カーティス・フラー CDレビュー 目次
・カーティス・フラー おすすめBEST5・・・このページ
※下記に全作品をレビューしています。クリックして各ページもご覧ください。
※カーティス・フラー氏は2021年5月8日 残念ながら逝去されました。深く哀悼の意を表します。
カーティス・フラー(1934-2021)は、工業都市デトロイトの出身。幼い頃に両親を亡くしたそうで苦労したのかもしれない。ドナルド・バードやポール・チェンバースは幼な馴染みらしい。22歳でニューヨークに移り、モダン・トロンボーンといえばJ.J. ジョンソンといわれていたところに新星のごとく登場し、いきなりリーダー盤やサイド盤を名門ブルーノートやプレスティッジに吹き込みはじめることとなる。
とはいえ、俺が俺が的なところがなく、優しく地味な性格なので、いいプレイをしながらもこれまではナンバーワンプレイヤーと呼ばれることはなかったと思う。私handがフラーのトロンボーンに最初にときめいたのは、フラーがサイド参加したコルトレーンの「ブルー・トレイン」で、今もこの盤でのプレイは最高だと思っている。トロンボーンらしい優しくまったりした音色もいいのだが、私自身はエッジの立ったトロンボーンの音色がカッコいいと思う。
Art Farmer(tp),Curtis Fuller(yb),Sonny Clark(p),George Tucker(b),Louis Hayes(ds)
リーダー3作目のようなタイトルだが、ブルーノートでの3作目という意味。それにしても、なぜ急にこんないい盤が作れたのだろう。フラーは、リーダー7作目にして傑作を生んだと思う。ソニー・クラークとアート・ファーマーというクール・ストラッティン的なメンバーも功を奏している。フラーのオリジナル5曲とスタンダード1曲も、皆、いい出来だ。(hand)
ラテンテイストの一曲からブルーノート1500番台らしいカッコ良さ。そしてソロの先頭はソニー・クラーク。彼らしいクラーク節全開でかっこよくノリのいい演奏の割には哀愁もチョッピリ感じる素晴らしさ。雰囲気もそのままに50年代のパワーを感じながらフラー、ファーマーのソロも楽しめる愛すべき一枚。(しげどん)
アートファーマーのトランペットとカーティスフラーのトロンボーンが息の合った素晴らしいコンビネーションを聴かせる。フラーの美しいメロディラインには無駄が無く、落ち着いた大人のJAZZを堪能できる素晴らしいアルバムだ。(ショーン)
Curtis Fuller(tb),Benny Golson(ts),Tomy Flanagan(p),Jimmy Garrison(b),Al Harewood(ds)
フラーといえばコレ!とされてきた盤。フラー名義の盤ながら、ベニー・ゴルソンのカラーが強く、いわゆるゴルソン・ハーモニーを楽しむ盤だと思う。ゴルソンの同時期のプレステッジ盤よりもゴルソン的に良くできた盤だと思う(笑)。(hand)
トロンボーンという楽器が、これほど素晴らしく心に響くとは正直思っていなかった。少なくともこのアルバムを聴くまでは。カーティスフラーのトロンボーンには、トランペットやサックスのような花形プレーヤー以上の優しさと温もりがある。この盤のセッションにはテナーのベニーゴルソンとピアノはトミーフラナガンが参加しているが、このジェントルな2人がまた、フラーの指向とマッチングして、心底寛げる音の空間を創り出している。聴き惚れているうちに、アルバムは終わってしまい、余韻だけが残る。名盤である。(ショーン)
テレビCMにも使われた有名曲「Five Spot After Dark」!いまさら説明は不要の人気盤。評価は良し悪しを超えてますのでまずは聴いてもらうしかありません。カーティス・フラー氏のライブを大阪のライブスポットで聴いた際に、フレンドリーに話をしてくれてこのアルバムにサインをしてもらいました。そのジャケットは私の宝物です。(しげどん)
1959年8月25日 Savoy
hand ★★★★☆
しげどん ★★★★
ショーン ★★★★☆
Curtis Fuller(tb),Lee Morgan(tp),Benny Golson(ts),Wynton Kelly(p),Paul Chambers(b),Charlie Persip(ds)
ジャズテットといえば、アート・ファーマー&ベニー・ゴルソンで、フラーはメンバーに入っていても名前を出してもらえなかった。サボイやブルーノートのアーチストだからなのか?弟分的な位置づけだからか?その辺は不明だが、この盤はフラー&ゴルソンのジャズテットだ。リー・モーガン、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、チャーリー・パーシップと豪華メンバーで、ゴルソンもいるがソロイストに徹している感じで、「ブルースエット」に比べてゴルソン・ハーモニーは弱いと思う。フラーもリーダーとして好きなように演奏している気がする。ジャズテットというゴルソンっぽいタイトルの盤がゴルソンっぽくないのだ(笑)。ジャケやタイトルはダサいが、良質なハードバップ盤だ。(hand)
ジャズテットのほかの諸作とは方向性が違う作品だ。ジャズテットはてっきりゴルソンとファーマーの双頭バンドでスタートしたと思っていたが、このアルバムが第一弾だった。フラーはすぐにジャズテットから離れてしまうが、自分の音楽的主張と乖離があったのかもしれない。この作品ではゴルソン的な要素は少なく、フラーはオリジナル曲も提供していて、オーソドックスなハードバップ盤になっている。私にはこの作品の方がその後のジャズテット諸作よりも良く感じる。リー・モーガン、ウィントン・ケリーというスター級のサイドマン参加も魅力をアップさせている。(しげどん)
テナーにベニーゴルソン、トランペットにリーモーガンを迎えての演奏だが、どうも主役がハッキリしない。そのためか、印象の薄い曲ばかりになってしまっているように感じる。1曲目のIt's Alright With Meはノリも良く、リーモーガンがキレ良く引き締めている。(ショーン)
1961年8月23日
Epic
おすすめ度
hand ★★★★☆
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★★
Curtis Fuller(tb),Zoot Sims(ts),Tommy Flanagan(p),Jymie Merritt(b),Dave Bailey(ds)
ズートの参加と賑やかジャケで人気のエピックでの2作目。馴染みのスタンダードと滑らかなズートのテナー、そして名人フラナガンのサポートで親しみやすい盤になっていると思う。録音のせいもあると思うが、デイブ・ベイリーのドラムが張り切って聞こえる。(hand)
タイトルから想像するようなコテコテのラテン調ではなく、いい感じのオーソドックスな味わいのジャズ。冒頭の一曲はなんとズートを外してワンホーンなのだが、待ってましたと言いたい自然な形でフラーのトロンボーンが味わえる。編曲などに頼らない自然なアドリブこそ彼の魅力なのだ。いつもと変わらないズート・シムスもいい感じのリラックスした作品。ジミー・メリットのベースもメッセンジャーズのソロを思い起こさせるフィーリングがあってなかなか楽しい。(しげどん)
トミーフラナガンが良い。特に2曲目のベサメムーチョのフラーの演奏を支えるメロディアスなピアノの呼応は素晴らしい。ズートシムズのテナーソロの合いの手とは異なる表現で、曲全体の質を飛躍的に高めている。このセッションは、各曲にはボサノバ やサンバの影響があるが、アルバム全体としては、やや散漫としてトータルの表現力に欠ける。(ショーン)
1982年12月23日
Timeless
おすすめ度
hand ★★★★☆
しげどん ★★★★
ショーン ★★★★★
Curtis Fuller (tb),Danilo Rea(p),Enzo Pietropaoli (b),Roberto Gatto (ds)
カイ・ウィンディングとの双頭バンド、ジャイアント・ボーンズの2枚を経て、再びタイムレスからの1982年の盤(48歳)。ピアノのダニーロ・レアのローマ・ジャズ・トリオとのイタリア録音。イタリアの元気なピアノトリオと共演して、フラーも元気に吹いている。(hand)
ワンホーン作品であることが印象深いフラーのソロが堪能できる作品。当時はハードバップリバイバル最中で、働きざかりのフラーなのだ。コルトレーンの曲を2曲も選んでいるが、特にそこに漸進的な意図はあまりなく、むしろ開き直った感じで自然体のフラーのソロが感じられる。アフタヌーン・イン・パリ,ブルー・ボッサという有名曲に加えてフラーのオリジナル2曲もなじみやすい楽しめる曲。(しげどん)
イタリアのジャズトリオとの共演だが、なかなか息のあった演奏だ。Danilo Reaのピアノは表現力に富み、ベースのEnzo Pietropaoliもとてもメロディアスなベースラインで聴く者を魅了させる。全体を通して無駄が無く、フラーのトロンボーンの様々な顔をしっかり堪能できる。ショーン的にはカリビアンの雰囲気漂うJazz Islandが、アルバムの明るいカラーを決定づけているように感じ、とても好感が持てる。しかもラストの曲は、ケニードーハムのBlue Bossa だ!(ショーン)
カーティス・フラー CDレビュー 目次
・カーティス・フラー おすすめBEST5・・・このページ
※下記に全作品をレビューしています。クリックして各ページもご覧ください。