Charles Mingus チャールズ・ミンガス おすすめCDレビュー  サイド作① 1947~1952年

40年代後半のライオネル・ハンプトン楽団、レッド・ノーボ、タル・ファーロウとのトリオという西海岸時代から、東海岸に移り、パーカー、マイルス、ビリー・テイラーなどと録音した時期です。


LIONEL HAMPTON STORY / LIONEL HAMPTON Disc 4④-⑪

1947.11.3,8 & 11

Proper

おすすめ度

hand        ★★★   

Lionel Hampton(vib),

④-⑩:Duke Garrette, Leo Shepherd, Snooky Young, Teddy Buckner, Wendell Culley, Walter Williams(tp), 

Andrew Penn, Britt Woodman, James Robinson, Jimmy Wormick(tb),

Ben Kynard, Bobby Plater(as), John Sparrow, Morris Lane(ts), Charlie Fowlkes(bs), Jack Kelson(cl,as), Milt Buckner(p), Billy Mackel(gr), Charlie Mingus, Joe Comfort(b), Earl Walker(ds)

⑪:Benny Bailey(tp), Morris Lane(ts), Dodo Marmarosa(p), Billy Mackel(gr), Charlie Mingus(b), Curley Hamner(ds) 

ライオネル・ハンプトン楽団に一時在籍した記録

スイング末期の名バイブ奏者でバンドリーダーのライオネル・ハンプトン楽団のビッグバンド演奏。ミンガスは西海岸の生まれで、短期間だがこのバンドに加入したとされるが、スタジオ録音は1947年11月上旬の数回のロス録音の10曲前後が様々なレーベルから出されているだけだ。だだ、翌48年の5月から10月にかけての米各地でのライブには参加し、海賊録音も残されているので、正式加入していた可能性もある。このボックス盤に含まれる47年11月3,10,11日の計8曲には、ミンガスのオリジナル曲⑧ミンガス・フィンガースがあるので、ミンガスの才能をハンプトンが重用したことは確実だ。この3カ月前の8月にハンプトンの有名な「スターダスト」が録音されており、ミンガスはスイング時代の名盤に少しの差で名を連ねそこなっている。8曲でのミンガスのベースは、ミンガスだと思って聞けばミンガスらしい強いピッキングのベースだ。生涯貫かれた強靭なベースは、ビッグバンドに埋没しないために生まれたものかもしれない。ミンガス・フィンガース、はビッグバンドには珍しいベースをフィーチャーした曲だ。⑪のチェロキーはややビバップの香りがする。(hand)(hand)



MOVE! / RED NORVO

1950.5.3 & 10.13

1951.4.13

Savoy

おすすめ度

hand        ★★★☆

Red Norvo(vib), Tal Farlow(gr), Charles Mingus(b)

ノーボ、タル、ミンガスという変則トリオの録音

ミンガスのモダンジャズ録音としては初盤だと思う。バイブ、ギター、ベースという変則的な編成だが、小編成なのでミンガスのベースワークを堪能できる。レッド・ノーボのバイブが中間派的な香りがするのがモダンジャズ的にはやや難点だと思う。(hand)



MIDNIGHT ON CLOUD 69 / GEORGE SHEARING (& RED NORVO)

⑤⑥⑪⑫:

1950.5.3 & 10.13

1951.4.13

Savoy

おすすめ度

hand        ★★★☆

⑤⑥⑪⑫:Red Norvo(vib), Tal Farlow(gr), Charles Mingus(b)

「ムーヴ!」の残り録音だが‘夜も昼も’が素晴らしい!

アナログA面に当たるCD前半4曲と追加2曲がジョージ・シアリング・クインテット。アナログB面の後半2曲とCD追加2曲の計4曲がレッド・ノーボ・トリオ。「ムーブ!」の同日録音で、残り物なのかもしれない。ノーボ3にのみミンガスが入っている。ラスト2曲の50年5月3日の演奏にはボンゴ(コンガ?)が入り、特に⑫ナイト・アンド・デイはとてもいい仕上がりになっている。「ムーブ!」の50年5月3日録音分⑪⑫にはパーカッションは入っていない。(hand)



BIRDLAND 1951 / MILES DAVIS

⑧-⑩:1951.9.29

Blue Note

おすすめ度

hand        ★★★

Miles Davis(tp),

⑧-⑩:Eddie "Lockjaw" Davis, "Big Nick" Nicolas(ts), Billy Taylor(p), Charles Mingus(b), Art Blakey(ds)

海賊レーベルのマイルスの放送用音源の正規化盤

海賊アナログレーベルから出ていたマイルスの放送用の音源プラスα。2004年、発掘男マイケル・カクスーナがブルーノートからCD化した。3分の2は海賊CD「バードランド・セッションズ」としてチャーリーからCD化されていたもの。ミンガスは1951年9月29日のエディ・ロックジョー・デイビスとビッグ・ニック・ニコラスを含む3曲に参加し、元気に演奏している。海賊としては全体には音はまずまずなのだが、ミンガス参加の3曲はあまりよくない。(hand)



THE MANY MOODS OF CHARLIE SHAVERS

1952.2.21

Baldwin Street Music

おすすめ度

hand        ★★★★

(Charlie Shavers(tp)),

Lee Konitz(as), George Wallington(p), Chuck Wayne(gr), Charles Mingus(b), Max Roach(ds)

シェイバース盤ながら、コニッツ5での1曲のみ参加

全19曲入りのCDだが、ミンガスが入っているのは、⑤イエスタデイズのみ。なんとリーダーのチャーリー・シェイバースも入らないリー・コニッツのカルテット演奏。これが素晴らしく、コニッツ好きにはマストだと思う。ピアノはジョージ・ウォーリントン、ドラムはマックス・ローチ。コニッツのアルトの次に目立つのはミンガスのベースだ。よく聞くと、チャック・ウェインのギターも聞こえる気がするのでクインテットだ。ただ、残念なことにコニッツのソロだけで曲が終わってしまう。(hand)



GEORGE WALLINGTON TRIOS

①-④:1952.9.4

Prestige

おすすめ度

hand        ★★★

①-④:George Wallington(p), Chuck Wayne(gr:①), Charles Mingus(b), Max Roach(ds)

メンバーからビバップ演奏を期待するが...

ジョージ・ウォーリントンの最初期のプレステッジ10インチのトリオ録音。冒頭①ラブ・ビート、のみチャック・ウェインが加わりギターが主役の演奏。ミンガス&ローチなので、かなりのビバップを期待するが、サマー・レイン、はスローなバラードで、③エスカレーティング、でビバップのトリオ演奏が聞かれる。ウォーリントンの右手が流麗過ぎて言葉どおり流れているような演奏だ。タイトルからは上下動を想像するが、鍵盤を左右に流れている感じだ。④ローラ、もバラードで始まり、その後アップテンポに一時的になる。悪くはないが、期待したものではない。後半⑤-⑧はミンガス不参加。(hand)



IN A CELLO MOOD / OSCAR PETTIFORD

①-④:1952.10.16

⑨-⑬:1953.12.29

 

Debut → Fresh Sound

おすすめ度

 

hand        ★★★

Oscar Pettiford (Cello), Charles Mingus(b),

①-④:Billy Taylor(p), Charlie Smith(ds),

 

⑨-⑬:Julius Watkins(French Horn), Phil Urso(ts), Louis Hjulmand(vib), Walter Bishop(p), Percy Brice(ds)

先輩ペティフォードのセロ盤にミンガスがベースで参加

先輩ベースのオスカー・ペティフォードがセロを弾いた盤にミンガスがベースでに参加した10インチ盤を含む4枚をまとめたCD。ミンガス以前のベーシストでは、巨匠と言えるペティフォードのリーダー盤でも、総合音楽家と言えるミンガスの領域にまでは達していない。やはり、ミンガスはエリントンやマイルス、モンクらに比肩しうる偉大なミュージャンと言える。ただし、この盤自体はベースリーダー盤としては良くできた盤で、曲も演奏もいいので楽しめる。①〜④ はペティフォードがセロを弾き、ビリー・テイラー、ミンガス、チャーリー・スミスのトリオがサポート。⑨〜⑬はジュリアス・ワトキンス、フィル・アーソとペティフォードのセロがフロントで、ウォルター・ビショップ、ミンガス、パーシー・ブライスがリズム隊。他の10曲はミンガス不参加だ。私の好きな曲、クインシーの⑫ストックホルム・スウィートニン、が入っている。(hand)



JAZZ AT STORYVILLE VOL.2 / BILLY TAYLOR (LP)

1952 Autumn

(1951.11?)

Roost

おすすめ度

hand        ★★★★★

Billy Taylor(p), Charles Mingus(b), Marquis Foster(ds)

CD化が待たれるビリー・テイラーの初期名盤

ビリー・テイラーの初期10インチ盤で未CD化の1枚。テイラーのVol.1はなく、スタン・ゲッツの「ジャズ・アット・ストーリービルVol.1」が第1集だと思われる。ミンガス自らのデビューレーベルにはピアノトリオ盤が数枚あるがそれ以前はこの盤しか見当たらない。サボイのジョン・ミーガン盤もデビュー盤ヘイゼル・スコットらと同時期の55年だ。それより何より、今回、この盤を初めて聞き、その素晴らしさで愛聴盤化の予感があった。テイラーはアメリカでは大御所らしいが日本ではあまり聞かれていない。器用すぎるのがいけないのかもしれないが、この盤はライブということもあり、演奏に熱く取り組むテイラーが聞けるし、若きミンガスのベースも十分に聞かれる。※Discogsには、1951.11リリースの、この盤と同内容の5曲を含む片面4曲、計8曲のエース・レコーディング・スタジオズというエア・チェック盤「アット・ストーリービル」が掲載されている。この5曲をルーストが52年に買い取り発売したのであれば、録音は51年11月以前ということになる。(hand)



THE HAPPY BIRD / CHARLIE PARKER

1952.12.14

Charlie Parker Record

おすすめ度

hand        ★★★★

Charlie Parker(as),

③:Joe Gordon(tp), Bill Wellington(ts), Dick Twardzik(p), Charles Mingus(b), Roy Haynes(ds)

超マイナーのチャーリー・パーカー盤に1曲収録

超マイナーのチャーリー・パーカー・レーベルから出ている盤にミンガス入りのボストン、ハイハット・クラブの52年12月14日ライブが1曲入っている。10分強のアイ・リメンバー・エイプリルは内容も良く貴重だ。ミンガスのベースもよく聞こえていて、ソロもある。(hand)



BOSTON, 1952 / CHARLIE PARKER

1952.12.14

Uptown

おすすめ度

hand        ★★★★☆

Charlie Parker(as),

①-⑧:Joe Gordon(tp), Dick Twardzik(p), Charles Mingus(b), Roy Haynes(ds)

「ハッピー・バード」の残り曲を1996年にアップタウンが発掘

チャーリー・パーカー・レーベル盤「ハッピー・バード」で52年12月14日の1曲アイ・リメンバー・エイプリルだけが出ていたが、1996年にアップタウンから残り8曲が発掘されCD化された。この8曲はミンガス入りで、ディック・ツワージクのピアノも珍しい。「ハッピー・バード」には、ソロはないが入っていたビリー・ウェリントンというテナーは、こちらにはクレジットもなく、いないようで、その辺は謎だ。残り5曲は54年録音でミンガスは入っていない。パーカーのヒット曲揃いで、演奏に勢いもあり、聞く価値ある盤だ。(hand)