録音が残されているのは1958~1961年の3年半という短い活動期間で、ここでは最初の2年を取り上げました。ローチの下での活躍が目立つとともに、故郷、メンフィスの仲間との「ダウン・ホーム・リユニオン」などのローチ以外との活動記録も残されています。
Max Roach(ds), Booker Little(tp), George Coleman(ts), Eddie Baker(p), Bob Cranshaw(b)
ケニー・ドーハムに代わってマックス・ローチ+4に参加したブッカー・リトル。リトルの20歳のデビュー盤になる。テナーも前作からハンク・モブレーからジョージ・コールマンに代わっている。ローチ盤は、ドラムの主役度が高く、長いドラムソロがあるなど敬遠しがちで、この盤も初めて聞いたが、特段ローチが目立たないハードバップ盤で好感だ。リトルは、「ファイブ・スポット」で初めて聞き、やや進歩派のイメージだったが、ここではオーソドックスなスタイルで元気なソロが聞かれる。ブリリアントな音色で、ブラウン〜ドーハムと続くこの名門コンボの3代目トランペッターの役割を十分にこなしている。(hand)
Max Roach(ds), Booker Little(tp), George Coleman(ts), Ray Draper(tuba), Art Davis(b)
ピアノが消え、チューバのレイ・ドレイパーが加わったプラス4のニューポートフェス出演の記録。このバンドは元々ピアノがあまり目立たない傾向なので、ピアノ不在は気にならない。リトルは、ライブでスタジオ以上にイキの良さを感じさせ、ブラウン=ローチの再来と感じる瞬間もある。ドレイパーは、マクリーンやコルトレーンとの共演盤と比べるとこのバンドでは速いパッセージを要求されるのか、楽器の特性もあり本領を発揮できていないように思う。オリジナル5曲の他に4曲が「コンプリート1957-1958プラス・フォー・セッションズ」に入っている。(hand)
Max Roach(ds), Booker Little(tp:1-6), George Coleman(ts:1-6), Ray Draper(tuba:1-6), Art Davis(b:1-6), Oscar Pettiford(b:8)
「ニューポート」に引き続き、チューバのレイ・ドレイパー入りのピアノレス・クインテット。バド・パウエルやソニー・ロリンズのリーダー盤のマックス・ローチはとてもいいが、自らのリーダー盤やそれに準じた盤のローチはなぜかうるさくて昔からあまり得意ではない。この盤もうるさくないとは言えないが、レーベルの違いからか多少節度ある音量のように感じる。リトルのトランペットはとてもよく鳴っている。私好みの尖った音色もある。DEEDS' というのはアクションに近い意味の単語のようで、ローチの黒人解放運動につながる初盤かもしれない。(hand)
ローチ=ブラウンはハードバップだったが、この1958年もまだファンキー=ハードバップ全盛真っ只中のはず。でもファンキーとは無縁な抽象的なテイストで、アレンジも凝っていて、当時としては前衛的なイメージのある作品かと思う。チューバ入りのピアノレスクインテットも実験的。リトルのトランペットは輝かしい。(しげどん)
マックス・ローチのアルバムだが、ブッカー・リトルは若々しく伸び伸びと演奏している。テナーのジョージ・コールマン、チューバのレイ・ドレイバーとの競演も面白い。ローチのドラムが、牽引力となっているのは間違いない。異国感のあるマイナーフレーズを多用した曲もあるが、ドラムソロ曲もあり、全体的にはローチの力強さが目立つ魅力的なアルバムだ。(ショーン)
A1,2,5:1958.10.6
Calliope
おすすめ度
hand ★★★☆
A1,2,5:Max Roach(ds), Booker Little(tp), George Coleman(ts), Ray Draper(tuba), Art Davis(b)
ライブ音源をLP化した海賊的なシリーズの1枚で盤としては未CD化。ただし、ローチのセッション3曲は「コンプリート1957-1958プラス・フォー・セッションズ」(Jazz Connections)でCD化されている。内容は、ローチ=ブラウンのようで、リトルが、まさにリトル・ブラウニーのような感じで素晴らしい。音は悪くないが、1曲が3〜4分と短いのが残念な点。
※「セッション,ライブ」にはローチ4の曲がもう1曲ムーンライト・ビカムズ・ユーを収録、とジャケやセンターレーベルにも表記されているので、この1曲のためにアナログを購入したところ、表記ミスでメアリー・アン・マッコールの歌であった。B面のバド・シャンクの3曲が素晴らしかったのが多少の救いだ。Discogsも同様に間違っている。(hand)
Booker Little(tp), George Coleman(ts), Tommy Flanagan(p), Art Davis(b), Max Roach(ds)
リトル名義での初盤だが、多分、実情はローチ盤に近い。ソニー・ロリンズ 「プラス・フォー」と似たような性格の盤だと思う。チューバのドレイパーが外れ、ピアノにトミフラが入っているのは独自の点で、リトルのソロも多めで、リーダー盤らしくはある。6曲中3曲③④⑤がリトル作というのも意味がある。ローチの音量も気持ち小さい?かもしれない。ワンホーンの⑥ムーンライト・ビカムズ・ユー、もなかなかいい。ただ、もし、リトルがローチ盤とこのリーダー盤だけで終わっていたら、ここまでは注目されなかったと思う。やはりドルフィー=リトルの相乗効果は飛び抜けていたと思う。(hand)
ビ・バップテイストのマイルストーンズからはじまる保守的な印象のリトルの初リーダー作。トランペットの輝かしさはそのままだが、Deed’sNot...のような進歩性はなく、リトルのトランペットを素直に味わうべき作品。マイルストーンズはモードの端緒になった曲ではなく、ビバップ時代の曲で、このような選曲は意外だが私の好みとしては良い感じだ。スタンダードナンバーでは、ブルージーなテイストもあるので、それも好ましい。(しげどん)
いきなり若々しいブッカー・リトル全開のリーダーアルバム。マックス・ローチのアシストで、まだ強い個性が出ているわけではないが、ブッカーも伸び伸びと演奏している。アルバム全体としては、やや単調な印象で、もう少しメリハリが欲しい。(ショーン)
Max Roach(ds), Booker Little(tp), George Coleman(ts), Ray Draper(tuba), Art Davis(b)
東海岸ながら慌たゞしさがあるローチのバンドにやっと落ち着きが出てきた気がする。冒頭ローチ曲①チューバ・デ・ノッド、が東海岸ハードバップの雰囲気があるからだと思う。チューバのドレイパーの参加はこの盤までとなる。録音のせいかもしれないが、リトルのトランペットがこれまでよりも力強くなったように感じ、各曲のソロがとても魅力的だ。別テイク3曲入りのCDもある。(hand)
この作品も引き続きジョージ・コールマン、レイ・ドレイパーといった逸材を揃えた三管でのピアノレス作品。リトルのトランペットは輝かしいが、チューバ入りのため、作品として編曲のウエイトが高くなる。ローチは、モダン・ジャズ・ドラマーとして最大の偉人とされていて、このようなメンバーを発掘するセンスもあったが、ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズのようなヒット要素の大きいファンキー路線とは無縁のやや実験性が先行したため、人気はイマイチなのではないかと思う。チューバ入りのピアノレス編成も、成功したとは言い難いと考える。(しげどん)
マックス・ローチのアルバム。old folksのリトルは鋭くカッコいい。また、トランペット、テナー、チューバの管楽器アンサンブルは、とってもユニークで面白い。トランペットとドラムの掛け合いも、このアルバムの聴きどころだ。(ショーン)
1959.1.22
Mercury
おすすめ度
hand ★★★☆
Max Roach(ds), Booker Little(tp), Julian Priester(tb), George Coleman(ts), Art Davis(b)
リトルは、ローチのバンドに2度加入していて、その1度目のラスト盤。チューバのドレイパーが抜けて、トロンボーンのジュリアン・プリースターが入っている。リトルはラスト曲⑦ゼアズ・ノー・ユー、でフィーチャーされている。名バラード演奏だ。ローチ盤としては、ドラム自体があまりうるさく録音されていないほうだとは思うが、ローチの多面性がタイトルなので、ドラムソロは多い。鵜をできるだけ自由にさせて魚を沢山獲る(レコードが沢山売れる)名鵜匠がブレイキーだとすると、鵜匠自身のパフォーマンスが目立ちすぎて魚があまり獲れない(レコードがあまり売れず、CD化もされにくい)のがローチのような気がする。マーキュリー(エマーシー)のローチ=ブラウンだけはブラウニー人気で繰り返しCD化されているが、ドーハムやリトル入りのプラス4はほとんどCD化されていない。(hand)
Frank Strozier(as), George Coleman(ts), Booker Little, Louis Smith(tp), Calvin Newborn(gr), Phineas Newborn Jr.(p),George Joyner (b), Charles Crosby(ds)
フィニアス・ニューボーンの談義の時に聞いてフランク・ストロジャーの活躍に驚いた。今回、リトルに着目して聞き直した。やはりストロジャーが自リーダー盤「ファンタスティック」以上の出来だ。リトルもとても出来がいい。前回はリトルがローチと離れて伸び伸びと自分らしさを出していると思ったが、この時期のリトルはローチの下でも強靭なソロを吹くようになっており、その状態がこのメンフィス出身者のジャム的な盤にも反映されたのだと思う。③は管抜き、④はストロジャーのワンホーンで、リトルは、ルイ・スミスと2トランペットで4曲中2曲に参加しているのみ。(hand)
1959.3.26 & 10.27
Vee Jay
おすすめ度
hand ★★★☆
Bill Henderson(vo),
1959.3.26:Ramsey Lewis(p), Eldee Young(b), Red Holt(ds)
1959.10.27:Booker Little(tp), Bernard McKinney(tb,euphonium), Yusef Lateef(ts), Wynton Kelly(p), Paul Chambers(b), Jimmy Cobb(ds)
ウィントン・ケリーが入っているので知られている盤だが、男性バップボーカルが苦手なのでこれまで聞いたことがなかった。聞いてみると聞きやすいタイプであった。サポートはラムゼイ・ルイス3がメインで、一部がウィントン・ケリー入りのベニー・ゴルソンがアレンジと指揮のセクステット。リトルはモーニンと、フリー・スピリッツの2曲のみに参加。モーニンでのソロを期待するがソロはない。フリー・スピリッツに唯一の短いソロがある。(hand)
1959
Strand
おすすめ度
hand ★★★☆
Slide Hampton(tb,ar), Burt Collins, Freddie Hubbard, Booker Little(tp), Kiane Zawadi(euphonium), George Coleman(ts), Jay Cameron(bs), George Tucker(b), Kenny Dennis(ds:3,8), Pete La Roca(ds:1,4-6), Charlie Persip(ds:2,7)
ハバード?かリトル?のソロも①などにあるにはあるが、基本的にはスライド・ハンプトンのソロを中心に作られた盤。リトルらはホーンズとしてハンプトンを盛り立てている。(hand)