また、クリフォードブラウンの訪欧時のセッションは歴史的にも貴重です。ストックホルムのセッションはブラウニーと互角に渡り合ってます。一聴の価値があります。
ここではそれ以外の、ファーマーの存在感たっぷりな作品をいくつかレビューします。ここにあげたもの以外でも、ハンク・モブレー、ソニー・クラーク、クリフォード・ジョーダンなど、ブルーノート盤に客演したものがかなり存在しますが、主なものだけをレビューいたします。
Art Farmerのディスクレビュー目次↓クリック
1957年2月4日~6日
Coral
Art Farmer(tp),Hal McKusick(cl,bcl,as),Eddie Costa(p),Milt Hinton(b),Gus Johnson(ds)
Art Farmer(tp),Hank Mobley(ts),Horace Silver(P),Teddy Kotick(b),Louis Hayes(ds)
シルバーの期待に応えようとしたのか、信じられないくらいブリリアントなファーマーだ。音色的には、ブラウンとバードの中間くらいか。ブラウンほど明るくないが。バードほど暗くもない。シルバーらしいファンキーな曲もいいし、バラードのマイワンもいい。また、ファーマーのトランペッターとしての技量はシルバーを経て、格段に向上したと思う。(hand)
シルバー節のオリジナルよりも、ファーマー、モブレー、シルバーのソロを楽しむシンプルなハードバップとして聴いた方が楽しめる。静のファーマー、動のバードなどと言われているが、ファーマーはどちらにも対応できるフレキシブルな技量を持っている。シルバー、モブレーはいつもながらの彼ららしいソロ。(しげどん)
アートファーマーのトランペットとハンクモブレーのテナーサックスの息もぴったりの軽やかなハーモニーが耳に心地良い。ホレスシルヴァーのほんの少し「ダサい」ピアノのフレーズが全体を引き締める効果を担っていて意外と面白い。丁寧に作り込まれたアルバムだ。(ショーン)
1957年12月1日
Blue Note
Art Farmer(tp),Curtis Fuller(tb),Sonny Clark(p),Geroge Tucker(b), Louis Hayes(ds)
1曲目から勢いがあり素晴らしい。フラー、ファーマーはもちろん、ソニークラーク、ルイスヘイズも大活躍(hand)
元気なハードバップでブルーノートらしい作品。ソニークラークらしさ全開のソロなのでクラークファンには必携の作品で、この「クラーク節」はたまらないだろう。ファーマーも力強くスイング。(しげどん)
カーティスフラーのトロンボーンとアートファーマーのトランペットの其々の色が、油絵の具のようにねちっこく重なり合い、重厚感と黒さを兼ね備えたハードバップを全身で感じることができる。ルイスヘイズのドラムワーク、ジョージタッカーのベースラインも単なるリズム隊としてだけではなく、独特な情景表現をしており、私は大好きなアルバムだ。(ショーン)
Art Farmer(tp),Gerry Mulligan(bs)Bill Crow(b),Dave Baily(ds)
隠れ名盤。マリガン〜ファーマーのコンビの音色は絶妙。スタンダードとマリガンオリジナルがいい感じにバランス良く入っている。(hand)
マリガンカルテットのファーマーといえば、映画「真夏の夜のジャズ」を思い出す。そこで演奏されていたAs Catch Canを含むこの作品は、ファーマーが参加したマリガンカルテットの代表作。(一般人気はNight Lightsが上ですが・・・) ここでのファーマーは、マリガンに合わせてクールでカッコいい!
(しげどん)
Milt Jackson(vib),Art Farmer(tp),Benny Golson(ts),Tommy Flanagan(p),Paul Chambers(b),Connie Kay(ds)
ミルト・ジャクソンのヴィブラフォンのメロディアスな演奏に、ファーマーの伸びやかなトランペットがしっかりとマッチして、最高のパフォーマンスを発揮している。しかもメンバーは超一流どころの面々である。ショーン的にも愛聴盤となる傑作アルバムだ。(ショーン)
陰影のあるゆったりした雰囲気の愛聴に足る作品で、私的にはミルト・ジャクソンのリーダー盤では、オパス・デ・ジャズよりこちらの方が好き。ミルトの出番が多く彼のソロはもちろん素晴らしい。しかし、比較的ゆったりした曲調が多いため、ファーマー本来のしっとりした個性にマッチしていると思う。(しげどん)
モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)+2ホーンズのような雰囲気の盤だ。ミルトはリーダー盤になると、ファンキー&ソウルフルな演奏をするとよく言われているが、ここでは最後まで品のいい演奏に終始している。ミルトの盤なので、ファーマーの活躍する場面は限られるが、この時期のファーマーは好調で、⑤ではテーマも吹いている。くつろぎのあるイイ盤だ。(hand)
1963年9月
Philips
Art Farmer(tp),Bob Brookmayer(tb),Gerry Mulligan(bs,p),Jim Hall(g),Bill Crow(b),Dave Balley(ds)
マリガン作ながらマリガンは1曲目からピアノを弾いていて、ファーマー作のようなスタート。マリガン〜ベイカーもいいが、くつろぎ度はマリガン〜ファーマーが上。インターアクションもくつろぎ名盤だが、こちらがくつろぎ超名盤。もしかしたら、ファーマーはサイドマンの方が生きる人⁈グリフィンと同じタイプだ。(hand)
アスペクト・イン・ジャズのテーマの印象が強い。ジャズとしては聴きやすいリラックス盤すぎてやや物足りない。ファーマーはこの手の作品にフィットしているのだが、それが、ガチなジャズファンには不満な点かも・・(しげどん)
ジェリーマリガンの甘く切ないバリトンサックスが洒落た夜のムードを演出し、アートファーマーが煌めきのトランペットで呼応する。Jazzファンでなくともこのアルバムは間違いなく受容できる筈だ。黙って聴けば間違いなくリラックスできる素晴らしいアルバムだ。(ショーン)
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