Horace Silver サイド作3 1956・57年 + 1994年

シルバーのサイドマンとしての活動は1957年で一旦終了します。

57年4月の「ソニー・ロリンズVol.2」以降では、例外的に最後に近い94年のディディ・ブリッジウォーターの歌伴に参加した以外は記録はありません。

いい話としては、1989年のアート・ブレイキーの70歳記念ライブ「ジ・アート・オブ・ジャズ」に、シルバーは参加こそしていませんが、‵Mr. Blakey’という曲を作詞作曲し捧げています。当日歌ったのはミシェル・ヘンドリックスで、テレンス・ブランチャード、ベニー・ゴルソン、ウォルター・デイビスJr.などが参加しています。


THE JAZZ MESSENGERS/Art Blakey

1956.4.6 & 5.4

Columbia

おすすめ度

hand      ★★★★

Donald Byrd(tp), Hank Mobley(ts), Horace Silver(p), Doug Watkins(b), Art Blakey(ds)

ブレイキーとシルバーが袂を分かつ直前の盤

この盤を聞いて、ブレイキーとシルバーが袂を分かった理由の一端が見えた気がする。ブレイキーは基本的に4ビートでスイングする人。またはアフリカンビートを濃厚に出すドラムも得意。これに対し、シルバーはあまりスイングしない曲が好きなようで、4ビートよりも8ビートに名曲が多い。ブレイキーも後年ジャズロック的な8ビートは叩くがシルバー曲②ニカズ・ドリームのようなボサノバ、サンバなどチチチチチチチチの緻密でタイトな8ビートはあまり得意ではないと思う。スタンダード③イッツ・ユー・オア・ノー・ワンではブレイキーがイキイキしているが、シルバーは個性が弱まりバド的なプレイになっている。色々な別れた理由はあると思うが、この辺りも関係しているように思う。バードとモブレーのフロントはなかなかいい。(hand)



COOL VOICE/Rita Reys

1956.5.3:7,8,10,12

Philips

おすすめ度

hand      ★★★☆

Rita Reys(vo),

7,8,10,12:Donald Byrd(tp), Hank Mobley(ts), Horace Silver(p), Doug Watkin(b), Art Blakey (ds:7–12)

オランダの歌姫リタ・ライス盤。全12曲中6曲にJMの一員として参加

オランダのリタ・ライスの歌伴もの。全12曲中6曲にJMが参加。ライスはこの録音のために渡米したようだ。JMはシルバー在籍の最後の時期で、バード、モブレーもいる。シルバーが4曲で2曲がケニー・ドリューになっている。ベースもダグ・ワトキンス4曲、ウィルバー・ウェア2曲で、理由はわからない。この共演、悪くはないが、なぜわざわざ渡米してJM?という程度だと思う。ヘレン・メリルとクリフォード・ブラウンのような濃厚な共演にはなっていない。(hand)



WHIMS OF CHAMBERS/Paul Chambers

1956.9.21

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★☆

Paul Chambers(b), Donald Byrd(tp), John Coltrane(ts), Kenny Burrell(gr), Horace Silver(p), Philly Joe Jones(ds)

ポール・チェンバース盤に参加。地味な主役をシルバーが盛り立てる。

マイルスバンドでの活躍で知られるチェンバース。他の名盤にもサイドとして多数参加しているが、自らのリーダー盤は少なく、私の記憶では、「チェンバース・ミュージック」(1956.3)、本盤(56.9)、「クインテット」(57.5)、「ベース・オン・トップ」(57.7)、「ゴー」(59.2)、「1st ベースマン」(60.5)の6枚。この中でベースの主役感が強いのがタイトルどおりオン・トップ。他は通常のハードバップ盤。ミュージックと本盤がコルトレーンをフューチャーし、ゴーはキャノンボールをフィーチャーしたスタジオライブ。強烈なリーダーシップを発揮する人ではないので、ブローインセッション化しやすいが、本盤は比較的まとまりもよく、作品として楽しめる。ちょい兄貴分のシルバーがその辺に貢献していると思う。(hand)



J.R. MONTEROSE

1956.10.21

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★

J. R. Monterose(ts), Ira Sullivan(tp), Horace Silver(p), Wilbur Ware(b), Philly Joe Jones(ds)

シルバーの名サポートが光るJ.R.モンテローズ盤

ミンガスの「直立猿人」でのキツツキ奏法テナーでの活躍が知られるモンテローズ。リーダー盤では超マイナーレーベル・ジャロの「ザ・メッセージ」(ザナドゥから「ストレート・アヘッド」として再発)収録のバラード、コートにスミレが有名だ。自らの名前のみをタイトルにしたこの盤は、ブルーノート盤だけにそれなりの人気はあるが、目立つところはあまりない。トランペットのアイラ・サリバンがプレイは悪くないが人気があまりないのも損をしているかもしれない。シルバーもいい感じでサポートしてまとまりのあるハードバップ盤になっている。②サードがカッコいいと思う。(hand)



INDEED/Lee Morgan インディード!/リー・モーガン

リー・モーガンの初リーダー作に参加。冒頭のRoccusはホレス・シルバーの曲



Lee Morgan Vol.2 リー・モーガン第二集

第二集にも参加するシルバー。名曲「Whisper Not」の決定的な名演で有名な作品



PLENTY, PLENTY SOUL/Milt Jackson プレンティ・プレンテイ・ソウル

ミルトの力強く、ノリのよい至高のアドリブが聴ける名盤



ミルト・ジャクソン:そのほかのホレス・シルバー参加盤

Milt Jackson Quartet

ミルトの名人芸が堪能できる名盤。ホレス・シルバーの参加でオーソドックスなジャズに!

Modern Jazz Quartet, Milt Jackson Quintet/MJQ

前半はMJQ、後半はミルトのクインテット。ホレス・シルバーのピアノもファンキーな泥臭さがなくドライで硬質な感じ。



K.B. BLUES/Kenny Burrell → ケニー・バレルのページ参照(作成中)



BLOWIN' IN FROM CHICAGO/Cliff(Clifford) Jordan & John Gilmore

1957.3.3

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★☆

Cliff Jordan, John Gilmore(ts), Horace Silver(p), Curly Russell(b), Art Blakey (ds)

クリフォード・ジョーダンとジョン・ギルモアの2テナーのライブに参加

クリフォード・ジョーダンとジョン・ギルモアの2テナーのライブ。ツインテナーという編成はあまり好きではないかもしれない。2人を聞き分けなければと思うと難しくて疲れるのだ。なので、あまり気にせずに聞くと良質なハードバップに聞こえてくる。内容的にはアレンジも少なめでビバップの感じがまだ残っている。シルバーも頑張っているが、ブレイキーのほうが目立っている。(hand)



VOL.2/Sonny Rollins ソニー・ロリンズ第二集

ソニー・ロリンズの名盤に参加。セロニアス・モンクのミステリオーソでは、シルバーとモンクが共演?!



LOVE AND PEACE -A Tribute To Horace Silver- /Dee Dee Bridgewater

1994.12

Verve

おすすめ度

hand      ★★★★☆

Dee Dee Bridgewater(vo), Stéphane Belmondo(tp), Lionel Belmondo(ts), Thierry Eliez(p-except②⑨), Horace Silver(p:②⑨), Jimmy Smith(org:⑧⑫), Hein van de Geyn(b), André Ceccarelli(ds)

シルバーのヒット曲を実力派のディディ・ブリッジウォーターが完璧に歌った作品

シルバーの後期は、多分この録音以外でサイド参加していない。しかも、パリまで出かけて行って2曲だけの参加だ。ディディは、1970年、20歳の時、トランペットのセシル・ブリッジウォーターと結婚し、この姓を名乗ることとなった。その頃、セシルはシルバー・バンドに所属しており、「トータル・レスポンス」等に参加している。録音はないが、ディディもその頃、シルバーで歌っていたようなのだ。その後、ミュージカルに活動の場を移していたが、90年代に入り、このシルバー・トリビュート盤で、ジャズに復帰し、現在も活躍している。なので、シルバーにとっては娘の録音に花を添えた感じなのかもしれない。全曲シルバー曲で、全曲に歌詞があるのも驚きだが、作詞もシルバーだ。シルバーは②ニカズ・ドリームと⑨ソング・フォー・マイ・ファーザーに参加し、彼らしいソロを弾いている。私個人としては、この②ニカと、シルバーはいないが⑤セント・ヴィタス・ダンスが気に入っている。(hand)