自己レーベル、デビューでの録音のほか、JJとの録音、そして引き続きマイルスとの録音が行われた時期です。
・新宿ジャズ談義の会 :チャールズ・ミンガス CDレビュー 目次
Thad Jones(tp), Charles Mingus(b),
①②④⑦⑪⑫:John Dennis(p), Max Roach(ds),
③⑤⑥⑧⑨⑩:Frank Wess(ts,fl), Hank Jones(p), Kenny Clarke(ds)
デビューレーベルのサド・ジョーンズの10インチ「ファビュラス」と「ジャズ・コラボレーションズ」を12インチ化した盤。前者にはフランク・ウエスが入っているが、後者はワンホーン。後者は元々ミンガスとのコラボレーションがタイトルなので、ミンガスのプレイが目立つ録音になっている。(hand)
1954.8.24 & 26
Savoy
おすすめ度
hand ★★★★
J.J. Johnson, Kai Winding(tb), Charles Mingus(b), Kenny Clarke(ds)
①,⑥-⑧:Wally Cirillo(p),
②-④,⑨:Billy Bauer(gr)
J&Kのチームとしてのデビュー盤。黒人白人のコンビで人気を博したのはこの時期ではまだまだ少ないと思う。スイング時代には、黒白混合セッションとわざわざ名付けられたりしているし、ベニー・グッドマンなど例は多くないと思う。数年後にビル・エバンスがマイルスのバンドに入ったときも色々支障があったようだ。なので、このコンビの人気は、ひとえに演奏の良さがあったのだと思う。テーマのハーモニーと各ソロの素晴らしさは言うことがない。(hand)
⑥-⑩,⑮:1954.9.24
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★★
J.J. Johnson(tb),
⑥-⑩,⑮:Wynton Kelly(p), Charlie Mingus(b), Kenny Clarke(ds), Sabu Martinez(conga)
ミンガスが入っているセッションが日本盤では「Vol.1」、輸入盤では「Vol.2」になっている。サブー・マルチネスのコンガ入りの軽快なワンホーンで、ピアノがケリー、ドラムがケニー・クラークというメンバーによる素晴らしい6曲だ。晩年のミンガスはパーカッションとも共演したが、この時期のミンガスとしては珍しい明るいラテンな雰囲気のセッションだ。(hand)
①-⑥:1955.1.6
Prestige
おすすめ度
hand ★★★★
Teddy Charles(vib),
①-⑥:J.R. Monterose(ts), Charles Mingus(b), Jerry Segal(ds)
テディ・チャールズは、白人で先鋭的だが、黒っぽい感覚も持つバイブで、ホワイトMJQとでもいうべきプレスティジ・ジャズ・カルテット(PJQ)としての盤も数枚残している。ここでは55年のミンガス入りの前半6曲はテナーのJ.Rモンテローズが入って、管入りMJQのようなノリのいい演奏となっている。J.Rがある意味、らしくないレスター的なプレイを聞かせている。ラスト2曲は53年の古い演奏だが先鋭さの目立つ演奏になっている。(hand)
1955.1.21
Debut
おすすめ度
hand ★★★
Hazel Scott(p), Charles Mingus(b), Max Roach(ds)
仏在住の黒人女性ピアニスト、ヘイゼル・スコットの数少ない?録音の1枚。「サンジェルマンのJM」で’ハブ・マーシー’と叫び失神したことが知られるが、演奏は聞いたことない人のほうが多いと思う。ミンガス、ローチの強力なリズムに支えられ、ボビー・ティモンズ的なノリのピアノを期待すると、前半の①②③は、盤タイトルどおりのゆったりしたエレガントな曲が多く裏切られる。エリントン曲④ジープ・イズ・ジャンピン、が唯一バッパー的な演奏で好感が持てる。この曲も含めて後半の④⑤⑥とCDボーナスの⑦を聞くのがいいと思う。(hand)
⑦-⑨,⑬:1955.1.30
Savoy
おすすめ度
hand ★★★☆
⑦-⑨,⑬:John Mehegan(p), Charles Mingus(b), Kenny Clarke(ds)
4人のピアニストのオムニバス盤。このうち、ジョン・ミーガンの演奏4曲(+2盤でないと3曲)にミンガスが入っている。ミーガンのピアノトリオは、バドのトリオと雰囲気が少しだけ似ているが、ピアノのクラシック臭はバドをかなり超えている。バドもクラシックの素養を感じるがまさに感じる程度であるのに対し、ミーガンはモロにクラシックのテクでジャズを弾いている感じだ。好きな人は好きかもしれない。(hand)
③-⑥:1955.2.4
Savoy
おすすめ度
hand ★★★
Jimmy Scott(vo),
③-⑥:Budd Johnson(ts), Howard Biggs(p), Mundell Lowe(gr), Charles Mingus(b), Rudy Nichols(ds)
日本では晩年にブレイクしたリトル・ジミー・スコットの初期サボイ盤に若きミンガスが4曲参加。全て比較的スローな曲で、ベースは安定的に刻んでいるだけで、ソロはない。スコットの少年のような声に驚く。(hand)
John Dennis(p), Charles Mingus(b), Max Roach(ds)
ジョン・デニスの唯一の?リーダー盤?リズム隊がミンガス&ローチという強力なピアノトリオ盤のはずが、いつ聞いてもあまり印象に残らない。多分、リーダーのピアノの個性が弱いからだと思う。ビバップ以前のスタイル、ジョー・ブシュキンあたりに近いスタイルの人が、モダンなリズム隊と組んでしまった感じだと思う。(hand)
1955.5.27
London
おすすめ度
hand ★★
Ralph Sharon(p),
J.R. Montrose(ts), Teddy Charles(vib), Joe Puma(gr), Charles Mingus(b), Kenny Clarke(ds)
未CD化。英国出身のラルフ・シャロンのリーダー盤。西海岸的かつ中間派的なイメージが私にはある。今回はJ.R.モンテローズ、テディ・チャールズ、ミンガスにケニー・クラークというハードボイルドな面々なので期待して聞いてみた。残念ながら期待は裏切られ、リーダーのシャロン色一色に塗りつぶされていた。(hand)
1955.7.9
Debut
おすすめ度
hand ★★★★
Miles Davis(tp),
Britt Woodman(tb), Teddy Charles(vib), Charles Mingus(b), Elvin Jones(ds)
ミンガスのレーベル、デビューへのマイルスの録音。バイブがミルトではなく知性派のテディ・チャールズだ。あまり知られぬトロンボーンのブリット・ウッドマンも加わり、全体に味わい深い演奏をしている。10インチ盤をそのまま12インチにしたのかトータル時間は短いが、もっと聞かれていい盤だと思う。ミンガスが金を貸したマイルスとエルビンが借金を返さないので、代わりにデビューレーベルに録音させたと「ジャズ批評」のミンガス特集で知った。(hand)
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