アート・ペッパーのCD ディスク レビュー 目次
→アート・ペッパーのCDリーダー作① 初期作品1951年~54年へ
→アート・ペッパーのCDリーダー作② 復帰後1956年~57年へ
→アート・ペッパーのCDリーダー作③ 復帰後後期 1958年~60年・・・このページ
→アート・ペッパーのCDリーダー作④ 後期 本格復活直前まで ~1975年
→アート・ペッパーのCDリーダー作⑤ 本格復帰 1975年~1977年
→アート・ペッパーのCDリーダー作⑥ ギャラクシーへの移籍 1978年~1980年
→アート・ペッパーのCDリーダー作⑦ 1980年~1981年
1956年7月26日 Chet Baker(tp),Art Pepper(as),Richie Kamuca(ts),Pete Jolly(p),Leroy Vinnegar(b),Stan Levey(ds)
1956年12月11日 Bill Perkins(ts),Art Pepper(as),Jimmy Rowles(p),Ben Tucker(b),Mel Lewis(ds)
1957年8月12日 Shorty Rogers(arr),Don Fagerquist(tp),Stu Williamson(tb),Art Pepper(as),Bill Holman(ts),Bud Shank(bs),Red Callendar(tuba),Russ Freeman(p),Monty Budwig(b),Shelly Manne(ds)
Pacific Jazz
ビル・パーキンスの「ジャスト・フレンズ」のペッパー入りのセッションと組み合わされて発表された、スモール・ビッグ・バンドの未発セッション。「プラス・イレブン」に近く、ペッパーを浮き立たせるアレンジになっていて、聞きやすい。パーキンスとの2管はウォーン・マーシュやテッド・ブラウンとのときのようなトリスターノ風にはなっていない。(hand)
ペッパーはパシフィックには正式には一枚もリーダー作を残さなかったが、これはペッパー参加の曲だけを集めて一枚にまとめた編集盤。アナログA面はビル・パーキンスの「ジャスト・フレンズ」のペッパー入りセッションをすべて抜き出し、B面はチェット・ベイカーやショーティ・ロジャースのバンドでの演奏から抜粋した編集アルバムに過ぎないが、ペッパーのソロを聴く限りではAランクに相当する。
CDは後半はショーティ・ロジャースのグループのみの音源を別テイクを含めて収録していて、ベイカーのセッションは収録されていない。(しげどん)
Conte Candoli(tp),Art Pepper(as),Bill Perkins(ts),Russ Freeman(p),Ben Tucker(b),Chuck Flores(ds),Mike Pacheco,Jack Costanzo(perc),Bill Holman,Johnny Mandel(arr)
なんだか本流から外れている盤と思いきや、実は通人向けの変化球なのだ。ペッパーのソロは限りなく繊細で、一曲目のムーチョ・カロールの哀愁は泣かせる。コンテ・カンドリもこの作品に関しては曲調にマッチしていて、ソロイストとしてはペッパーに次ぐ素晴らしさ。ワンホーンのペッパー以外の盤では一番聴かせる一枚だ。(しげどん)
ボンゴが入った西海岸ジャズ。残念ながら、ラテンのグルーヴはなく、ロンドンのクラブでも踊れないと思う。ペッパーは、リーダーというよりも、ソロイストの1人として参加している感じだ。(hand)
Art Pepper(as),Pete Candoli,Jack Sheldon(tp),Bob Enevoldsen(vtb,ts),Vice De Rosa(frh),Herb Geller(as),Bill Perkins(ts),Med Flory(brs),Russ Freeman(p),Joe Mondragon(b),Mel Lewis(ds)
タイトルどおりに、11人はたまにソロもとるがほぼバックミュージシャン状態で、主役はペッパーだけだ。マーティ・ペイチが、ピアノはラス・フリーマンに譲り、アレンジャーとして参加。ブラス&ホーンズをストリングス的に活用している。もしこの盤が気に入れば、ペイチがリーダーの「踊り子」「お風呂」というビッグバンド名盤の深みが待っている!(hand)
曲目はモダン・ジャズ・クラシックスという通り、マイルスの九重奏団やガレスピー、パーカーの曲、ハーマンハードのフォア・ブラザーズなど、歴史的な名演を土台にしていてジャズファンにはなじみが濃い曲ばかり。マーティ・ペイチの編曲にもクセがなくすんなり聴ける。メンバーはかなり一流どころをそろえているが、ペッパーの独り舞台に近い。テナーやクラリネットも味わえ、繊細なつややかさはまだ味わえる。(しげどん)
大編成のバンドでユニークで迫力がある演奏が聴けるが、ペッパーの音色だとやや弱く感じてしまうところがあり、バランスが悪い。ホーンセクションのハーモニーは素晴らしく、聞き応えはある。やはりペッパーはソロで集中して聴きたい。 (ショーン)
Art Pepper(as),Conte Candoli(tp),Wynton Kelly(p),Paul Chambers(b),Jimmy Cobb(ds)
ペッパーは、ピークを過ぎたと言われるが、それほどの変化は感じない。コンテ・カンドリも特に悪くはないが、ペッパーのワンホーンを聞きたいファンには、邪魔者でしかない。この時期のマイルスのリズム隊との共演なのだが、前回のような化学変化は、残念ながら起きていない。ガーランド・トリオとケリー・トリオの違いなのだろうか?いや、選曲がポイントだったのではないか?ペッパー側が選んだと思われる曲、CDおまけ曲の今宵の君はなどの出来はいい。ペッパー以外のメンバーの選曲と思われる曲、ウィムズオブチェンバース、ソフトリーなどの出来が今ひとつな気がする。(hand)
ペッパー自身はこの作品を自信作と位置づけているが、つくづく傑作と普通作の違いは紙一重だと感じる。「ミーツ・ザ・リズム・セクション」の続編という意図は原文ライナーにも明記されているが、今回は名盤化しなかったというのが通説だ。コンテ・カンドリが要らなかったとか、モンク曲が素材としてどうかとか、テナーに持ち替える必然性がないとか、細かいポイントはいろいろあるが、ペッパーのソロ自体の問題なんだろう。ソロの音色やフレーズはそれほど以前と変わっていないようにも思えるが、全体的に凄みを感じるほどの繊細な陰影がすでにない。何が違うのか?はっきりと言えないのだが・・・・ロイ・デュナンの録音はヴァンゲルダーより自然で、チェンバースのベースを迫力ある音で捉えている。ポール・チェンバース・ファンが彼のベースを堪能するにはいい盤だと思う。(しげどん)
Art Pepper(as),Jack Sheldon(tp),Pete Jolly(p),Jimmy Bond(b),Frank Butler(ds)
改めて聞き直しても特段に評価が上がることはなかった。ただ、復帰後にコルトレーン的な要素を取り入れていく素地のようなものを感じる。これまでの軽やかな音色が消え、変声期を迎えたようにやや渋味のある音色に変わってきている。フレージングも、高音域多用から中低音もかなり使うようになっている。トランペットを入れたのは、マイルスを意識しているのかもしれないが、ペッパーはコンセプトアルバムの人ではなく、歌を聞かせる人だ。やはりトランペットの必要性は感じられない。(hand)
普通のジャズメンが演奏したらこれはこれで楽しい作品といえるかも知れないが、ペッパーに期待する陰影あるテイストがますます感じられなくなっている作品だ。ジャック・シェルドンとピート・ジョリーのからっと明るい西海岸そのもの的なサウンドがさらに拍車をかけている。オーネット・コールマンの曲を採用しているが、その意図もあまり伝わってこないのだが・・・(しげどん)
Art Pepper(as),Dolo Coker(p),Jimmy Bond(b),Frank Butler(ds)
一時引退前の元気のない盤として片付けられてきた盤。改めて聞くと、そんなに悪くない。むしろ、なかなかいい。麻薬で刑務所に入っていたペッパーが身請けされ、借りたサックスで吹き込んだ作品らしい。それでここまでとはやはり天才だと思う。ただ、CD化で追加された有名曲⑧枯葉があまり冴えない。元々は落ち穂拾い盤の「ザ・ウェイ・イット・ワズ」に入っていた曲だ。名演を期待される曲がそれほどでもないことで外されたのだと思う。自らのオリジナル、バップ曲、ラテン曲、ミュージカル曲などほとんどはフィットするが、シャンソン系だけは合わないのかもしれない。未発だった曲⑨ファイブ・ポインツは、意外といいが、11分半と時間が長いのでカットされた理由だと思う。「スマック・アップ」よりも、幾分、高音域多用に戻っている。ワンホーンで、最高期は過ぎたもの、ペッパーらしい好盤になっている。ドロ・コーカーのピアノが少しガーランドのテイストがあるのもいい。(hand)
スマック・アップと同傾向かと危惧すると、意外と少し前のつややかさが戻った感がある。麻薬の影響でハイ&ローの起伏が激しかったのだろうか?でもやはりペッパーにはワンホーンが似あう。(しげどん)
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