Kenny Burrell サイド作① 1956~1959年

デトロイトからニューヨークに出たバレルは、デトロイト人脈もあり、いきなり多くのセッションに迎えられることとなりました。


BRIGHT'S SPOT/Ronnell Bright

1956.9.26

Regent → Savoy

おすすめ度

hand      ★★★☆

Ronnell Bright(p), Kenny Burrell(gr), Leonard Gaskin(b)

通好みのピアニスト、ロンネル・ブライトのリーダー盤

ピアノ、ギター、ベースのトリオなので、くつろぎのある演奏を期待すると、①ペニーズ・フロム・ヘブンは、初期ピーターソン ・トリオのような慌たゞしい感じの演奏で、期待を裏切る。しかし、2曲目からは落ち着いたくつろぎのある演奏で、いい感じになる。(hand)



AFTER HOURS/Thad Jones

1957.6.21

Prestige

おすすめ度

hand      ★★★

Thad Jones(tp), Frank Wess(ts,fl), Kenny Burrell(gr), Mal Waldron(p), Paul Chambers(b), Art Taylor(ds)

サドがリーダー的な立場のプレステッジのジャム盤

ベイシー系の中間派の2管とモダンな4人のリズム隊という組合せの盤。曲はマルなのだが、全体の雰囲気は、先輩2人の中間派的な感じに引っ張られている。(hand)



BASS ON TOP/PAUL CHAMBERS

1957.7.14

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★

しげどん ★★★☆

Paul Chambers(b), Kenny Burrell(gr), Hank Jones(p), Art Taylor(ds)

ポール・チェンバースの人気盤

ハードバップで最も活躍したベーシスト、ポール・チェンバース。68年に33歳で亡くなったので短命だが、膨大な録音を残している。ただ、自らのリーダー盤は6枚で、多いとは言えない。そのリーダー盤の中で最も人気が高いのがこの盤。管のいないピアノトリオ+1で、その+1がバレルだ。チェンバースに花を持たせつつ、作品に色合いを持たせているのがバレルだ。56年の「ウィムズ・オブ・チェンバース」(56.9)にも参加している。(hand)

ブルーノート1500番台の人気盤で、私も早くからアナログ盤を所有していたが、あまり愛聴することはなかったのだ。まずは一曲目のイエスタディズ。このアルコの鈍重さはいいとは思えず、おなじアルコでもピーターソントリオでのレイ・ブラウンの名人ぶりと比較すると、あまり感じる事はなかったのだ。

でも、今回聴きなおしてみて、ケニー・バレルのリーダー作として聴けば悪くはないなと思った。ハンク・ジョーンズも特に際立った点はないので、ベースがややうるさいバレルのリーダー作として聴けば、まずまずの作品ではないか。(しげどん)



JOHN JENKINS WITH KENNY BURRELL

1957.8.11

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★☆

しげどん ★★★★

John Jenkins(as), Kenny Burrell(gr), Sonny Clark(p), Paul Chambers(b), Dannie Richmond(ds)

地味なアルトのジョン・ジェンキンス盤に準主役で参加

私の知る限り4枚のアルバムを残しているジェンキンス。単独名義が1枚もない地味な人だ。その中では、この盤は"ウィズ"バレルなので、単独度が一番高い。他の3枚は、「アルト・マッドネス/マクリーン&ジェンキンス」、「ジェンキンス、ジョーダン&ティモンズ」、「ジャズ・アイズ/ジェンキンス&バード」で、4枚とも57年録音だ。サイド盤も6枚あるが、これらもなんと全て57年録音だった。ジェンキンスは62年に引退してしまったらしい。そして、90年に復帰し、クリフォード・ジョーダン盤に参加し、93年に62歳で亡くなっている。早生まれなので、マクリーンより1学年上になるが、スタイルとしてはマクリーンの弟分のようなタイプだ。この盤は、ピアノのソニー・クラークのサイド盤としてかなりいいと思ったが、バレルを中心に聞くと。ブローイン・セッション的な印象で、そこまでいいとは思えなかった。(hand)

BNの1500番の中では地味な存在だが、実はかなり濃い内容の一枚だった。まるでジャッキー・マクリーンのようなジョン・ジェンキンスのアルトの炸裂ぶりで、ケニー・バレルがかすみがちなほど。でももちろんバレルのソロも悪くない。その上ソニー・クラークのピアノに聴くべきところが多いのだから、なんども聴き返したくなる魅力ある作品。(しげどん)



JUST WAILIN'/HERBIE MANN

1958.2.14

New Jazz

おすすめ度

hand      ★★★☆

Herbie Mann(fl), Charlie Rouse(ts), Mal Waldron(p), Kenny Burrell(gr), George Joyner(b), Art Taylor(ds)

ハービー・マンがリーダー的なジャム盤

一応、ハービー・マンのリーダー盤として扱われているが、プレステッジ(ニュー・ジャズ)お得意のジャム・セッション盤。チャーリー・ラウズ、バレル、マルも同等のリーダー格で活躍する。ジョイナーとATもいい。たただ、盤の統一感は、ほとんど感じない。(hand)



MIDNIGHT OIL/JEROME RICHARDSON

1958.10.10

New Jazz

おすすめ度

hand      ★★★☆

Jerome Richardson(ts,fl), Jimmy Cleveland(tb①-④), Kenny Burrell(gr), Hank Jones(p), Joe Benjamin(b), Charlie Persip(ds)

マルチリード奏者のジェローム・リチャードソンのリーダー盤

マルチリード奏者のジェローム・リチャードソンのリーダー盤。リチャードソンはここではフルートとテナーを吹いている。ジミー・クリーブランドのトロンボーンが前半に参加し、バレルは全編に参加している。プレステッジ(ニュージャズ)盤ながら、多少、サボイ的な中間派臭がある。ただ、一応、ハードバップと言っていい内容だと思う。(hand)



SOUL/COLEMAN HAWKINS

1958.11.7

Prestige

おすすめ度

hand      ★★★☆

Coleman Hawkins(ts), Kenny Burrell(gr), Ray Bryant(p), Wendell Marshall(b), Osie Johnson(ds)

大御所ホークのワンホーン盤

ホーキンスにバレルといえば、62年のバレルの「ブルージー・バレル」を思い出すが、録音年も違い、雰囲気はあまり似ていない。こちらのほうが威勢のいい演奏が多い。当然、リーダーのカラーが強く出るのと、この盤ではレイ・ブライアントのピアノが目立っているという特徴がある。(hand)



MELBA LISTON AND HER 'BONES

1958.12.22 & 24

Metro Jazz

おすすめ度

hand      ★★★

Melba Liston(tb,arr),

Jimmy Cleveland, Bennie Green, Al Grey, Benny Powell, Frank Rehak(tb),Slide Hampton(tb,tuba,arr),

Ray Bryant(p), Kenny Burrell(gr①②⑦), Jamil Nasser, George Tucker(b), Frankie Dunlop, Charlie Persip(ds)

メルバ・リストンの珍しいリーダー盤

当時としては珍しい女性トロンボーン奏者メルバ・リストンの数少ないリーダー盤。リストンの他に2〜3人のトロンボーンが加わった小編成ビッグバンドの雰囲気。バレルは4トロンボーンの3曲に参加し、一応、ソロもある。(hand)



PORGY & BESS/HANK JONES

Late 1958

Capitol

おすすめ度

hand      ★★★☆

Hank Jones(p), Kenny Burrell(gr), Milt Hinton(b), Elvin Jones(ds,perc)

ハンク・ジョーンズの初期リーダー盤

後にGJTで日本でも人気の出るハンク・ジョーンズだが、初期のリーダー盤は筆圧が弱い感じがして正直あまり好みではなかった。例外的に「サムシン・エルス」のピアノだけは筆圧も強く、個性的でもあり好感であった。サボイやキャピトルの初期盤を改めて聞くと、若いのに老成したような味わいがあり、老化した聞き手の耳には優しい音楽にも思える(笑)。バレルもハンクに合わせたかのようなプレイをしていて、やはり、もう少しアタックの強い感じが私の好みだ。(hand)



DESTRY RIDES AGAIN/ROLAND HANNA

1959.4.16 & 17

Atco

おすすめ度

hand      ★★★★

Roland Hanna(p), Kenny Burrell(gr②③⑦⑧), JGeorge Duvivier(b), Roy Burnes(ds) 

実力派ハナの記念すべきデビュー盤

ハナは、実力がありながら、人気に恵まれなかったピアニストだと思う。その原因のひとつは、固定レーベルから作品を発表できなかったことだ。この盤もアトコというアトランティックの傍系レーベルで、しかもこのデビュー盤と次の「イージー・トゥ・ラブ」の2枚だけでサヨナラなのだ。その後は弱小レーベルを渡り歩いていて、メジャーはない。日本レーベルからも何枚も出している。この盤は、ハロルド・ロームという作曲家のミュージカルナンバー集で、トリオ①④⑤⑥とカルテット②③⑦⑧が半々で、バレルが入ってカルテットになっている。ハナはバッパーではあると思うが、あまりバッパー臭はせず、やや中間派的なオールラウンドな感じだと思う。バレル入りの曲は、ソロも含めて好ましい内容だ。(hand)