ドルフィー最晩年のサイド盤は、ミンガスの3週間に及ぶヨーロッパツアーがその中心となります。パリでトランペットのジョニー・コールズが倒れ、そのまま帰国してしまうなど、ハードなツアーであったと思われます。そのままヨーロッパに残ったドルフィーも2か月後に亡くなってしまいます。(しげどん)
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Gil Evans(composer,arr,cond,p),
④⑤:Johnny Coles, Louis Mucci, Ernie Royal(tp),
Jimmy Cleveland, Tony Studd(tb),
Gil Cohen, Don Corado, Julius Watkins, Jim Buffington, Bob Northern(French horn),
Al Block, Eric Dolphy, Steve Lacy, Bob Tricarico, Jerome Richardson(reeds, woodwinds),
Margret Ross(harp), Barry Galbraith(gr), Paul Chambers, Richard Davis, Ben Tucker, Milt Hinton(b), Elvin Jones, Osie Johnson(ds)
ギル・エバンス・オーケストラの大編成の1人として2曲④フルート・ソング、⑤エル・ドレアドール、に参加。ドルフィーはアンサンブル要員で、ソロはない。(hand)
Alto Saxophone, Flute, Bass Clarinet – Eric Dolphy (曲: 1 to 3), Jerome Richardson (曲: 4 to 10)
Arranged By, Directed By, Liner Notes – Mike Zwerin
Art Direction – Neal Pozner
Bass – Richard Davis (2)
Cornet – Thad Jones (曲: 4 to 10)
Cover [Illustration] – John Jinks
Drums – Connie Kay
Executive-Producer – Steve Backer
Guitar – Jimmy Raney (曲: 4 to 10)
Piano – John Lewis (2) (曲: 1 to 3)
Producer [Original], Liner Notes – George Avakian
Recorded By – Phil Ramone, Tom Dowd
Reissue Producer – Ed Michel
Transferred By, Remix – Ray Hall
Trumpet – Nick Travis (曲: 1 to 3)
Trumpet [Bass], Arranged By, Directed By – Mike Zwerin
ドルフィーとジョン・ルイスの共演の第5作で最終作。オーケストラU.S.A. のピックアップメンバー6人によるクルト・ワイル集。録音が64年1月10日と65年6月1日で、この間の64年6月29日にドルフィーは亡くなっているので前半3曲にのみ参加しており、タイトル曲④以降には参加していない。①アラバマ・ソング、ではバスクラ、③アズ・ユー・メイク・ユア・ベッド、ではアルトのソロが聞かれるが、全体に活躍するのがこの録音のリーダー格で参加しているあまり上手くないベース・トランペットのマイク・ズワーリンなので、あまりいいとは思えなかった。タイトル曲④ではドルフィーに代わってジェローム・リチャードソンが意外に頑張っている。(hand)
Charles Mingus(b), Johnny Coles(tp), Eric Dolphy(as,b-cl.fl), Clifford Jordan(ts), Jaki Byard(p), Dannie Richmond(ds)
2007年にブルーノートから発掘された米コーネル大でのミンガスのライブCD2枚組。ミンガスの奥さんスーが持っていたテープらしい。他のライブに比べて、録音バランスのせいかフロントよりもリズム隊、特にジャッキー・バイアードのピアノとミンガスのベースが目立っているように感じた。タイトルには「ウィズ・ドルフィー」となっているが、3管の1メンバーとして参加しているだけなので、単に売れ行き狙いのタイトルだ。(hand)
Andrew Hill(p), Kenny Dorham(tp), Eric Dolphy(as,b-cl.fl), Joe Henderson(ts,fl), Richard Davis(b), Tony Williams(ds)
アンドリュー・ヒルも私の中では、一筋縄ではいかない、捉えどころのないとまではいかないが捉えにくいピアニストだ。オーソドックスな初期からハンコックをよりフリーにしたような演奏まで、そして時にはジャズロック盤やコーラス入りの盤も出している。この盤は、ハンコックをフリー寄りにしたような新主流派的な盤だ。と言っても直前の同じブルーノートのドルフィー盤「アウト・トゥ・ランチ」に比べれはかなりオーソドックスで聞きやすい。3管にケニー・ドーハムが入っているのが理由かもしれない。ドルフィー自身は、いつもと変わらぬプレイを聞かせている。(hand)
Charles Mingus(b), Johnny Coles(tp), Eric Dolphy(as,b-cl.fl), Clifford Jordan(ts), Jaki Byard(p), Dannie Richmond(ds)
1964年にミンガス自身のジャズ・ワークショップ盤でアナログが出て、ファンタジーからCD化されている盤。もうひとつの62年の「タウン・ホール・コンサート」は「コンプリート」がタイトルに付きCD化されたので多少区別しやすくなった。この盤は3管編成で、ジョニー・コールズ、ドルフィー、クリフォード・ジョーダンが入っている。ピアノはジャッキー・バイアード、ドラムはダニー・リッチモンド。このミンガスのメンバーがドルフィーの最後の欧州ツアーのメンバーとなる。(hand)
Charles Mingus(b), Johnny Coles(tp), Eric Dolphy(as,b-cl.fl), Clifford Jordan(ts), Jaki Byard(p), Dannie Richmond(ds)
CDは日本のDIWから出ていたが、現在はジャズ・コレクターズというレーベルから出ている4月10日のオランダ・アムステルダム、コンセルトゲボーでのライブ。ドルフィーだけでなく、ジョーダンの活躍が素晴らしいと感じた。(hand)
Charles Mingus(b), Johnny Coles(tp), Eric Dolphy(as,b-cl.fl), Clifford Jordan(ts), Jaki Byard(p), Dannie Richmond(ds)
ノルウェー・オスロ録音のミンガスの4曲。メジャーのポリドールからではあるがかなり海賊的な音質と内容の盤。③オウ!、④Aトレイン、はフェイドアウトだ。ただ、このツアーでのAトレインは珍しい。ドルフィーはバスクラを吹いている。DVD「ミンガス・ジャズ・ワークショップ・フィーチャリング・エリック・ドルフィー」はこの日の4曲を収録。(hand)
64.4.13 & 14
Bandstand
おすすめ度
hand ★★★☆
Charles Mingus(b), Johnny Coles(tp), Eric Dolphy(as,b-cl.fl), Clifford Jordan(ts), Jaki Byard(p), Dannie Richmond(ds)
ドルフィー最晩年のミンガス・バンドでのヨーロッパ・ツアーの1枚(海賊盤)。64年4月13日スウェーデン・ストックホルム録音①②③と14日デンマーク・コペンハーゲン録音④を収録。前日の録音よりも音は少々悪いが内容はいい。「パーカリアーナ」同様に徳間ジャパンがバンドスタンド盤をジャケ変更したもの。(hand)
Charles Mingus(b), Johnny Coles(tp), Eric Dolphy(as,b-cl.fl), Clifford Jordan(ts), Jaki Byard(p), Dannie Richmond(ds)
ドルフィー最晩年64年4月13日ストックホルム録音①と72年②③のミンガス・バンドでのヨーロッパ・ツアーを収録した1枚(海賊盤)。長尺タイトル曲①は「メディテーションズ・オン・インテグレーション」の同日録音。日本では徳間ジャパンがバンドスタンドの海賊盤CDに日本独自の絵ジャケを付けて売り出し、それなりに売れたと思う。実際にはマニア向きだが、初心者が買ってしまうような作りで、それはそれで問題だと思う。ただ、海賊盤ながら放送用なのか音もそれほど悪くなく楽しめる内容ではある。ドルフィーに比べるとあまりに普通のアルトだがチャールズ・マクファーソンの③メドレーのセンチメンタル・ムードがいい。(hand)
Charles Mingus(b), Johnny Coles(tp), Eric Dolphy(as,b-cl.fl), Clifford Jordan(ts), Jaki Byard(p), Dannie Richmond(ds)
64年独ブレーメンの音源は以前からCD化されていたが、同じブレーメンの75年の録音と組み合わせて発売された4枚組CDの64年の2枚にドルフィーが入っている。64年春のミンガスの欧州ツアーは、4月17日のライブ中にジョニー・コールズが倒れ、メンバーから抜けたため、それ以前はセクステット、以後はクインテットで公演している。Disc1&2は64年4月16日なので倒れる前日のコールズ入りだ。ラジオ局のスタジオでの放送用録音のため音がいい。Disc1①ホープ・ソー・エリック、となっているがロング・ソー・エリックだ。翌日倒れるジョニー・コールズは体調が良くないのか既に勢いが弱まってきているように感じる。Disc3&4はドルフィーが亡くなってから10年以上経った75年7月9日の同じブレーメンでの放送用ライブ録音。ジョージ・アダムス=ドン・プーレンを含む強力なメンバーによる熱演だ。(hand)
アナログ盤では3枚組「グレート・パリ・コンサート」の1曲目ソー・ロング・エリックがこの日の録音だったが、CD化時に2日後の録音に差し替えられ、この日の録音は「リベンジ」(レーベル)としてミンガス夫人によりCD化されていた。現在は2枚組CD「ザ・サレ・ワグラム・コンサート」(ジャズ・ストリート)となりオマケにニューポートのチコ・ハミルトンも収録されている。「メディテーションズ」(エソルダン)の全4曲も18日サレ・ワグラムと表記されているが聞き比べたところこの日の録音と同じであった。この日は、1曲目①ソー・ロング・エリックを演奏中にジョニー・コールズが倒れ、以降コールズ抜きで演奏が続けられたことで知られている。18日間17回公演という強行軍では誰かが倒れても不思議ではない。コールズは急性胃潰瘍穿孔でいわゆる胃に穴が空く病状でそのまま帰国してしまう。この日以降、コールズが倒れても、そのままライブが継続できたのは、ドルフィーとクリフォード・ジョーダンがトランペット分を補う演奏をしたのだろう。ドルフィーもさることながら、この時期のミンガスはジョーダンの活躍が目立つように思う。裏を返せば、ドルフィー好きにはその辺が不満の理由かもしれない。ドルフィーよりもジョーダンが目立つ場面が多々あるということだ。こちらが元祖?グレート・パリ・コンサートである。(hand)
Charles Mingus(b), Eric Dolphy(as,b-cl.fl), Clifford Jordan(ts), Jaki Byard(p), Dannie Richmond(ds)
アナログ3枚組の冒頭(というより、LP片面に収まらずA面とB面の途中まで占める)So Long Ericのドルフィのソロは、彼の生涯のベストと思うが、CDではこのテイクは収録されていない。(しげどん)
Charles Mingus(b), Eric Dolphy(as,b-cl.fl), Clifford Jordan(ts), Jaki Byard(p), Dannie Richmond(ds)
ドルフィー最晩年のミンガス・バンドでのヨーロッパ・ツアーの最後に正規録音された独ヴッパータールでの記録の第1・2集(4月28日の録音の海賊盤CD「シュトットガルト・メディテーションズ」がラスト)。エンヤの正規録音なので音がいい。(hand)
①②:1964.5.28
Flat & Sharp
おすすめ度
hand ★★★☆
①②:Daniel Humair(ds), Eric Dolphy(as,b-cl), Kenny Drew(p), Guy Pedersen(b)
ヨーロッパ最強のドラマーとも言えるダニエル・ユメールの20年以上の活動のベスト・パフォーマンス集。中でもドルフィーとの2曲は録音年が古いこともあるが最右翼の素晴らしさゆえに冒頭に置かれたのだと思いたい。①レス、②セレナ、ともに聞く価値がある。他曲ももちろん素晴らしい。アナログ時は2枚組16曲だったがCD化で12曲になっている。(hand)
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