西海岸ロスで生まれたドルフィーは、西海岸で活動を開始します。最初はドラムのロイ・ポーターと、その後は、よく知られるチコ・ハミルトン時代となります。チコのバンドでニューポートに出演し、映画「真夏の夜のジャズ」の一場面となったことはよく知られています。この時期のドルフィーは、基本的に、ジョニー・ホッジスやパーカーの影響を受けた美しいアルトを中心に吹いています。(しげどん)
・新宿ジャズ談義の会 :エリック・ドルフィー CDレビュー 目次
John Anderson, Buddy Childers, Hobart Dotson, Eddie Preston(tp),
Jimmy Knepper, Marty Smith, Britt Woodman(tb),
Eric Dolphy(as,fl,cl), Jewel Grant, Art Pepper(as,cl),
Herb Caro(ts,cl), William Green(ts,cl,fl), Gene Porter(bs),
Russ Freeman(p), Red Callender, Charles Mingus(b),
Roy Porter(ds), Johnny Berger(perc) and others
1940年代、ミンガスの西海岸でデビュー当時にサイドマンとしてビッグバンドで録音した音源を中心に編集した盤。この中に2曲ドルフィーの参加曲がある。ケントン楽団のサイドマンが録音したもののようで、何と若きアート・ペッパーが共演している。㉒ザ・ストーリー・オブ・ラブ、では短いながらドルフィーのソロ、㉓インスピレーション、ではさらに短いペッパーのソロがエンディングに聞かれるようなのだが私には聞き取れなかった。(hand)
Side B:19491.19 & 2.23
Savoy
おすすめ度
hand ★★★
Side B:Art Farmer, Eddie Preston, James Metlock, Robert Ross(tp),
Danny Horton, Jimmy Knepper, William Wiggington(tb),
Eric Dolphy, Leroy Robinson(as), Clifford Solomon, Joe Howard(ts),
Clyde Dunn(bs), Bennie White(gr), Joe Harrison(p),
Addison Farmer or Roger Alderson(b),
Roy Porter(ds), Alvy Kidd(conga), Paul Sparks(vo)
サボイのオムニバス盤2枚組LP。ドルフィーが入っているのはB面全体を占めるドラムのロイ・ポーターの17ビバッパーズの8曲。17人のメンバーにはドルフィーの他にもう1人アルト、リロイ“スイートピー”ロビンソンという人が入っていて聞き分けはかなり難しい。アルトのチェイスがある曲シッピン・ウィズ・シスコでは、“スイートピー”だけにスイートでジョニー・ホッジス的な音色がロビンソンで、乾いた音色のほうがドルフィーと私は想像した。他にもアート・ファーマーやジミー・ネッパーなど後年有名になるメンバーも入っている。リーダーのポーターのドラムは録音のせいかドシバタした感じがする。(hand)
Clifford Brown(tp:1,2,6, p:3,4,5), Eric Dolphy(as:1,2,3,5),
Harold Land(ts:1,2,3,4,5), Richie Powell(p:1,2), George Morrow(b:1,2), Max Roach(ds:1,2) & Unknown
この盤が2005年にRLRから出た時には、まさか何かの間違いだろうと思った。ドルフィーは確かにブッカー・リトルをはじめ、色々なトランペッターと録音を残している。しかし、早逝のブラウニーと活動時期が重なることはないだろうと思っていたのだ。なので、新ジ談第1回のブラウニーの回にはこの盤を取り上げていない(今後、追加予定あり。)。しかし、この録音は音は悪いが紛れもなく2人の共演だ。2人は仲が良かったらしく、LAのドルフィー宅での私家録音しているのだ。メインとなる冒頭2曲①②は、ローチ=ブラウンにドルフィーが加わった内容。54年はローチ=ブラウンのデビュー年で、2カ月前に初録音をしたばかりの時期。ハロルド・ランドとリッチー・パウエルはこの盤が初盤となる。バッパー期のドルフィーは素晴らしいプレイをしてはいるが、ローチ=ブラウンに化学変化を起こさせるまでは至らず、単なる優れたゲストにしか聞こえない。作品というよりもドキュメンタリー的な内容だと思う。(hand)
Eric Dolphy(fl,cl,as), Nathan Gershman(cello), John Pisano(gr), Hal Gaylor(b), Chico Hamilton(ds)
ドルフィーは58〜59の2年間、地元西海岸のチコ・ハミルトン5に参加した。この盤は、チコ5の東海岸ニューポートフェスの記録で、映画「真夏の夜のジャズ」に収録された日の録音。従前は「マリガン・イン・ザ・メイン」(Phontastic)で2曲がCD化されていたが、この盤で5曲が入手可能となった。ドラムというよりもパーカッションのチコをリーダーに、ベースのほかにチェロが入り、ジョン・ピサノのギター、ドルフィーのフルートとクラ(バスクラではない。)なので、かなり室内楽的な演奏になっている。ドルフィーの演奏はもちろん素晴らしいが、東に移る前の正統的な楽器奏法の時代だ。さらに現在は、後出のミンガス盤2枚組「サレ・ワグラム・コンサート」(Jazz Collectors)ではさらにアルトを吹いた1曲が追加され6曲が入っている。この曲を含めた3曲は7月4日録音のようだ。(hand)
Eric Dolphy(as,fl,cl), Nate Gershman(cello), John Pisano(gr), Hal Gaylor(b), Chico Hamilton(ds)
「ニューポート」との違いは、ドルフィーのアルトも聞かれること。ただし、室内楽的な正統的な吹奏法に変わりない。エリントン的な黒いスイング感はほとんど感じない。ラスト⑨スイングしなけりゃ、のドルフィーのアルトソロに多少後年への繋がりを感じる。(hand)
Eric Dolphy(as,fl,b-cl), Nate Gershman(cello), Dennis Budimir(gr), Wyatt Ruther(b), Chico Hamilton(ds) unidentified strings
室内楽的なチコ5にストリングスまで追加され、よりクラシカルとなり、私には耐え難い内容となった、ただドルフィーのソロ自体は艶やかで美しい。クラがバスクラに変わったが、まだ個性的ではない。この日のアウトテイク、パリの空の下、はワーナーのオムニバス盤「Hi-Fi ・ジャズ・フェスティヴァル」(未CD化)に収録されている。新宿ナルシスで聞かせてもらったが、やはりドルフィーらしさの感じない美しいアルト演奏だった。フレッシュサウンド盤の3枚組「コンプリート・スタジオ・レコーディングス/チコ・ハミルトン&エリック・ドルフィー」ではこの曲も含めてCD化されている。(hand)
Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Nate Gershman(cello), Dennis Budimir(gr), Wyatt Ruther(b), Chico Hamilton(ds)
あのドルフィーがチコのバンドで2年間も室内楽的なジャズをやっていたのは、後から思うと意外だが、当時のドルフィーには必然だったのかもしれない。ただ、ニューポートに出演して映画化もされたのは良き偶然だし、東海岸に移動後の爆発的、情熱的な演奏の原動力を蓄えていた時期と見ることもできる。この盤も従前に引き続き室内楽的ではあるが、ドルフィーのソロは多少、熱を帯び始めている。(hand)
1959.2.25
Warner Bros.
おすすめ度
hand ★★★
Paul Horn(as:4-7), Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Buddy Collette(ts:4-7),
Bill Green(bs:4-7), Nate Gershman(cello), Dennis Budimir(gr),
Wyatt Ruther(b), Chico Hamilton(ds)
3つの顔とは、従来からのクインテット、ビッグバンドで歌うチコ、そしてドラムソロと3種類の演奏が入っている。ビッグバンドの甘口のアルトソロはポール・ホーンではないかと思う。ドルフィーはクインテット3曲で、①ミス・ムーブメント、では後のドルフィーらしさの芽生えを感じる演奏をしている。バラード④モア・ザン・ユー・ノウ、は甘口だ。⑧ニューポート・ニュース、のドルフィーのバッパーとしてのソロも素晴らしい。(hand)
Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Nate Gershman(cello), Dennis Budimir(gr), Wyatt Ruther(b), Chico Hamilton(ds)
現在、フレッシュサウンドから「トゥルース」としてCD化されているが、アナログは「ザット・ハミルトン・マン」としてシザックというラジオ局向けという超マイナーレーベルから出ていた盤。他の盤がパシフィックジャズで入手しやすいのに、フレッシュサウンドがCD化するまでは入手困難だったと想像する。ラジオ放送用なのか曲は短い。ドルフィーらしさが出かかっている感じだ。⑩オープニングの高速ソロはすごい。(hand)
1960.early
Decca
おすすめ度
hand ★★
Cat Anderson, Thad Jones, Joe Newman, Ernie Royal, Snooky Young(tp),
Henry Cocker, Al Grey, Benny Powell(tb),
Marshall Royal(as), Eric Dolphy(as,b-cl),
Frank Foster, Billy Mitchell(ts), Charlie Fowlkes(bs),
George Rhodes(p), Freddie Green(gr), Eddie Jones(b), Sonny Payne(ds),
Sammy Davis Jr.(vo), Sy Oliver(arr,cond)
サミー・デイヴィス・ジュニアは、私たち世代にはサントリーのCMで知られる黒人ポピュラー歌手だが、もちろんジャズも得意とし、ベイシーとの共演盤もある。この盤は、1960年早い時期にサイ・オリバー・オーケストラと録音したもので、ドルフィーがその一員としてアルトで4曲⑥⑦⑧⑪ に参加(全12曲)。アルトはマーシャル・ロイヤルと2人いて、目立つアルトがどちらかわからない。(hand)
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