ジャッキー・マクリーンの主要作品 CD レビュー 目次
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作1 (Prestige時代)へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作2(Blue Note前半 Let Freedom Ringなど) へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 3(Blue Note後半 It's Time など)へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 4(Steeple Chase時代)へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 5(最後期 ルネとの共演など)へ
→ジャッキー・マクリーンのサイド参加作 1 (51年~57年 直立猿人など)へ
→ジャッキー・マクリーンのサイド参加作 2(57年~59年 Cool Struttin' など)へ
ジャッキー・マクリーン(1932-2006)は、5歳年長のマイルスから弟分として可愛がられ、マイルスの「ディグ」で19歳でデビューし、そ の後のブルーノート盤にも採用されるという恵まれたスタートを切っている。
ハードバップのアルト奏者として、1、2を争う人気があり ながら、決定盤が見当たらず、ミンガスの「直立猿人」、ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」、マルの「レフト・アローン」など、サ イドマンとしてのプレイが誉めたたえられている。
大傑作 ミンガスの直立猿人
新ジ談では、マクリーンのプレスティッジからブルーノートまでの全盛期のリーダー 盤を改めて聴き、マクリーンのリーダー盤に真にオススメ盤があるかを研究した。結果は、下記のとおりであるが、第1位を私が裏・ 直立猿人と表現したように素晴らしい「ジャッキー・マクリーン&カンパニー」のようなAランクの盤はあるものの、サイドマンとしてのSランクの超名盤には一歩及ばないというのが 正直なところだ。
ジャッキーマクリーン&カンパニー
ただ、十分、愛聴に値する盤が多数あることも事実だ。プレスティッジの若く青味がかった音色で吹きまくるマクリー ン、ブルーノートの新しいものを模索しもがいているマクリーン、どちらも好ましく感じた。特に1957年のプレスティッジのマクリーン は、マイルスのマラソンセッション的な素晴らしさを持っている。1、3位の他にも、僅差で6位となった「マクリーンズ・シーン」や、「ロ ング・ドリンク・オブ・ブルース」なども傑作だと思う。(hand)
マクリーンズ・シーン
1957年2月8日 Prestige
おすすめ度
hand ★★★★★
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★★☆
Jackie Mclean(as),Bill Hardman(tp),Ray Draper(tuba),Mal Waldron(p),Doug Watkins(b),Art Taylor(ds)
裏・直立猿人のような作品。知られざる名盤だ。この盤とストレンジ・ブルースが私にとってのマクリーン2大名盤だ。ジャケがもう少しかっこ良ければ、もっと人気盤になったはず。ジャズで最も不器用な楽器と思われるチューバとの共演。アルトで は不器用気味なマクリーンも饒舌な人に思える。(hand)
この作品はプレスティジ最後の正規盤として発売され、同一日録音のセッションで統一性があるアルバムになっている。ここ ではスタンダードはやらず全てメンバー持ち寄りのオリジナル作だが、ブルースといいスローなバラード作品といい、マク リーンのアルトの味わいを引き出す最高の材料になっていると思う。(しげどん)
冒頭の黒っぽいFlickersはマルウォルドロンの曲だが、レイドレイパーのチューバが独特の雰囲気を醸し、都会の夜のドラマ を感じる。次のHelpもまた黒い!ダグワトキンスのおどろおどろしく響く闇のベースラインが良い感じを演出している。ここで もドレイパーは猛獣の様な雄叫びで、チューバを奏でる。最後はやはりバラード。静かにマルのリリカルなピアノとマクリーン
のアルトが絡んで、都会のドラマも幕を閉じる。ショーンはこの様なちょっとクセのあるアルバムが大好きだ。(ショーン)
1962年3月19日
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★★★
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★★★
Jackie Mclean(as),Walter Davis(p),Herbie Lewis(b),Billy Higgins(ds)
壮大なドラマの始まりの様なイントロテーマのMelody for melomaeは、この後の素晴らしい演奏会を期待させる。限界まで絞 り出す様なマクリーンのアルトの高音は迫力に満ち、明らかに一皮剥けた印象だ。リズムパートの無味乾燥なところがまた この曲を盛り上げる要素として大きく寄与していて、モダンジャズでもフリージャズでもない芸術作品に仕上がっている。 Walter Davisのどことなくクラシカルなピアノが素晴らしい!(ショーン)
何よりも曲がいい。バドのオリジナル・バラードも含めて、4曲が統一感を持って入っている。新主流派的なトランペットなしで マクリーンのワンホーンが全力で勝負していること、ウォルター・デイビスが最高にメロディアスなプレイをしていることなど、 プラス要素が満載だ。唯一の難点は、1曲目が長くて重たいので、日常聞きには向かないことか?!(hand)
ワンホーンによって直情的に訴えかけてくるマクリーン。プレスティジ時代とは完全に一線を画しているが無機質な感じでは なくむしろエモーショナルな力強さがある。一曲目のメロネエは、正直言って曲自体はあまりぴんと来ずに深く愛聴してこなかったが、あらためて聴くと、ソロの力強さの迫力はすごい。(しげどん)
1957年2月15日,7月12日
Prestige
おすすめ度
hand ★★★★★
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★★
2月15日:Jackie McLean(as),Mal Waldron(p),Arthur Phipps(b),Art Taylor(ds)
7月12日:Jackie McLean(as),Webster Young(tp),Ray Draper(tu),John Meyers(p),Bill Salter(b),Larry Ritchie(ds)
ベースから始まる盤に外れなし、と思う。発掘盤ながら名盤だ。SJDでは、基本的に発掘盤は対象としないが、真に優れた 盤は例外だ。ブルーな感じと、マクリーンの熱情が封じ込められている。チューバ入りの曲も違和感なく融け込んでいる。マ ルも、無名に近いジョン・メイヤーズも最高のプレイを聞かせる。発掘盤でここまで統一された完成度はレアだ!(hand)
LP両面の劈頭を飾るカルテット曲は素晴らしく、タイトル曲のブルースはアルバムの一曲目にふさわしい。ドレイパー入りの セクステットの演奏も印象的で良い。最後のブルースもワンホーンだが、これも2月15日の録音と思いきや、こちらは7月12 日のドレーパーなどが参加した日の録音らしい。演奏はいいのに途中で突然終わる不完全なテイクなのがアルバムの完成度として残念だ。アナログ派の人はニセステ盤が多いので、OJCか国内盤を探したほうがよい。(しげどん)
タイトル曲は、ゆったりとしたブルース。Millie's Padは、全員が丁寧に演奏し、仕上がり上々。チューバ独特のゆる〜い音程 の揺らぎが効果的だ。What's New? ピアノとベースが単調でノリがいまいち。Disciples Love Affair まずまず。Not So Strange Blues アルトの高音の伸び、フレージングがgood! しかし何故かフェードアウト…。大きなマイナスだ。(ショーン)
1959年10月2日 Blue Note
おすすめ度
hand ★★★★☆
しげどん ★★★★★
ショーン ★★★★☆
Jackie Mclean(as),Walter Bishop(p),Jimmy Garrison(b),Art Taylor(ds)
マクリーンのスタンダード集の集大成で、ワンホーンでスタンダードを歌うマクリーンの最高作。ブルーノート時代ではもっと も保守的な一枚かもしれない。プレスティジ時代もスタンダードの良い演奏があったが、ばらばらに分散収録されている。そ れに対しこの作品はブルーノートらしい企画性がはっきりしていて、アルバム単位での完成度の高さを感じる。(しげどん)
曲がスタンダードになり、ドラムがアート・テイラーに戻り、久々にホッとするサウンドだ。でも、私には、プレスティッジのマクリーンのほうが、ストレートで、こねくり回した感じがなくて、いいと思う。(hand)
クセのない演奏で、その名の通り気持ち良くスイングできるアルバム。ジャッキーマクリーンの演奏はうっかりするとウトウト して、不本意ながら上下にスイングしてしまうくらいだ(笑)ショーン的にはもう少し崩れたり、スリリングな演奏が好きだが、 所謂ジャズをしっかり体感できるアルバムだろう。1ホーンカルテットとしてのマクリーンが頑張ってブローし続け、特にふわっと漂うような高音キーが特徴的だ。(ショーン)
1964年8月5日 Blue Note
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★★★
Charles Tolliver(tp),Jackie Mclean(as),Herbie Hancock(p),Cecil McBee(b),Roy Haynes(ds)
いきなり激しいナンバー。ハービーハンコックの鍵盤が空から雨霰の如く降り注ぐ様な感覚に呼応する様に、管楽器達が吠 えるCancellation。またアルバムタイトル曲のIt's Timeも素晴らしい。ハービーハンコックの自由な発想が際立ち、他のプレイ ヤーに緊張感を与え、高いレベルで完結している。(ショーン)
新しい段階に入ったマクリーンが、そのスタイルをほぼ完成させた感じがする。ハンコックのピアノは単なるリズムセクション ではなく前に出てきておりマクリーンと丁々発止のアドリブ合戦。ハンコックのグループにマクリーンが客演したかのような雰 囲気だ。(しげどん)
チャールズ・トリバー、ハービー・ハンコック、セシル・マクビーが、初参加。ハンコックがソロだけでなく、バッキングでもとても目立って、過去にいないタイプをアピールする。ハンコックの激しいプレイが満載だ。ラストのみ辛口バラードで、これもいい。(hand)
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