ホーズには米兵として日本に駐留していた時期があります。空いた時間に日本のミュージシャンたちと多くのセッションをし、ウマさんとして親しまれ、影響も多く与えたようです。帰国後にファーストリーダー盤「VOL.1」を吹き込んだほか、多くのジャズメンのサイドマンとして西海岸で録音しています。そして、一時期、東海岸で旧知のミンガスとの録音も遺しています。
・新宿ジャズ談義の会 :ハンプトン・ホーズ CDレビュー 目次
・Hampton Hawes CDサイド作②・・・このページ
Disc 1⑥:山屋清(as), Hampton Hawes(p), 滝本達郎(b), 清水閏(ds)
日本のモダンジャズの夜明けを捉えたセッションとして知られる盤。ピアノは、守安祥太郎と秋吉敏子、そして、駐日米軍人として日本にいたホーズが1曲テンダリーだけ参加している。神がかり的な早弾きではなく、落ち着いた演奏で好感だ。バラードからスタートしてスインギーに終わる。(hand)
Lennie Niehaus(as), Stu Williamson(tp,v-tb), Hampton Hawes(p), Monty Budwig(b), Shelly Manne(ds)
軽めの管楽器アンサンブルの西海岸的なテーマアレンジから始まる曲がほとんど。ホーズはソロスペースが多く与えられ活躍する。ただ、リーダーのニーハウスはあまり自己主張しない。ペッパー的ないい音色なので、もっと自己主張していれば人気アルトの1人になれたかもしれない。(hand)
Bud Shank(as,ts,bs,fl), Bill Perkins(as,ts,fl), Hampton Hawes(p), Red Mitchell(b), Mel Lewis(ds)
「昼と夜のシャンク」と言われる盤後半の夜の方で、シャンクとビル・パーキンスが木管数種類をツインで吹いているバックにホーズが参加している。私好みのアーチストばかりなのだが、この盤はウエスト的な慌たゞしさがモロに出ていて全く好みではない内容になってしまっている。なぜこれが夜なのか全く理解できない。元の10インチ2枚を出すときに、昼の白いジャケを同じデザインで黒くしただけで、12インチにするときに、米タイトル「バド・シャンク・クインテッツ」として出され裏が黒いので、日本で勝手に「昼と夜」と呼んだだけなのだろう。(hand)
④⑦:Hampton Hawes(p), Red Mitchell(b), Shelly Manne(ds)
期待しないで聞いたところ、予想を裏切る良いライブだった。アレンジ過多ではなく東海岸的な熱さが漂っている。ホーズはライトハウス・オールスターズの演奏には入らず、トリオでの2曲④ウォーキン、⑦ザ・チャンプ、を演奏、これが素晴らしい。バーニー・ケッセルの②ラウンド・ミッドナイト、今まで、ケッセルをいいと思ったことがなかったが、これは名演だと思う。(hand)
Barney Kessel(gr), Bob Cooper(oboe,ts), Hampton Hawes(p), Red Mitchell(b), Shelly Manne, Chuck Thompson(ds)
⑤⑥⑩⑪の4曲のみホーズが参加で、他の8曲のピアノはクロード・ウィリアムソン。ケッセルのギターをメインにするのは当然なのだが、サイド、特にピアノが目立たない盤で、⑤はホーズの音は聞こえないと思う。他の3曲には一応ソロがある。(hand)
1955.9.27
Bethlehem
おすすめ度
hand ★★★★
Red Mitchell(b), Conte Candoli(tp), Joe Maini(as,ts), Hampton Hawes(p), Chuck Thompson(ds)
初期のトリオの重要メンバーだったベースのミッチェルのリーダー盤。②ホエア・オア・ホエンのホーズのトリオ演奏がとても良い。後期の落ち着きある演奏につながるような内容だと思う。ベースのリーダー盤だが、ベースが強調されるのは⑦アイル・ネバー・ビー・ザ・セイム、1曲くらいだ。(hand)
Lennie Niehaus(as), Stu Williamson(tp,v-tb), Hampton Hawes(p), Red Mitchell(b), Shelly Manne(ds)
54年のセッション8曲とホーズが入った56年のセッション4曲②⑤⑧⑩からなる盤。第一集だが、前年録音の第四集のホーズ入りセッションと比較すると、こちらがアルトとスチュ・ウィリアムソンのヴァルブトロンボーンの2管の小編成で、アレンジ過多にならず聞きやすい。一部、スチュが本来のトランペットに戻るが、ちょっとうるさい感じになる。(hand)
Bill Perkins(ts,b-cl,fl), Richie Kamuca(ts), Hampton Hawes(p), Red Mitchell(b), Mel Lewis(ds)
リーダーのビル・パーキンスも相方のリッチー・カミューカも、西海岸ではあるが、私好みのアーチストだ。しかし、テーマをウエスト的に合奏するのは好みではない。各人のソロはいい。ホーズは曲によりやや慌たゞしい感じがする。(hand)
Curtis Fuller(tb), David Amram, Julius Watkins(French horn) Sahib Shihab(as), Hampton Hawes(p), Addison Farmer(b), Jerry Segal(ds)
パーソネルや曲を見て実験的な盤かと思うと、意外にもカッコいいハードバップ盤だ。バリサクで有名なサヒブ・シハブもパーカー派のアルトとして切れ味鋭いソロを聞かせる。ホーズは全曲参加ではなく、④リリステ、はバイブで知られるテディ・チャールズがピアノを弾いている。チャールズの曲が全6曲中3曲あり、プロデュースもしている。ホーズは、東のメンバーとの共演のせいか、いつもより落ち着いた演奏をしている。多分、初の東海岸RVGスタジオでの録音。2人のフレンチホルンがいい感じで入っていて、私の愛聴盤ジャッキー・マクリーンの「ストレンジ・ブルース」を思い出させる。(hand)
Charles Mingus(b), Hampton Hawes(p), Danny Richmond(ds)
カーティス・フラーとの盤に続く東海岸録音。しばらく滞在していたようだ。ミンガスとは、同じ西海岸出身ではあるが初録音。スタジオでのトリオ録音の少ないミンガスがホーズを相手に選んだということは、ホーズを評価していたのだろう(薬禍で金に困っていたのを助けたという説もある。)。ミンガスと組んだ影響か、ホーズの西海岸的な慌たゞしさは見受けらなくなっている。通常のピアノトリオ盤よりも、ベースのスペースが多めだが、ミンガスのベースのピチカートによる演奏は、楽しんで聞くことができる。③言い出しかねて、はトイレに立ったホーズに代わりルームメイトだったソニー・クラークが弾いているという説があるようだが、聞いた感じでは確かにそんな気もした。ホーズ作④ハンプズ・ニュー・ブルース、ミンガス作⑥ディジー・ムーズが通常のトリオ盤的な演奏だ。ドラムのダニー・リッチモンドもブラシを中心に全体にサトルな演奏を聞かせており、この後ミンガスバンドで活躍することとなる。
※2022年、未発録音を含む2枚組デラックス・エディションが発売され、言い出しかねての別テイクも入っているが、クラーク問題は解明されていないようだ。(hand)
Barney Kessel(gr), Victor Feldman(vib), Hampton Hawes(p), Leroy Vinnegar(b), Shelly Manne(ds)
西に戻っての録音。ホーズは5曲中前半3曲に参加。前回参加した「プレイズ・スタンダーズ」は短い曲ばかりでホーズのソロがあまりなかったが、タイトル曲①は11分超の長尺なので、バイブのヴィクター・フェルドマンもいるが、ホーズのソロも十分に聞ける。②③は4分台と短めだが一応ソロはある。いずれも比較的落ち着いたいいソロだ。ただ、ケッセルの音色が金属的で線が細く感じるのは好みではない。後半のピアノはジミー・ロウルズ。ベン・ウェブスターとフランク・ロソリーノが入った毛色の違うセッションだ(57.8.6)。 (hand)
Jimmy Witherspoon(vo), Gerald Wilson(tp), Jimmy Allen, Teddy Edwards(ts), Hampton Hawes(p), Herman Mitchell(gr), Jimmy Hamilton(b), Jimmy Miller(ds)
ジャズ歌手というよりもブルース歌手のジミー・ウィザースプーン盤に全12曲中7曲に参加。ホーズはジャズブルースだけでなくブルースそのものも得意であることがわかる録音だ。ジェラルド・ウィルソンやテディ・エドワーズも参加しており、ウィザースプーンの盤としてはジャズ寄りな内容なのだと想像する。(hand)
Sonny Rollins(ts), Hampton Hawes(p), Barney Kessel(gr), Leroy Vinnegar(b), Shelly Manne(ds), Victor Feldman(vib:④⑩)
改めて聞くと、同じ西海岸録音の前年作「ウェイ・アウト・ウエスト」の続編的な色合いを濃く感じた。ドラムのシェリー・マンが共通ということもあるが、何と言っても選曲とレーベルがコンテンポラリーといことも含めて西の空気感ではないかと思う。マンとリロイ・ヴィネガーに比べて、ケッセルと特にホーズの存在感は弱めな気がする。この感じが将来のピアノレスの「橋」につながっているように思えてきた。コンテンポラリーだけでなく、パシフィック・ジャズも含めて西のレーベルは、黒人的なダークでブルーな感じがあまり好きではなかったのだろう。ゆえに、特に東の黒人リーダーの盤は、ブルーノートやプレステッジなどの東で録音した盤に比べると、本質を捉えきれずなんだか深みが足りない作品に感じてしまうのだと思う。(hand)
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