・新宿ジャズ談義の会 :ドナルド バード CDレビュー 目次
・Donald Byrd CDサイド作① ・・・このページ
Kenny Clarke(ds), Cannonball Adderley(as), Nat Adderley(cor), Donald Byrd(tp:1,2,5), Jerome Richardson(ts,fl), Horace Silver(p except 6), Hank Jones(p:6), Paul Chambers(b)
モダン・ジャズの夜明け的な盤の1枚だと思う。クラブ、カフェ・ボヘミアのセッション・リーダーのオスカー・ペティフォードを外して、ケニー・クラークがリーダーとなり録音した盤。ペティフォードの代わりにポール・チェンバースが入り、元のボヘミアのメンバーにアダレイ兄弟が入っている。その結果、トランペットがバードとナット(コルネット)、サックスがキャノンボールとジェローム・リチャードソンと2人ずつとなっている。バードの初録音は、1947年、15歳の時のロバート・バーンズというテナー奏者のEPとされており、YouTubeに片面を上げてくれている人がいて聞くことができる。中学生?のバード(サヒブ・バードとなっている。)は立派に演奏しているが、プロとしての初録音はこの盤になるだろう。キャノンボール③とナット⑥は単独曲があるのに、バードとリチャードソンにはないのはかわいそうに思う。⑦もバードは参加していない。それだけシーンには兄弟の登場のインパクトがあったのであろう。曲もタイトル曲とスタンダード2曲以外は兄弟の曲だ。(hand)
Oscar Pettiford(b,cello), Donald Byrd, Ernie Royal(tp), Bob Brookmeyer(v-tb), Gigi Gryce(as,cl), Jerome Richardson(ts,cl.fl), Don Abney(p), Osie Johnson(ds)
ケニー・クラークの「ボヘミア・アフター・ダーク」の2か月後、ボヘミアの作者ペティフォードのリーダー盤に参加。ボヘミアと似た盤を想像するが、カラーは全く違う。ボヘミアがハードバップの夜明け的な雰囲気に対し、レーベルのせいか、メンバーのせいか、8人という人数のせいか、アレンジが重視されたウエストコースト、クールジャズ的な雰囲気が漂う。ただし、ボヘミアそのものはイースト的にカッコよく演奏される。アーニー・ロイヤルとの2トランペットなので、バードのソロは②④の2曲のみ。(hand)
George Wallington(p), Donald Byrd(tp), Jackie McLean(as), Paul Chambers(b), Art Taylor(ds)
日本で幻の名盤と呼ばれ、やっと発売されて聞いてみるとそれほどではなかった盤の、残念ながら代表格の盤。バードとマクリーンの2管にバド直系のジョージ・ウォーリントンがリーダーでチェンバースとATならば悪いはずはない。確かに全く悪くないが、大騒ぎするほどの超名盤でもない。マクリーンは初期のライブ録音がないので、荒削りな生演奏が聞かれるのはうれしい。全体に多少慌たゞしい感じがあるので、③マイナー・マーチから聞くと、落ち着いて聞けると思う。名曲⑥ボヘミア・アフター・ダークはバードには4か月で3度目の録音になる。アナログ時代のジャケは青緑色の凱旋門のような門が写った56年のプログレッシブからのジャケと、別テイクを中心とした赤紫の門ジャケがあり、プレステッジ盤となったのは70年でウォーリントンの顔ジャケであったようで(日本盤は青緑ジャケ)そのまま幻の名盤となり、CD時代の88年に日本で顔ジャケで復活し、途中から青緑ジャケとなり、現在、コンプリート盤も赤紫ジャケでローンヒルから出ている。(hand)
Jackie McLean(as), Donald Byrd(tp), Mal Waldron(p), Doug Watkins(b), Ronald Tucker(ds)
ジャッキー・マクリーンの初リーダー盤の2管の相方として参加。通称「猫のマクリーン」。怖そうな猫がかわいい猫には変わっているが、レーベルが変わっても猫ジャケに変わりない。メンバー全体に気負いや硬さのようなものがあるように感じはするが、ハードバップ初期の名盤ではあると思う。バードは翌年の第2作「ライツ・アウト」にも参加しているの。ジョージ・ウォーリントン5でフロント組んでいた関係であり、マクリーンから相性がいいと思われていたのだろう。(hand)
Hank Jones(p), Donald Byrd(tp), Matty Dice(tp:2,3), Eddie Jones(b), Kenny Clarke(ds)
バードをフィーチャーしたハンク・ジョーンズ・カルテットなのだが、一部に無名の?新人?トランペットのマッティ・ダイスも入りクインテットで、イントロデューシングとなっている。バード自身も新人のはずだが、既に大物感が漂うプレイで差をつけている。このセッションはエロスというレーベルからバードのリーダー盤「カルテット&クインテット」として発売されたこともあるようだ。 中では①恋をしたみたい、③アン・ゼン・サム、はノリのいい演奏で聞く価値がある。②イブニング・アット・パパ・ジョーズは15分超の長尺だが、正直かったるい。ハンクは強力なリーダーシップを発揮するタイプではなく、モダンではあるがモダン度も強い方ではない。ベースのエディ・ジョーンズもサポート一筋のタイプだ。そのため、全体にゆったりしたジャムのような雰囲気になってしまっている。フレッシュサウンド盤では同日録音の「ブルーバード」からの1曲ハンクス・プランクスも収録している。「ブルーバード」は色々な日の寄せ集め盤だが、ハンクス・プランクスも含めて、こちらの盤ほうが楽しめる。
Ernie Wilkins(arr,cond), Ray Copeland, Idrees Sulieman, Donald Byrd, Ernie Royal, Joe Wilder(tp), Hank Jones(p), Wendell Marshall(b), Kenny Clarke(ds)
アレンジャー、アーニー・ウィルキンスがトランペッター5人(ドナルド・バード、アーニー・ロイヤル、アイドレス・シュリーマン、ジョー・ワイルダー、レイ・コープランド)を集めて作った作品。リズム隊はハンク・ジョーンズ、ウェンデル・マーシャル、ケニー・クラーク。①〜⑤の前半は全員でのアンサンブルとソロ競演。⑥〜⑩の後半は各人1曲ずつのバラード演奏。5人は世代もスタイルも違うタイプなので作品としての統一感やカッコよさはあまり感じない。バードのソロ曲⑧春の如くはなかなかいい。(hand)
George Wallington(p), Phil Woods(as), Donald Byrd(tp), Teddy Kotick(b), Art Taylor(ds)
バード=マクリーンは「カフェ・ボヘミア」1枚のみで、ここから3作がバード=ウッズとなる。マクリーンに比べるとウッズは滑らかで軽やかだ。ウォーリントンは、バド系の白人で「ボヘミア」は有名だが、特段、人気のあるピアニストではない。やはり、ウォーリントンを聞くなら、バドを聞いてしまうのだ。この時期のバードとウッズもそういう要素があり、ブラウニーやパーカーを聞かれてしまうのだと思う。(hand)
Jackie Mclean(as), Donald Byrd(tp), Elmo Hope(p), Doug Watkins(b), Art Taylor(ds)
マクリーンの第2作で、プレスティッジの初作。ベースから始まる私好みの①ライツ・アウト、スタジオの照明を暗くして録音したブルースで、それをタイトルにしたようだ。薄暗さ以上に漆黒感がある。この3日後にミンガスの名盤「直立猿人」に参加する若くて荒削りなマクリーンが捉えられている。ピカソではないが、マクリーンの場合、プレスティッジが青の時代、ブルーノートが赤の時代のような感じだと思う。(hand)
Hank Mobley(ts), Donald Byrd(tp), Ronnie Ball(p), Doug Watkins(b), Kenny Clarke(ds)
モブレーのリーダー盤として発売されているが、ブローインセッションだ。集中して聞こうと思っても、聞き流してしまう。後半はモブレーではなくジョン・ラポータのセッション。バードは前後半とも参加しており、バード名義で発売されてもおかしくないと思うが、バードよりモブレーのほうが売れるのかもしれない。2曲がモブレー曲で、他はスタンダードということもあると思う。(hand)
Kenny Clarke(ds), Donald Byrd(tp), John LaPorta(as), Ronnie Ball(p), Wendell Marshall(b)
ケニー・クラークのリーダー盤に人気盤「ボヘミア・アフター・ダーク」に続き参加。「ボヘミア」はナット・アダレイとの2トランペットだったが今回はバード1人。アルトはキャノンボールからジョン・ラポータに交替。ラポータはミンガスとの共演のほか、数枚のリーダー盤もあるが目立たない人だ。ここではオリジナルを2曲提供するなど頑張っている。①ボルケーノ、はモンクのオフ・マイナーを一部パクった感じの曲。若きバードのフレッシュな演奏が聞かれる。他曲も初期ハードバップとして楽しめる。長らく未CD化だったが、現在はフレッシュサウンド盤「ザ・メッセージ・オブ・ジョン・ラポータ」に収録されている。(hand)
Donald Byrd(tp), Hank Mobley(ts), Horace Silver(p), Doug Watkins(b), Art Blakey(ds)
名盤「カフェ・ボヘミア」だけでジャズ・メッセンジャーズを退団したケニー・ドーハムの後任としてバードが入団。バードもJM正規メンバーとしてはこの盤だけだ(リタ・ライス盤やビッグバンド盤はある。)。バンド名をタイトルとし、メジャーのコロンビアから出したこの盤。若きバードは、モブレーとともに見事にフロントを務めている。憂いがあり湿り気のある音色とフレージング、吹き出しの破裂音という私から見たバードの音の魅力は出ている。JMは、他にも名盤が多いので、多少の名盤は埋没してしまいがちだが、この盤も十分に名盤で、大音量で鑑賞したい作品だと思う。(hand)
Elmo Hope(p), Donald Byrd(tp), John Coltrane, Hank Mobley(ts), Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(ds)
バドの幼馴染というエルモ・ホープの数少ないリーダー作の1 枚だが、残念ながらジャム的な盤だ。コルトレーンとモブレーの2テナーにバードが加わった3管がフロント。長尺4曲でソロが長い。テナーはコルトレーンの圧勝の感じがするが、トランペットはバードがブリリアントなソロを聞かせている。(hand)
Phil Woods, Gene Quill(as), Donald Byrd, Kenny Dorham(tp), Tommy Flanagan(p), Doug Watkins(b), Philly Joe Jones(ds)
「ヤング・ブラッド」の5か月前のウッズとバードの共演盤だが、ウッズ・セプテット名義で、「ウッドロアー」に続くウッズの第2作。七重奏団のフロントは、アルトがフィル&クィル、トランペットがバード&ドーハムという二重バトル編成となり、リズム隊は、トミフラ、ワトキンス、フィリーという豪華なメンバーだ。演奏に勢いもツヤもあり内容もいいのだが、ジャケがしょぼく目立たないのが残念なところ。(hand)
Gene Ammons(ts), Donald Byrd, Art Farmer(tp), Jackie McLean(as), Mal Waldron(p), Doug Watkins(b), Art Taylor(ds)
プレステッジお得意のジャムセッション。まさにタイトルどおりだ。10分超の全3曲、各メンバーは心行くまでソロを吹いている。マクリーンのアルトの長いソロは堪能できるが、トランペットはバードとファーマーの2人なので、どちらかなぁ?などと考えながら聞いていると、少し疲れる(笑)。ボステナーと言われる人は、アイク・ケベック〜アモンズ〜スタンレー・タレンタインといるが、そのアーシーな魅力は想像できるが、私は彼らのテナー自体にはあまり魅力を感じない。(hand)
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