新宿ジャズ談義では、マクリーンの最盛期を、デビューした1951年からブルーノートのラスト作69年までの前期とし、この時期に絞ってオススメ盤を検討しました。
復活後の72年から最終録音の99年までについては、hand氏が個人研究としてコメントし、私しげどんが盤によってはコメントするスタイルとしました。マクリーンは生涯変わることなくジャズを真摯に追い求めた人のようです。
この時期の作品を ディスクガイド リーダー作4、リーダー作5の2ページにわたってコメントしています。
ジャッキー・マクリーンの主要作品 CD レビュー 目次
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作1 (Prestige時代)へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作2(Blue Note前半 Let Freedom Ringなど) へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 3(Blue Note後半 It's Time など)へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 4(Steeple Chase時代)・・・このページ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 5(最後期 ルネとの共演など)へ
→ジャッキー・マクリーンのサイド参加作 1 (51年~57年 直立猿人など)へ
→ジャッキー・マクリーンのサイド参加作 2(57年~59年 Cool Struttin' など)へ
マクリーンの後期は、1979年の復帰作「ライブ・アット・モンマルトル」から99年の「ネイチャー・ボーイ」までの約20年間で、サイドも含めて約30枚を録音している。
モンマルトルがスタンダード中心の盤なので、復帰後はスタンダードを中心にハードバップを演奏したという理解がされがちだが、実際にはさにあらず。マクリーンという人は優しい人だったのか、こういう盤を作って欲しいと言われるとそういう盤を作ってしまう人のようだ。
モンマルトルは、スティープルチェイスを設立することになるニルス・ウインターから、コペンハーゲンでこんなライブをやって欲しいと頼まれ、アメリカからライブをしに行った結果、その録音が発売されたというものだ。
マクリーンの好きなように作っていいとなった場合は、ブルーノート後期の延長のような生真面目であまり売れない路線の盤を作っている(「オードトゥスーパー」、「ゲットーララバイ」、「アンティクィティ」、「ニューヨークコーリング」、「ダイナスティ」、「ライツオブパッセージ」、「マックアタックライブ」、「リズムオブジアース」の8枚)。
それ以外は、日本人の商業企画盤、ジャズフェス盤、サブリーダー盤などが多い。そして、最後の日本のサムシンエルス盤は、この兼ね合いが割とうまくいった例で、日本人の功績だと思う。
こうしてみると、後期は学究として後進の指導に時間を割いていたためか、前期に比べて、録音に恵まれていたとは言えないが、それなりにいい録音は残したくれていたことは喜ばしい限りだ。(hand)
Jackie McLean(as),Kenny Drew (p),Bo Stief(b),Alex Riel(ds)
67年のブルーノート盤「デモンズ・ダンス」以来5年振りの復帰作は、コペンハーゲンのモンマルトルでのライブで、店のハウスリズムセクションとなっていたケニー・ドリュー・トリオがサポート。スティープルチェイスのレーベル第1号の作品となった記念すべき盤。
15分超の長尺3曲プラスクロージングで、CDには9分のコンファーメーションも追加されている。ブルーノートで長い間コンセプトアルバムを作ってきたマクリーンが、有名曲を中心にブローインセッション的にワンホーンで吹いている。悪くないライブだが、マクリーン好きとしてはもっとやけどするほど熱く燃えて欲しい感じがする。同じライブでもドーハムとの「インタ・サムシン」のほうが特濃ミルク的な濃さを感じる。(hand)
マクリーン復帰を記念した復帰第一作で、昔からファンの多い一枚で私も愛聴してきた。ブルーノート時代から新しい表現方法に真摯に挑戦してきたマクリーンだが、ここではそのような企画性はなく、リラックスして伸び伸びと自分らしいソロをワンホーンで展開している。
一曲の時間もたっぷりとってソロを充分堪能できるので、私のような保守的な耳には、進歩性を追及する作品よりも、このような作品に愛着を感じてしまう。自分的にはマクリーンのベスト作品である。(しげどん)
Jackie McLean, Gary Bartz (as, vo),Thomas Clausen(p),Bo Stief (b),Alex Riel (ds)
同じアルトのゲイリー・バーツを迎え、スティープルチェイスでのスタジオ録音。バーツはマクリーンより9歳年下で一世代若く、フリー寄りからロック寄りまであるある意味、とらえどころのない奏者だ。ピアノがドリューから現地若手のトーマス・クラウセンに変わっている。ドリューは渡欧してやや甘口になったので、クラウセンのほうがアグレッシブでブルーノートの発展形のマクリーンには合っている。バーツの共演はハーモニーもバトルもなく音楽的な意味はあまり感じないが、マクリーンを奮起させる効果はあったと思う。表記はないが左マクリーン、右バーツだと思う。タイトル曲②オードトゥスーパーは、いい演奏だなぁと思って聞いていると、サックスの2人が突如ボーカルとなり歌い出し、正直、嬉しくない。(hand)
Jackie McLean (as),Kenny Drew (p),Niels-Henning Ørsted Pedersen (b),Alex Riel (ds)
「オードトゥスーパー」の翌日、翌々日のモンマルトルでのライブ録音。スティープルチェイス第1作と同じくケニー・ドリューのトリオがサポート。ベースがボ・スティーフからニールス・ペデルセンに変わっている。ペデルセンのおかげか、雰囲気がハードボイルドになっている。③ホエアズラブは、マクリーンの甘すぎない新しいバラードを提示していると思う。(hand)
Jackie McLean (as, p, vo, bamboo flute, bells, temple block, percussion)
Michael Carvin (ds, vo, temple block, bells, bamboo flute, kalimba, percussion)
ドラム&パーカッションのマイケル・カーヴィンとのデュオという異色作。2人とも各種パーカッションやバンブーフルートも吹く。マクリーンが、モンマルトルでハードバップに戻ったというのが通説だが、あの1枚とデクスター・ゴードンとの2枚以外は、ブルーノートの延長線上にあるマクリーンなりの挑戦を感じる。アルトもよく鳴っている。とはいえ、この盤は、エスニックもあり、かなりの異色度だ。(hand)
Jackie McLean (as),Billy Skinner (tp, arr),René McLean (ss, as, ts),Billy Gault (p, arr),James Benjamin (b),Michael Carvin (ds)
息子ルネを含む若手メンバーのコズミック・ブラザーフッドというセクステット作品。やはりマクリーンは新たな挑戦を続けている。新主流派以降の80年代にウィントン・マルサリス達がやり始めた音楽とも似ているようにも思う。マクリーン自身は本領発揮していると思うが、この路線では、やはり売れなかったのか、スティープルチェイスからの盤はこれで終わりとなる。(hand)
Jackie McLean (as),Dexter Gordon (ts),Kenny Drew (p),Niels-Henning Ørsted Pedersen (b),Alex Riel (ds)
「ゲットーララバイ」の翌日、翌々日、73年7月20日、21日のモンマルトルでのライブ録音。マクリーンとデクスター・ゴードンの双頭で、ドリュー、ペデルセン、リールのトリオがサポート。
同日録音のVol.2は「ザ・ソース」。
マクリーン41歳と先輩ゴードン50歳、マクリーンはアメリカ在住で、コペンハーゲンは録音の度に訪問。ゴードンはヨーロッパに住んでいた。
デンマークのゲントフテという町に住んでいたことがあるらしいが、この時期かどうかは不明。録音上は、多分、初共演となる。
私は、昔からマクリーンは好きだが、ゴードンの望洋とした音色とフレージングが以前は苦手だった。ところが、新ジ談でのゴードン研究ですっかりハマってしまった。この盤も昔聞いた時には全くいいと思えなかった。今回はどうか?
正直、特段素晴らしいとは思えなかった。バックの3人はどちらにも対応可能だが、それぞれにはそれぞれの個性があり、その共演が何らかの化学変化をもたらせば面白いが、そうはなっていないと思う。以前よりは楽しめるようになったが、また、名盤という人も多いようだが、私にはそう思えなかった。(hand)
Jackie McLean (as),Dexter Gordon (ts),Kenny Drew (p),Niels-Henning Ørsted Pedersen (b),Alex Riel (ds)
「ザ・ミーティング」の続編。2枚合わせた「モンマルトル・サミット」という盤も出ている。↓
この2枚、悪くはないが、特段良くはない理由を考えてみた。
マクリーンもゴードンも、オリジナルとスタンダード(ジャズメンオリジナルを含む)で作品を作ることが多いのは共通だ。ただ、各オリジナルを相手がやるかどうかで、ミーティング①オールクリーン、ソース④デクスターディグズインのみがゴードンのオリジナルで、マクリーン曲はない。その他は、ドリュー2曲、パーカー、マイルス、サヒブ・シハブ各1曲とスタンダードのオンザトレイルが2回と言いだしかねてが入っている。マクリーン曲も1曲はやってほしいし、ゴードン曲はフライドバナナあたりをやってほしかった。
2人が熱く燃える曲がないのがストレスなのだと思う。オンザトレイルも2人とも愛奏曲ではないと思う。とはいえ、この盤のほうが2日目なのか、演奏が熱く好ましい。(hand)
1976年4月12日
Victor
未CD化 リンクはありません
おすすめ度
hand ★★★☆
Jackie McLean(as),Mal Waldron(p),Isao Suzuki(b), Billy Higgins(ds)
未CD化。75年は録音がなく、76年にマルとマクリーンのそれぞれの来日が重なったことから、日本で企画されスタジオ録音された再会盤(マクリーンは、ケニー・ドリュー3のゲストで来日)。マクリーンのサックスの音色が若干昔より細いように感じるが、往時をかなり再現している。ただ、なぜ日本人はこういうリバイバル企画が好きなのだろう?売れるからだろうと思うが、もっとミュージシャンの好きなようにやらせてほしい。という私もB3レフト・アローンが流れると耳が喜ぶ(笑)(hand)
Jackie McLean (as),Hank Jones (p),Ron Carter (b),Tony Williams (ds)
78年唯一の公式録音は、日本レーベル、イースト・ウィンドからGJTとの共演という商業主義の臭いがする盤。とはいえ、日本人としては上品な商業主義で許容範囲だ。75年からの3年は全て日本がらみの録音で、記録があることは喜ばしい。ロン・カーターとトニー・ウィリアムスがビヨーンビヨーン、ドシバタとうるさいが、マクリーンはこれと関係なくマイペースでいいソロを吹いている。(hand)
Jackie Mclean, Lou Marini (as),Marky Markowitz , Marvin Stamm (tp,flh),Sam Burtis , Urbie Green (tb),Phil Bodner(fl),Clifford Carter(key,synth)
Hiram Bullock(g),Mark Egan, Will Lee(b),Sammy Figueroa(perc), Steve Jordan(ds), others
久々のアメリカ録音は、なんとマクリーン唯一のフュージョン盤。フュージョン自体は嫌いではないが、マクリーンのフュージョンは、正直つらい。私が早送りしたくなった⑤のファンクはシングルカットされたらしい。スフィンクスのアニメジャケも私には悲しい。とはいえ、マクリーンと知らなければ、聞いてしまうかもしれない(笑)。これが理由とは思いたくないが後5年間録音がなくなる。(hand)
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