このページでは1965年までを一区切りとして、ご案内しています。
彼のジャズらしい作品が味わえるのはほとんどこの時期までなので、Best 5 もこの時期までで選定していますが、後期の作品は主にhand氏がコメントを記入していますので、そちらもご覧ください。ジャズファンク的な音楽が好みの方には、好きな盤があるかもしれません。
・JAZZ談義の会 キャノンボール・アダレイ CDレビュー 目次
・キャノンボール・アダレイ リーダー作 ①デビューから1958年まで
・キャノンボール・アダレイ リーダー作 ②1959年~1960年
・キャノンボール・アダレイ リーダー作 ③1961年~1965年 ・・・このページ
1961年2月21日
3月31日
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★
Cannonball Adderley(as),Bill Evans(p),Percy Hearth(b),Connie Kay(ds)
マイルス・バンドでの盟友キャノンボールとエバンスの共演。エバンスのワルツ・フォー・デビーの管入り演奏はこれだけではないか。モニカ・ゼッタールンドとのボーカル盤がほかにあるが。マイルス抜きの気楽な共演なので、「カインド・オブ・ブルー」的な緊張感はない。どちらかというと寛ぎ系の盤。相変わらずキャノンボールは吹きまくる。タイトルは、キャノンボールの口癖で、MCでいつも聞かれる。(hand)
ピアノがこの時期のビル・エバンスだと、完全にエバンスが主導権を握っている。すでにファンキー路線に突入していたキャノンボールだが、さすがにジャズを知り尽くした男だけに自分の個性を保ちつつうまく同調しているのはさすがだ。(しげどん)
1961年2月8日,5月9日,15日
Riverside
おすすめ度
hand ★★★★
Nat Adderley,Clark Terry,Ernie Royal,Joe Newman (tp),Arnett Sparrow, George Matthews,Jimmy Cleveland,Paul Faulisc(tb),Don Burterfield (tuba),Cannonball Adderley(as),Wynton Kelly(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
キャノンボールのリーダー作としては珍しいモダン・ビッグバンド盤。選曲もアーニー・ウィルキンスのアレンジも良く、モダン・ベイシー的なサウンドを楽しめる。(hand)
1961年5月11日
Riverside
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★★
Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Victor Feldman(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds),Wynton Kelly(p)
いつものクインテットにウィントン・ケリーをプラス。フェルドマンがバイブを弾く応援のためだ。何とももったいない使い方だ。名盤となる可能性のあるメンバーなのに、そうはなっていない。残念だ。いい新曲がないのが敗因だと思う。(hand)
Plusというタイトルは、CD時代だとおまけの掘り出し盤みたいだが、このアルバムはPlusが題名。In Chicago,Takes Charge と彼の名盤を推してきたケリーとの共演度合いもいい感じだし、フェルドマンのヴァイブもいい。この人は英国人なのにファンキーな味から何から全部わかってやっているすごい才人。モンクの曲などの選曲は意見が分かれるところだろうが、聴き込みたくなる一枚であることは間違いない。(しげどん)
1962年1月12日,14日
Riverside
おすすめ度
hand ★★★★☆
しげどん ★★★☆
ショーン ★★★★
Nat Adderley(cor) 、 Cannonball Adderley(as)、Yisef Lateef(ts、fl、oboe)、
Joe Zawinul(p)、Sam Jones(b)、Louis Hayes(ds)
ユーゼフ・ラティーフの個性が強いが、このライブではそれが丁度良いアクセントになっているかも。ユーゼフ・ラティーフが好きか嫌いかで評価は分かれるのでは?キャノンボール自身はいつも通り。(しげどん)
あまりよく聞かずにファンキー時代のライブと決めつけていたが、クールなハードバップの名盤だった。ラティーフとザビヌルの加入でバンドのカラーが変わっている。(hand)
1962年8月4日、5日
Riverside
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★
ショーン ★★★★
Nat Adderley(cor) 、 Cannonball Adderley(as)、Yisef Lateef(ts、fl、oboe)、
Joe Zawinul(p)、Sam Jones(b)、Louis Hayes(ds)
意外にも端正なハードバップ盤。ユゼフとファンキーは相容れない。ファンキーの三要素を考えてみた。ファンキーな曲(4ビート後乗り、コール&レスポンスのゴスペル的雰囲気)、ファンキーなミュージシャン、ファンキーな演奏である。これらが過半数を占めるとファンキーな盤が生まれると思う。(hand)
3管バンドの素晴らしさを堪能できるライブ盤。また、ユゼフのフルートが意外と良い味を醸しており、ライブの魅力アップに大きく貢献している。キャノンボールの気の利いたアナウンスも場の雰囲気が伝わってきてgood!(ショーン)
Nat Adderley(cor) 、 Cannonball Adderley(as)、Yisef Lateef(ts、fl、oboe)、
Joe Zawinul(p)、Sam Jones(b)、Louis Hayes(ds)
不思議な感覚の1曲目primitivoから始まるでのライヴ。ユーゼフ・ラティーフをフューチャーしたことで、このような東洋的と言うか異国的なフレーズが満載の演奏となったのだろう。好き嫌いがでそうだが、ショーン的にはOK。こういうjazzの表現もあるのだ。 (ショーン)
比較的ファンキーなのは、ファンキー名盤の場所を再訪したから⁈でもやはり、このメンバーでは、オリエンタルな感じの知的ハードバップになる(hand)
Cannonball Adderley(as)、Sergio Mendes (p)、others
ゲッツ/ジルベルトに勝るとも劣らないジャズボサの名盤。セルジオ・メンデスのバンドにキャノンボールが客演した形。キャノンボールのアルトの音色が艶やか。特にクラウド「雲」が素晴らしく、耳に残る。(hand)
ゲッツ/ジルベルトは、ジャズ的にはゲッツの作品だが、一般的にはアストラッドの唄が主役でヒットした。キャノンボールはアルト主役でチャレンジしたので、ジャズ的にはもっと応援したい一枚。楽しく聴ける癒しの一枚だ。(しげどん)
ゆったりとしたボサノヴァのリズムにキャノンボールのアルトがよくマッチして、好盤の仕上がりになっている。サスティーンした高音の震えと揺らぎが、疲れた心と身体を癒してくれる。(ショーン)
※Complete Live in Tokyo では、「A Day With Cannonball Adderley」に収録されたTV番組用の音源と、「Nippon Soul」「Autumn Leaves」に収録された曲をすべて収録している。
内容コメントは下記を参照ください。
1963年6月15日
Baybrige
hand ★★★★
しげどん ★★★
未CD化
Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Yusef Lateef(ts、fl),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
63年6月15日の録音と表記されているが、7月7日の誤りと思われる。日本テレビの放送用録音のためかA①ジャイブ・サンバとB①エンジェル・アイズ以外は、曲は短めに演奏されている。当時の日本には、ユゼフ・ラティーフの演奏がどう受け止められたか不明だが、今聞いても魅力的なサウンドだと思う。(hand)
1963年の来日時はファンキーブーム真っ盛りで複数のテレビでも取り上げられ、この音源はNTVのスタジオでテレビ放送用にとられたものらしい。来日は7月なのでアルバムに記載された録音日6月15日はたぶんあやまり。演奏としては62年頃のライブと似たラティーフ主体(長いフルートソロあり)の中で、プロモート的に有名曲もやっている。ユーゼフ・ラティーフ参加のセクステット作品としては最後期になるので、本当は注目すべき作品のはずだが現状は入手困難だ。(しげどん)
1963年7月14日,15日
hand ★★★★
しげどん ★★★
未CD化
Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Yusef Lateef(ts、fl),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
63年7月の来日公演録音から日本でのみ発売されたリバーサイド盤LP。「DIZZY'S BUSINESS」に収録されていなかったのはA①ワークソングのみだがなかなかの熱演だ。現在はCD化で「COMPLETE LIVE IN TOKYO 1963」として来日時の録音の集大成盤がSOLARから2015年に出ているが既に入手困難化している(hand)
63年7月の来日公演の録音から、日本だけで発売された盤。「ニッポン・ソウル」の収録曲とのダブリはない。ワークソング、枯葉、というヒット曲がA面に来ているのは日本でのセールスを意識してだろうが、バンドカラーはユーゼフ・ラティーフ,ジョー・ザビヌルというセクステットが主力。(しげどん)
1963年7月14日,15日
Riverside
hand ★★★☆
Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Yusef Lateef(ts,fl,oboe),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
63年7月の来日公演録音からチョイスしたリバーサイドの正規盤。和風ジャケが特徴的。タイトル曲①ニッポン・ソウルは久しぶりの自身のオリジナル。他曲のコード進行を借用した感じで特段名曲ではない(笑)。②イージー・トゥ・ラブは超高速で、キャノンボールの張り切りはすごい。⑤カム・サンデーは、ザビヌルとサム・ジョーンズの美しいデュオ。⑥ブラザー・ジョンは、ラティーフがコルトレーン に捧げた曲。ナットの低音吹きが出る。⑦ワークソング はCD追加曲。(hand)
Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Yusef Lateef(ts、fl),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
リバーサイド時代の63年の来日公演①〜⑥に62年の「ジャズワークショップ・リビジテッド」の残り演奏⑦〜⑨を追加した盤。「サムシン・エルス」でマイルスと枯葉の超名演を残したキャノンボールだが、ライブでの①枯葉の演奏記録は少ない。スタジオでも、66年のストリングス入りの「グレート・ラブ・テーマ」での演奏以外に記憶がない。やはりマイルスのリーダーシップにより吹き込まれた盤の曲は再演する気にならないのではないかと思う。この日は、多分、日本側の強い要請があったのではと想像する。③プリミティブの不気味な音色の低音は、ナットのトランペットの裏技らしい。ザビヌルのピアノがケリーに似ていると思った。⑥ボヘミアは高速熱演。(hand)
※注:①~⑥はほぼ「Autumn Leaves」と同じ収録曲だが、Work Songが収録されていない代わりにBohemia After Darkを収録。
1964年5月14日
hand ★★★☆
しげどん ★★★☆
Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Charles Lloyd(ts、fl),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds
放送用の録音。この日のキャノンボールは、想定外のクールさだ。キャノンボールのライブは熱いものという固定観念を裏切る内容だ。悪い意味ではない。(hand)
BBCのテレビ放送用の録音で、日本への来日時のレパートリーとかなりダブり、アレンジでも同じような感じだが、メンバーがユーゼフ・ラティーフからチャールス・ロイドに変わった点が聴きどころ。ロイドに変わった直後の記録かもしれない。ロイドはラティーフのようにバンドカラーを変えるほどの個性はないが、この当時らしいややフリーキーなソロなので、キャノンボールコンビとは微妙にアンマッチな感じである。(しげどん)
1964年7月31日,8月2日
Capitol
hand ★★★☆
しげどん ★★★
Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Charles Lioyd(ts,fl),
Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
チャールス・ロイド加入のライブ。ユセフ・ラティーフの中近東ライクな雰囲気が消え、チャールス・ロイドのアメリカ中南部の雰囲気が漂う。ロイドは残念ながら2枚の正規盤参加で自バンドをキースらと結成するため退団してしまう。(hand)
チャールス・ロイドの作曲が半分を占めているのは、ラティーフに変わる新メンバーとしてのアピールか?しかしバンドのカラーが大きく変わったわけではない。キャンノンボールのソロは相変わらずの力強さで、ライブとしては魅力ある作品だが、グループ表現としては、ロイド参加がプラスになったのかは疑問。(しげどん)
1964年10月19日,21日
Capitol
hand ★★★
しげどん ★★★☆
Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Charles Lioyd(ts,fl),
Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
日本人ドラマーM(武蔵野のブレイキー)さんは、この盤が大好きという。企画物はなかなか上手くいかないことが多いが、この盤は比較的いい感じにまとまっている。ミュージカルなどは、全曲がいい曲ばかりでない場合が多く、なかなか難しい点だとと思う。(hand)
キャノンボールがなぜこのミュージカルを素材に一枚のアルバムを企画したのか?経緯は不思議だが、作品としてはジャズ的な要素が充分ある充実した内容。素材をミュージカルに採ったという点はマイナスにはなっていないが、大きなプラスにもなっていないというのが正直な感想。それを意識しなくても、ジャズとして味わえる一枚だ。(しげどん)
1965年2月5日
hand ★★★
Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Charles Lloyd(ts),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
2016年に発掘されたチャールス・ロイド入りのセクステット。ロイド入りは2枚しかなかったので3枚目の盤として貴重だ(他に64年のロンドンでのライブDVDあり。)ポートレート・イン・ジャズというエバンスの超有名盤と同タイトルだが、FM放送の番組タイトルらしい。曲は、前2作からの曲と過去のヒット曲だ。①ジェシカズ・バースデーのビバップな感じがかっこいい。ロイドは後年と変わらぬスタイルだ。一部完全収録もあるが、放送用のためか、キャノンボールとナットのソロの後にフェイドアウトしてしまう曲が多いのは残念なところ。(hand)
1965年4月26日
Capitol
hand ★★★☆
Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Oliver Nelson's Orchestra
1965年の唯一の正規盤。オリバー・ネルソン指揮のオーケストラにクインテットが載った過渡期の演奏。ベースが一部サム・ジョーンズではなくリチャード・デイビス。ドラムもルイス・ヘイズとグラディ・ティト。サム・ジョーンズとルイス・ヘイズはこの盤が最後となる。テナーはオーケストラ要員しかいない。内容は、モダンビッグバンドにキャノンボールをフィーチャーした感じで、ナットやザビヌルのソロは少なめ。オーケストラがクリード・テイラー的なコマーシャリズムを感じない本格的なビッグバンドで、悪い盤ではない。この後、60年代後半は、「マーシー・マーシー・マーシー」など、ジョー・ザビヌルの活躍により、ファンキー・ジャズからよりポップな8ビートも含めたファンク路線になっていく。(hand)
JAZZ談義の会 キャノンボール・アダレイ CDレビュー 目次
・キャノンボール・アダレイ リーダー作 ①デビューから1958年まで
・キャノンボール・アダレイ リーダー作 ②1959年~1960年
・キャノンボール・アダレイ リーダー作 ③1961年~1965年 ・・・このページ