合いそうな盤。ジャケはちょいダサいが、内容はいい。バレルはブルージーではあるが、よく言われるソウルフルとは思わないので、タイトルはテキトーなのだと思う。タイトルだけ見て、ソウルフルなギターに酔わされる一枚、という日本盤のメーカー新譜案内には書いてある。(hand)
Kenny Burrell(gr), Roger Kellaway(p), Joe Benjamin(b), Grady Tate(ds), Willie Rodriguez(conga) +Orchestra arranged & conducted by Gil Evans
ブルーノートとプレステッジの両社から出していた時代が終わり、(ジミー・スミスとの双頭盤はあるが単独では)ヴァーブ移籍第1弾。「ケニー・バレルの全貌」という仰々しいタイトルが日本で付けられ、これがバレルの理解にマイナスに作用したと私は考えている。何かの盤でバレルを知り、次に何を買うかというときに、「全貌」のタイトルがあれば、つい買ってしまうのではないか。そして聞いてみると、ギル・エバンスの参加でバレル版「スケッチ・オブ・スペイン」を聞かされ、落胆するのだ(特に②ロータス・ランドがスペインのクラシック臭が濃厚)。「スケッチ」を高く評価するような過去の評論家の人たちがバレルの傑作と位置付け、結果的に客を減らしてしまっていると思う。バレル自身は、アコースティックギターも含めて頑張って演奏しているが、ジャズギター好き、バレル好きが求めている内容とは違うと思う。オーケストラを取り去れば、少しは私好みに近づくのだが。①ダウンステアーズのロックのリズムギターのような演奏も意味がわからない。後半は聞きやすくなるが、(私は)オーケストラはいらない。(hand)
Formsという事で、いろいろなスタイル曲調を演じるという企画のアルバム。したがってオーケストラ作品からコンガ入りのクインテットによるブルースナンバー、クラシック調のソロなど、いろいろなケニー・バレルが味わえるので「全貌」というタイトルにしたのだろうと思う。いわゆる理屈先行のつまらない企画の典型で、ファンとしてはいろいろなスタイルでやって欲しいとは思わず、モダンなブルースで全編通してもらったほうが楽しめるのだが・・・。とにかく二曲目のフラメンコ調のギル・エバンス楽団の登場で、俄然聴く気がなくなる。後半はしばらくギルのアレンジに付き合う事になり、この退屈さは我慢できない。最後の曲がクインテットで普通のジャズをやっていて、ややホットする。(しげどん)
面白いアルバム。ジャズやブルースから進化した rock 及び pops、更にそれをも超越した『音』として壮大な感性の演奏だ。特 2 曲目のロータスランドの世界観は素晴らしい。オリエンタルな情景美が溢れ、音に身体が同化していく感じを味わえる。(ショーン)
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